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保護者の願いは尊重せざるを得ないんだけどね。でも違うんだと思う。

保護者の願いを面談で聞くのも教師の仕事の一つである。
うちの子はこうだ。だからこうしてほしい。
どうしても〇〇ができません。だから〇〇ができるようにしてください。

特別支援学級の場合や、学習障害を疑う児童生徒においては、無理難題とも言える希望が出てくることもある。
なんとか今年度中にかけ算の筆算ができるようにしてください!
(えっ・・・今1けたのたし算レベル…)
3年生の漢字まで全て終えてください!
(ひらがながなかなか書けないのに…)

こういった経験はないだろうか。

1.大人のエゴ

教師は、自分勝手になりやすい。
自分のクラスを自分のいいように作り上げる。
子どもを自分の目指す方向に導いてしまう。

すると、何が起こるか。
保護者の意見を無視した方向に行ったり、子どもの実態に合わない指導になってしまったりするのである。

それは、保護者も同様だ。
残念ながら、私は前項で示した例のように、
「え?!いくらなんでも無謀でしょ!!」
という願いを求めてくることがあるのだ。

理由は様々だと思う。
自分の子はどうしても学習ができない。でも、できるはずだ。できるできる。だから、学年相当の学習ができる。どうか担任様。やらせてください。
他の子に追いつかないとだめだ。将来が心配だ。何とかしてくれ。

こういう焦りからだろうか。

2.まずは子どもの声を聞いてみよう。

大抵、子どもに勉強について尋ねると、
・無言。
・算数嫌い。
・やりたくない。

生活について聞くと、
・うるさいなあ。
・ぽかーん
・すみません、次から気をつけます。

こうなるだろう。

教師または親「いいかい、あなたはどうしてもパニックになりやすいね。パニックにならないように、一緒に勉強していこうね。」
子ども「???????」「あ、はい。」

困り感なんて、ないだろう。経験上、これが多数派だと思う。
SSTなんて、自分がやらなければいけない。将来困る。なんて思っている子どもはどれくらいいるだろうか。

3.いや、待て、私(教師)はこうしたいのだ。

ここで出てくるのが教師としての願いだ。

特別支援の児童生徒の最終的なゴールは「就労」だ。教科書の課程を終わらせるのは目的や目標ではない。就労につながる学習をすべきではないか。

もっともな考えだと思う。私は賛成だ。仕事をするときに、筆算なんて使うか?そんなの電卓を使えばいい。まあ、アルゴリズムや論理的思考力の学習にはなるだろうけどね。大体小4くらいまでの学習でいいよ。
漢字なんて、これからはAIが助けてくれる。パソコンで入力すれば漢字変換一発でできる。音声入力だってできる。読み上げもだ。最低限でいいだろう。以下略。

4.教師としての考えと、保護者の願いがぶつかる。

子どもを立派な大人に育てたい。
この思いは一緒なのに、目標はなかなか合致しないのだ。
そこで、教師が「教育のプロ」と思って保護者に伝えるとどうなるだろうか。
残念ながら受け入れてくれないことが多いと思う。
そんな保護者が多いのではないだろうか。
自分の年齢やキャリアによっても変わってくるだろうが。

5.というわけで、尊重すべきは

今回の記事で伝えたいのは、「保護者の思いはとにかく尊重する」という原則である。
目の前の子どもを一番愛して育ててきたのは保護者である。
教師のものではない。担任はせいぜい1・2年だけである。
だから、突拍子もないことを言ってくる保護者がいたとしても、まずは
「そうですね」「なるほど」
と尊重すべきであると考える。
重要なのは「子どもがどう生きたいのか、分からないうちは」である。

6.子どもは親のものではない、という考えもある

一方で、この見出しのような考えもある。
聞いたことがある人もいるかもしれない。

子どもは自分のやりたいことをやる。
生きたいように生きる。
一人の人間なのだ。
親の所有物ではない。

親や先生がアドバイスしたり、助けたりすることはあっても、
最終的には自立・自律していくのだ。

7.親と教師が対立してはいけない。一番は子どもがどう生きたいか。だ。だから・・・

真逆のことを言う。
保護者の願いなんてただのエゴであることが多い。
子どもの願いが一番だ。
そこで・・・

教師が子どもに
「どうしたいか」
「何ができるようになりたいか」
「何が好きか」
「何をやりたいか」

逆に、
「悩んでいることは何か」
「今苦しいことは何か」
「嫌いなものは何か」

聞くことはとても重要である。

でも、なかなか答えは返ってこないよね。
メタ認知できるのはもっと年齢が上がってから、成長してからかな。

いつか答えが返ってくると信じて、探っていく。

それを、保護者に伝えて、
「一緒に解決していきましょう」「よい大人になれるように応援していきましょう」
と、協力できるのではないだろうか。

なかなか聞くのは難しいけどね。
どちらかというと「探る」方がいいのかなあ。

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