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節分と保育とこども〜文化と発達と不適切保育と10の姿と〜


やってきました、節分の季節。
そして、必ずこの季節になると出てくる「節分どうしている?」問題。

ここで取り上げたいのは「文化と発達と不適切保育と10の姿」の視点です。
なんと盛りだくさん!と、一人で突っ込んでしまいましたが、読み進めてもらえると嬉しいです…豆まき・オニの2つを書いていきたいと思います。


豆まきのこと

保育の中で、節分にこんなにも注目が集まるようになったのは、おそらく「節分の豆まきで、重大事故が起きる」ということからでしょう。(実際に、2020年2月には松江市の認定こども園で、節分の豆まき行事中に園児(4)が豆を詰まらせて窒息死する事故がありました)

国の示す「教育・保育施設等における事故防止及び 事故発生時の対応のためのガイドライン」の中にも、保育の重大事故が起きるタイミングとして、睡眠・食事・水遊びがあげられています。

ということで、わざわざ窒息のリスクを取ってまで、集団の中で「豆まき」にこだわることは、まずやめましょう。文化の継承や体験は、認知面が育ち、分別がつくようになってからで、何も問題はありません。
保育の中で「子どもの命を失ってしまうリスク」を背負ってまで、やることではないのです。

それは、熱中症や園外保育、食育も同じです。

園全体で、質の向上を目指して、保育を育んでいたとしても。
保育士が心を込めて、保育スキルを磨きながら保育をしていたとしても。
一つ、重大事故が起きてしまうと、事態は一変します。
そのことはまた、別の機会に。


節分(豆まき)に限らず…
この行事やイベント・保育は「この年齢で、本当に必要なものなのか?」という問いかけは、必須です。

その際、発達面(心・体・認知・社会性・表現力…)、保育の連続性(5歳児まで保育は続いていく)を留めておきましょう。

また「季節感を味わう=行事」ではないことも、クラスの中で共通認識をもちたいところです。

インパクトやイベント思考で季節を捉えるのは、少し勿体無いですね。
気温はもちろん、日差しにも、空にも、風にも、音にも、匂いにも、食材にも、空気にも、感じる季節感があります。
繊細でしなやかな感性が備わっている子どもには、五感で感じることが優先です。文化を教える、ではなくて。


オニのこと

続いて、オニのこと。
不適切保育だの、安全だの、いろいろな事を書いたり話したりしている私も…
大人目線で良かれと思って、欽ちゃんの仮装大賞ばりに変装したり、ドリフをイメージした演出を張り切ったこともありました。
昭和の話ではありません、ほんの15年ほど前の、平成の話です。

大人だけでやる分にはまだしも(それでも若い先生や、冷静な保育者にはキツイ・下品と思われていた…?)ちゃんと子どもたち、怖がっていて、証拠写真もあります。

ただ、今の時代ではアウトです。

だから、書くのです、話すのです。


あの時の私の捉えは、節分=豆まき=おに。

なんと単純な思考だと、恥ずかしくなりますが、サボっていたわけでも意地悪をしようと思っていたわけでもなく、ただ「知らなかった」のです。

場面的、短絡的、感情的だった保育ですね。

子どもの感じていることと、大人が喜んでいることに、明らかな(真逆の)感情があった。

この頃の保育は、私に限らず「保育スキルの捉え」と「保育士の教養」が土台となっていなかったように思います。

「文化とは?発達とは?」と、大きな視点で物事を捉えることを意識するようになり、原理原則に基づくことが大事であることは、今ではわかります。

また、単に「脅かすのは、不適切保育だから」と、やめることにも意味はありません。

なぜなら?

警察に捕まるから赤信号を渡らない、という発想と同じだからです。

それでいいのでしょうか?保育士の教養!
と、いうことです。

禁止から入らず、「文化・発達」そして「不適切との照らし合わせ」「10の姿へのイメージ」と、流れを持って話し合うことにこそ「園内での人材育成」「理念や保育方針・保育観の理解」の機会が生まれます。

余談ですが…

私が、勝手に師匠だと思っている先生から「鬼や妖怪に失礼!」と、感情交えた言葉が出てきました。(彼女は、保育だけでなく民俗学にも教養のある人です)

オニも妖怪も、それぞれに伝説やいわれがあります。
「鬼が悪霊を追い払い、人に幸福をもたらしてくれる存在」と伝わる例も少なからず見られます。

まだまだ、現実と空想の境目がはっきりしない子どもの時期に、何かに怯えることって、しかもそれをわざわざ、保育士が設えることが必要でしょうか?

う〜ん…いらないな。

子どもへの心理面だけでなく脳へのダメージがあること、夜泣きが増えること、駆け引きや罰で誘導すること、どれをとっても、やっぱり不適切…


節分の由来は
旧暦の立春が新年であったため、その前の日に邪気を払う目的ではじまった。現在の大晦日のような日」です。

また「季節の節目」を意味しており、立春・立夏・立秋・立冬と、それぞれの季節が始まる前日が、節分なのです。

私の推測の域を出ませんが、季節の変わり目は、風邪をひきやすかったり、気持ちが焦って事故が増えたりすることも、関係しているのかもしれませんね。そのモチーフとして登場してくれているのが、オニと思うと、むしろ感謝です。

さてさて。

今回は、節分と保育とこども
〜文化と発達と不適切保育と10の姿と〜
と、いうことで記事を書いてみました。
(10の姿、おまけみたいでしたね)

日々、よりよくしていく保育に希望を持ちながら、季節の節目を大事にしていきたいものです。

ご自身の健康管理(心身ともに)を第一に!

では、また。


相談室へのメールから〜
相談7●不適切保育の視点からの、事例たっぷりの音声です
相談16●今回の記事も音声で入っています

不適切保育を予防するための特効薬〜

研修案内
<園長・主任向け>不適切保育の解決の仕方〜保育が縮こまってしまわないために、園長・主任ができること〜

正解のない「不適切保育の解決の仕方」に、悩んでいませんか?指導という言葉が馴染まない保育現場。
しかしながら、大人に向けては「指摘」や「指導」が必要な場面は多々あります。特に、昭和時代から保育を続けているベテランさんや、厳しい環境の中で育ってきた人は、適切な教育を受けないままに時代の変化についていけていない、という現実があります。
園長・主任の指導力が問われる時代です。
それぞれの性格や個性を活かすためにも、あらためて「保育の使命」に立ち返り、不適切保育を根本から解決していく方法を共有する時間にしましょう。

開催時間 2月27日(月)10:30〜12:00(90分)
開催場所 オンライン(参加者はカメラオフ・受講番号表記OK)録画での配信は予定していません。

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