若者は出世を望んでいないというのは本当か?
最近の若者は出世を望んでいないという話をよく聞く。ミレニアム世代やZ世代と呼ばれる若者たちは、様々な理由から会社での出世を望まなくなったという話だ。時代が平成、令和へと移るにつれて、人々の価値観も変化、多様化してきた。昭和の時代のイメージとして抱くような、新卒で入社した会社で出世競争を戦い抜くサラリーマンという人生はなかなか想像しづらいのかもしれない。今回は、一人のZ世代の人間として、若者が出世を望まないというのは真実なのか、という点について考えてみたい。
理由①仕事以外の時間確保
なぜ若者が出世を望まないと言われるのだろうか。まず考えつく理由としては、仕事以外の時間を大切にしたいという感情がある。時代の変化によって人々の価値観は多様化しており、サラリーマンとしての人生が全てではなくなっているのは確かだ。仕事はそこそこに、自分の趣味の時間を確保したいと考える人や、家庭を大切にしたいと考える人が若い世代で増えているのだと思う。
この点に関しては、実際に同世代の人間と交流を持つ中で感じる部分だ。ワークよりもライフを充実させたいと考えている人間は意外と多く、そのために仕事はほどほどにセーブしたいという。時代の変化によって、仕事以外で持つことのできる選択肢が増えたことにより、このような考え方が浸透しているのではないか。
理由②出世しても見返りがない
また、出世したところで十分な見返りを得られないという考え方も存在する。出世して管理職、経営層になってくると、個人として背負う責任は非常に大きくなる。会社を回す側の立場として、会社に捧げる時間も長くなるだろう。働き方改革が叫ばれる昨今においては、残業がつかない管理職への負担が増加しているという潮流もある。
また、管理職や経営層としての責任や会社への貢献度が、与えられる対価に見合わないと考える同世代も非常に多い。時給換算すると決して良くはない金銭面と、どこか窮屈そうなイメージがあるサラリーマン管理職や経営層にあまり魅力を感じないと言う。確かに、管理職になると役職に対する手当は発生するものの、残業代は支払われなくなる。また、伝統的な日本企業におけるサラリーマン管理職では裁量も少なく、自分のやりたいチャレンジもしづらいのかもしれない。このような状況から、管理職や経営層に出世したとしても、金銭面とやりがい面で十分な見返りが得られないと考えるのだろう。
理由③出世以外のキャリア選択
このように、私の周囲にも出世を望まない若者がたくさんいる。しかし、一方で仕事に情熱を燃やし、出世を望んでいる友人がいることも事実である。彼らは責任のある立場に立つことで、自分の成し遂げたいことに挑戦することができると言う。上位のポジションにつくことで大きくなる責任や、金銭面への不満を、夢に挑戦したい気持ちが上回るということだろうか。
しかし、ある程度の向上心を持って働き、将来何か大きなことに挑戦するために出世を視野に入れている同世代にとっても、会社での出世だけがゴールではない。転職によって自分のチャレンジしたい領域、ポジションを見つけることや、独立・起業といった形の挑戦を望んでいる人間も多い。彼らはサラリーマンとして働くことを通して、そのための準備を整えている。
このような考え方を持つ同世代は非常に多いと感じている。仕事に情熱を燃やし、向上心の高い若者の多くは一社での出世ではなく、転職や独立・起業を視野に入れたキャリア設計をしているのではないか。これはまさに時代の変化によるものだろう。昭和の時代は、キャリアの成功と言えば新卒で入社した会社での出世だったのかもしれないが、現在ではキャリアの成功の像が多様化している。
結論 出世を望む若者は減少
ここまで、様々な若者の実像を述べてきたが、若者が出世を望まなくなっているというのは事実だろう。少なくとも、私の周囲の人間を見ている限りでは、そのように感じている。理由は価値観の多様化である。仕事以外の選択肢を持ち、あくまで仕事は生活費を稼ぐためと割り切る考え方の増加や、会社での出世だけがキャリアの成功ではないといった考え方の台頭が、出世に積極的ではない若者を増加させていると言える。
私自身も、仕事への情熱や向上心は比較的高く、将来は責任あるポジションで仕事をしたいと考えている。しかし、今の会社で出世を続けることはあまり視野に入れていないのも事実である。仕事を通じて、また仕事以外の時間を活用してスキルアップを図り、転職や独立・起業も視野に入れながらのキャリアアップを求めていくつもりだ。このように、純粋な一社における出世を望む若者は少なくなっているのだと思う。
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