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「建築」と「建築家」をサポートするために| 『建築家のためのウェブ発信講義』【試し読み】

2018年4月初旬発売の新刊建築家のためのウェブ発信講義
建築系ウェブメディア「アーキテクチャーフォト」編集長の後藤連平さんが、藤村龍至さん(RFA)、連勇太朗さん(モクチン企画)、豊田啓介さん(noiz)など、ウェブを使いこなす建築家たちへの取材を交えながら、SNS時代ならではの新しい「建築家」行動戦略を解説した一冊です。

この記事では、あとがき「『建築』と『建築家』をサポートするために」を全文公開します。

書籍Amazonページ|https://goo.gl/r4AW53


学生時代、「建築」と同じくらい「インターネット」にも魅了されました。そして、直感的に大きな可能性を感じ、またそれを信じ続けてきました。

すでにネットを使い「ウェブ発信」されている方には、よりウェブを適切に使用できるように、未だウェブを使用していない方には、その可能性が伝わるような執筆を心掛けました。

執筆中、ふとアーキテクチャーフォトの最初の投稿がいつだったのかアーカイブを見てみたところ2007年5月に最初の投稿がありました。この書籍を執筆している2018年1月時点で約10年の年月が経っていることになります。

今振り返ってみても、この10年間は、危機感を背負いながらの独学と試行錯誤の連続でした。「建築の世界でどうしたら生きていくことができるだろう」それを常に考え続け、自分自身の居場所を探し続けました。
10年間もがき続けた結果として、この書籍を刊行できたということは、何とかその場所に近づくことができたのかなという気もしています。

私が社会に出た2004年と比較し、建築の世界の状況は大きく変わっています。建築家が建物を設計するだけでなく、新しい活躍の場を求めざるをえない状況もあります。
それはたしかにネガティブな側面もありますが、建築の領域が拡張している状況と、ポジティブにも捉えられるはずです。

そんな現代を生きる建築家にとって、「ウェブ」を適切に活用することは、どのような建築家にとっても、大きな武器になってくれます。建築系ウェブメディアというフィールドで10年挑み続けた私の知識やノウハウは、そうした領域の拡張にきっと役に立つのではないかと思っています。

今回の、3章執筆に関しては、9人の建築家の皆さんと分析執筆の後、それぞれ対話をしました。以前からそのウェブ発信に注目してきた建築家の方たちでもあるので、私にとっても改めてウェブの可能性を認識することができた意義深い学びの機会でした。

それぞれの建築家によって、見ている世界や目指すところは異なっています。しかし、すべての建築家に共通する特徴を見出すこともできました。それは次の三つに集約されます。

・自身の価値観を信じつつも、全く逆の価値観についても把握し理解しようとすること
・建築作品だけでなく、自身の周りのものすべてを、同じ哲学によって扱うこと
・常に社会の動きに敏感になり、自身の活動を相対化し、変化し続けること

私は、これらの姿勢に非常に共感します。そして、この姿勢が「ウェブ発信」において重要であると同時に、建築家としてこれからの社会を生き抜いていく際にも重要な姿勢だと感じています。

建築家にとって、社会の動きに敏感になり変化し続けることが重要だと書きましたが、私自身の活動も、常に変化させていきたいと考えています。
これまでは建築メディア「アーキテクチャーフォト」とそれに付随するウェブサイトの運営を主たる活動としてきました。
現在は、これをより発展させることに加え、さらに、直接的に建築家の皆さんの役に立てるような活動形態を模索しています。
自身が魅了され続けている「建築」と「建築家」をサポートするために今後も努力を続けていきたいと考えています。

本書が建築家の皆さんにとって、ウェブを使いこなすヒントやきっかけになればこれほど嬉しいことはありません。ぜひ、自身の目的を達成するためにウェブを活用してください!

後藤連平

▼ 続きは本書で ▼

建築家のためのウェブ発信講義

アーキテクチャーフォト・後藤連平 著

ゼロから仕事をつくるためのプロモーション、社会を巻き込む建築理論の構築、施主候補との信頼関係を築くコミュニケーション。建築家9名がウェブ上で打ち出す個性的な実践を手掛りに、読者各々の目的に合った情報発信の方法を丁寧に指南。建築メディアに精通する著者によるSNS時代ならではの新しい「建築家」行動戦略!

Amazon|https://goo.gl/r4AW53

(装丁:UMA / design farm 原田祐馬・山副佳祐)

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