森山円香

徳島県神山町で暮らしています。 地域と高校の6年間の歩みをまとめた本を書きました。『ま…

森山円香

徳島県神山町で暮らしています。 地域と高校の6年間の歩みをまとめた本を書きました。『まちの風景をつくる学校 神山の小さな高校が試したこと』(晶文社) 2022年7月〜翌年2月、14ヶ国を巡るワーキング・ハネムーン(造語)へ。 noteには暮らしや仕事のなかで心に引っかかたことを。

マガジン

  • 世界を巡りながら見たこと考えたこと

    2022年7月から、パートナーとハネムーン兼ねて旅に出ました。その名もワーキングハネムーン。造語です。7ヶ月くらいかけて、世界のいろんな農場で働いたり友人を訪ねたり。見たこと感じたことを写真とともに残していきます。

  • 『まちの風景をつくる学校』の感想とかお知らせとか

最近の記事

不妊治療と大学院受験と、それから狩猟免許。

「鈴と小鳥と、それからわたし」的な音感で並べてみたものの、ダメだ。いかつすぎる。 今年度、仕事以外で注力したことトップ3。不妊治療、大学院受験、狩猟免許。我ながらすごい食べ合わせというかなんというか。 幸運なことに、いずれも良い結果を得られた。 そして今は、今月からはじまる予定の育児と来月入学予定の大学院との両立をどうしていくかという嬉しい悩みの真っ只中。 ここに至るまでの思考と感情の変遷を書き残しておく。 仕事を週2~3におさえて不妊治療に臨む 昨年2023年2月に帰

    • 石積みから考える農村風景とか農業政策とか

      続いて11月の連休に開催された、石積み甲子園について。 主催団体は一般社団法人石積み学校。代表の真田先生は徳島大学に在任中から神山とのつながりが深く、ここしばらくは神山町創生戦略「まちを将来世代につなぐプロジェクト」のアドバイザーを長く務めている。金子さんは石積み修復ワークショップを町内で何度も開催していて、神山校にも毎年技術指導に来ている。 私は金子さんの石積み授業のコーディネートをしてきたりイタリアでの石積み合宿に参加させてもらったご縁があり、さらに開催場所が私の住む集

      • 学校という場を教育的価値だけで語らない

        我が家の庭には柿の木がある。でも高すぎて取れないからずっと放置してきた。 今年は特に豊作の年で、まち全体がオレンジ色に染まっている。 我が家でもたわわに実っていて、落ちるだけを待つのも申し訳ない気持ちになり、ついに高枝切りバサミを購入。最大の3mまでうんと伸ばしてクレーンゲームのごとく収穫した。ほったらかしの柿は最高においしかった。 10月、神山町で「School Food Forum2023 –地域でつなぐ農と食– 」が開かれた。自身が理事を務めるNPO法人まちの食農教育

        • ワーキング・ハネムーンのススメ

          2022年7月、コロナ禍かつ歴史的な円安のなかに出国。真冬の2月に帰国して、気づけばまた冬を迎えようとしている。 毎日が非日常だった旅に比べると、仕事の量もずいぶんとセーブして過ごした約9ヶ月間は、もどかしさと悩ましさと共に流れていったように感じる。それでも振り返るといろんなことがあったな。 思いつくままにたくさん書き並べる「やりたいことリスト100」の逆というか、去年くらいから「2023年に達成することベスト5」をつくっていて。5つだったら忘れないし力も注ぎやすいので自分に

        不妊治療と大学院受験と、それから狩猟免許。

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        • 世界を巡りながら見たこと考えたこと
          19本
        • 『まちの風景をつくる学校』の感想とかお知らせとか
          8本

        記事

          韓国語版出版のお知らせと、長いひとりごと

          拙著『まちの風景をつくる学校 神山の小さな高校が試したこと』が出版されて約1年。なんと・・・韓国語に翻訳されました!わーい! 訳者は『神山進化論』(学芸出版社、神田誠司さん著)の韓国語版と同じ方のようです。 訳者あとがきをgoogleレンズで訳してみたところ、このような一節がありました。(意味が読み取りにくい部分は、少し文を整えています) 力強いメッセージです。 この多くの人たちとともに積み重ねてきた取り組みや大事にしてきたことが、書籍という形で軽やかに海を渡って韓国の

          韓国語版出版のお知らせと、長いひとりごと

          手が動くときは動くままに。言葉はいつも後からついてくる

          トップ写真は我が家でとれたゼンマイ。庭にゼンマイがあることに昨年気づいた。今年も出てきてくれてうれしい。 7カ月に渡る旅を終えて、ついに帰国した。 2月の神山町は寒さがまだまだ厳しく、その一方で杉たちが我先にと花粉を撒き散らしはじめる、辛い季節がダブルブッキングするタイミング。 キッチンのオリーブオイルが固まるほど家の中は寒いし、油断してたらあっという間に鼻が詰まって眠れない日が続く。帰国のタイミング間違えたかも...と若干の後悔をした。 けれども、年度末は別れの季節。ち

          手が動くときは動くままに。言葉はいつも後からついてくる

          本を読むと旅に出たくなり、旅をすると本を開きたくなる|後編

          旅の途中に出会った本や映画を旅の記憶とともに綴る、後編。 フィンランド × 『かもめ食堂』 これはもう王道中の王道。小説があり、映画化もされている。 私はイタリアからフィンランドに向かう機内で映画版を観たんだけど、豪華キャストな四姉妹の話でしょ、と思ってたら違った。それは『海街diary』でした。 フィンランド語を話せる日本人女性がヘルシンキに自分の店を構えるところからストーリーが展開していくのだけど、主人公はおろかほとんどの登場人物のバックグラウンドは最後まで明かさ

          本を読むと旅に出たくなり、旅をすると本を開きたくなる|後編

          本を読むと旅に出たくなり、旅をすると本を開きたくなる|前編

          訪れる国や場所に関連する本を読むと、旅がより楽しくなる。 そして移動時間が多い旅では普段は読まない/観ないものにも触れやすくなる。 旅の途中に出会った書籍・映画を、旅の記憶とともに書き留めてみる。番外編です。 カナダ × 『the wilds 〜孤島に残された少女たち』 カナダ北部ホワイトホースでは、WWOOFサイトから連絡をとって肉牛&ハスカップ農家のもとへ滞在したのだけど、ここが結構ハードな環境だった。 滞在先として用意された木造の小屋は電気がなく、寒い時は薪ストー

          本を読むと旅に出たくなり、旅をすると本を開きたくなる|前編

          シエラレオネのパイナップルは青春の味

          昨年7月からはじまった、長すぎるハネムーンもそろそろ終わり。14カ国目となる最後の訪問国は、西アフリカのシエラレオネ。 Google mapで調べるまでアフリカ大陸のどのあたりに位置するのかさえ知らない、地球の歩き方も未発刊のこの国に来ることになった理由は、ただ一つ。友人がそこにいたから。 知り合いがいなければ一生来ることもないだろうなと思い、行っちゃうことにした。勢い大事! 高校時代の戦友でありシエラレオネ駐在中のスーパー商社マンが、我らのために調整を重ねてくれて、会社

          シエラレオネのパイナップルは青春の味

          気づいたらサハラ砂漠まで来ていた

          ▼ 前回の記事はこちら フィンランドからスペインでトランジット兼ねて2泊したのち、モロッコへ。 なぜモロッコに行くことにしたかというと。アフリカ大陸行ってみたかった→モロッコならヨーロッパに近くて行きやすそう→ナショナルフラッグキャリアのロイヤルエアモロッコがワンワールドに2020年から加盟したらしく、なおさら行きやすそう!みたいな単純な流れ。 あとは、この機会じゃないと今後砂漠に行くなんてことないかもと思ったから、かな。 知り合いがいるわけでもなく、軽い気持ちでなんとなく

          気づいたらサハラ砂漠まで来ていた

          フィンランドのサウナは焼きたてパンの香り

          ▼ 前回(イタリア編)の記事はこちら クリスマスと年越しはイタリアで。 ここではイブの24日に魚中心のディナーを家族で囲むのが伝統的なクリスチャンのクリスマスの過ごし方なんですって。25日はこれまでの賑わいはどこへ行った!?と思うくらい、街はシンと静まりかえっていて、お店はほとんど開いていないし、人の往来もまばら。みんな25日は家でゆっくりするんだねー。 12月31日。日本より8時間遅れて過ごす大晦日。SNSを開くと紅白やら年始の挨拶やらで賑やかで、私たちは特にすることな

          フィンランドのサウナは焼きたてパンの香り

          段々畑に魅せられた人たちとイタリアで

          イタリアの中部、海沿いにあるヴェルナッツァというまちに滞在した。世界遺産にも登録されている有名な地域で、カラフルな街並みに魅せられて夏は観光客が押し寄せるらしい。 オフシーズンの12月は観光客はまばらで、閉まっているお店も多い。人口700人ほどの小さなまちではみんながみんな知り合いな感じ。店先で出会って立ち話がはじまる光景をよく見かけた。夏は夏で活気があるんだろうけど、観光客で溢れかえるよりも住民が多い季節の方がずっと落ち着く。 ヴェルナッツァや連なる土地を総称するチンクエ

          段々畑に魅せられた人たちとイタリアで

          日本と言えば「SUSHI!」なイタリアの高校生たちと

          「来週、近くの農業高校でトークイベントすることになったよ。準備しといてね」 イタリアの中西部、海に面したヴェルナッツァというまちに着いた翌々日くらいのこと。棚田・神山つながりで数年前に出会ったマルゲリータの故郷に今回滞在させてもらうことになった。 その彼女からの突然のフリに慌てる私。 スローフード協会協賛のイベントとして、日本や神山町、そして高校プロジェクトについて話してほしいとのこと。最終的に、高校生向け3本と社会人学生向け1本のトークをした。日本大好きで神山の状況もよく

          日本と言えば「SUSHI!」なイタリアの高校生たちと

          フランスの古城で五右衛門風呂チャレンジ

          前回の記事はこちら。 オランダ滞在を終えて、ベルギーへ。バスで移動し、ブリュッセルで2泊した。 寒くなってきたのでコーデュロイパンツを30ユーロでゲット。ヨーロッパでは中心地にもたくさん古着屋があるのが印象的。簡単に捨てない感じがいい。 とりあえず元祖(?)小便小僧も見れたし、王道のベルギー料理も食べれたので満足。 ブリュッセルからは約7時間かけて列車でフランス南西部へ。 今回フランスでの滞在をホストしてくれたのは、みわさんファミリー。みわさんは徳島の藍住出身で、直接の面

          フランスの古城で五右衛門風呂チャレンジ

          住まいを共同経営するってどんな感じだろう? オランダのワーカーズコープ

          ▼ 前回の記事はこちら シューマッハ・カレッジでの滞在を終えた後、パートナーに合流するためイギリス南部・サセックスへ向かう。 列車代が高い(直前予約だとさらに高い)ので、節約のため夜行バスに乗ることに。夜行バスなんて学生ぶりかも。23:40の乗車時刻まで近くのパブでビール片手に2時間半くらい粘った。 サセックスの農場で先に働いていたパートナーと合流し、1週間ほど滞在した。 丘の上に位置する農場では時期もあって連日雨が降り、夜は台風かと思うほどの嵐が続いた。それも含めてやや

          住まいを共同経営するってどんな感じだろう? オランダのワーカーズコープ

          シューマッハ・カレッジ滞在後編|食とかエネルギーとか

          イギリスのシューマッハ・カレッジの滞在記後編は、コース以外で印象的だったことを徒然に。 ▼ 前回の記事 何が生まれるか、今は分からなくていい 自己紹介で、今はハネムーンを兼ねて来ていてトータルで9ヶ月くらいいろんな国を旅する予定だと話した。それを聞いて、講師のクリスは「rebirthだね」と。 「人間の命が生まれ出るまでに必要な期間が大体それくらいでしょう。そう考えると、旅を通して新たなものを生み出そうとしているのかもしれない。それが何かは今は分からなくていいよね」。そ

          シューマッハ・カレッジ滞在後編|食とかエネルギーとか