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転んでもタダでは起きない産後3ヶ月 |生後2ヶ月目のふりかえり


たぶんきっと、いつか振り返ったときにここ数ヶ月の写真の多さに笑ってしまうだろう。

子の変化はこれでもかというくらいスマホのカメラロールに蓄積されていく。成長目まぐるしく、顔つきもどんどん変わっていくので撮り逃したくないと思ってしまう。早くも「容量が不足しています」とアラートが出てしまった。

だってかわいいんだもん


対する私は、身体の成長はとうの昔に止まっていてこれからは下降曲線だし、自宅ではパジャマ×すっぴんでいることが多く写真に撮られてもうれしくない。目の前の存在を愛でていたら気づけば1週間が終わっていて、時の速さに驚く。
なので、というかなんというか、カメラには残らない親側の出来事や感情をこまめに書き残しておきたいと思う。


立場が変われば視点も変わる

1ヶ月検診を終えたあたりから身体のメンテナンスで各種病院に通いはじめ、ようやく体調不良のオンパレードも落ち着いてきた。最近は外食したり仕事の打ち合わせをしたり人の集まる場に顔を出したりと、少しずつ社会復帰している。久方ぶりに大勢の人が集う会食に参加したら、四方八方で飛び交う声のドッチボールに頭がクラクラした。

産後のこの時期はまるでリハビリのようだ。いや、リハビリか。身体的なことはもちろん、脳の動きもずいぶんと違う状態になっているようで、思考力が明らかに鈍化している。話している途中で自分が何を言っているのか迷子になってびっくりした。読みたかった本を前にしても、漢字が多くて頭に入ってこない。マミーブレインと呼ばれる、産後の女性には一般的な症状らしい。
回復長引くのはやだな...果たして回復できるのか…と不安になるのだけど、無理をしてもいいことなさそうなので、気楽に見れる動画を楽しむことにする。「虎に翼」がとてもいい。授乳しながらドラマ小説を見て爆泣きする母に、娘は戸惑っているかもしれない。
トラつばに限らず、家族もののドラマや小説に対してめっぽう弱くなった。乳幼児の痛ましい事故のニュースも、これまでとは感情移入のレベルが違う。なんならゆずの「ワンダフルワールド」の歌い出しで涙が出る。
立場が変われば視点も変わるもので、これまでも訪れていた店や施設に授乳室やオムツ替えスペースがあることを知ったりと、これまで気にしていなかったものが目に入るようになった。


まさかマダニに噛まれる日が来るとは

季節は春。厳しい寒さを越えた里山はぐっと暖かくなり、草木が芽吹き、庭からの景色も華やぐ。
気持ちのよい季節だが、いいことばかりでもない。春の訪れとともに現れるムカデ。田舎暮らしをはじめて9年目、ふと足元を這っていたり天井から落ちてきたりとヒヤリハットな経験は数知れないが、幸いまだ噛まれたことはない。
とはいえ今年は一日に4匹も家の中に出た日もあり、そろそろヤバい気がする。自分はもちろん娘が噛まれぬよう十分用心せねば...。

と思っていたら噛まれたよ!マダニに!私が!
おそらく庭に出た時に付着したんだろう。がっつり野良仕事をするときは服装にも気をつけていたのだけど、ちょっと収穫したり生ゴミをキエーロに捨てに行くときはスカート×素足×サンダルで行ってたからなぁ…。最近タヌキやらアナグマやらが庭をゆうゆうと散歩してたからなぁ…。
(この記事を読んでる方でマダニと聞いてピンと来る人、そんなに多くないかも。小さいので気づきにくく、感染症リスクのある厄介な存在。皮膚を噛んだまま吸血してくる。不用意に取ろうとするとマダニの口部が残って余計危ない)

自業自得でもあるのだけど、自宅の菜園にマダニがいたことは結構ショックだった。しかも皮膚科に行ったら局所麻酔打たれて皮膚切開されて病理検査まで出されて約8000円の出費。

極めつけは、抗生剤を飲むため1週間授乳禁止。
ここまでほぼ母乳でやってきていたのに、急に切り替えないといけないなんて。我が子、ごめん。田舎の洗礼や。これがきっかけで母乳拒否になったりしないといいのだけど。
しばらく落ち込んでいたのだけど、ふと気づいた。授乳しないということは…
お酒が飲める!!
思いがけずボーナスタイム!!

ということでアルコール解禁。約1年ぶりの酒を堪能しました。転んでもただでは起きないぜ。(しかしこの数日後、会議室のクーラーにやられて熱を出し、ボーナスタイムはほんの3日で終わった。)


家庭菜園があってよかった

夫が仕事に出ている日は基本家で過ごしている。娘氏は手足をバタバタさせたり、最近は自分の手を発見したらしくじっと手を見つめていたり。くるくると表情を変える様子は見ていて飽きない。
...と決まり文句のように言われるけどウソだ。一日中だとさすがに飽きてくる。

天気の良い日は子をリビングに寝かせてサクッと庭に出て野良仕事をする。泣き声が聞こえたらすぐに戻れる距離に畑があるのはとてもいいな。

ネットをかけそびれてびっしり黄色い卵が植え付けられたキャベツからせっせと青虫を取り除くのがしばらく日課だった。外葉はずいぶん食べられたけど、いくつかはなんとか収穫できるほどに育ってくれた。
スナップエンドウを宝探しのように収穫して、あまり大きく育たなかったホウレンソウ、ルッコラ、春菊はさっと洗って朝のサラダに。
かわいい紫色の花を咲かせたレッドムーン(ジャガイモ)。美味しいので種芋で継いでいたけど、今季は連作障害なのか一株にひとつずつしか実らず残念。
ニンニクの芽が途中で折れないように慎重に引っ張り上げる。新鮮な香りのまま豚バラと炒めて食べるのはこの時期の楽しみ。
ドクダミを摘んでカラカラに乾かしてドクダミ茶を、オレガノとローズマリーでハーブソルトをつくる。こんな時にサンルームは大活躍。

もともと食べることに関心の高い我が家だけど、リビングからなかなか離れられない今こそ庭に畑があってよかったと思う。娘と一緒に野菜を育てて食べる日が待ち遠しい。

ある日リビングで子を抱きながら窓越しに畑を見ながら、我が菜園はどうにも緑が多すぎてつまらないなとふと思った。野菜を植えたばかりのタイミングなので仕方ない面もあるのだけど。
コンパニオンプランツで彩りも加われば一石二鳥じゃないかと、マリーゴールド、ボリジ、ペインテッドセージを植えた。マリーゴールドは挿し芽で増やそうと挑戦中。カモミールの種もまいた。

お客さんを迎える玄関先ももっと華やぐといいなと、近所の無人販売所でいろんな花の苗を買ってきてせっせと植えている。
これまでの私は生産性重視で食べられるものしか植えず、逆に夫は食べられない花を植えてただただ愛でるという対照的な庭づくりをしていたのだけど、これからはどちらも楽しみたい。


3人で過ごす7周年記念日

夫と付き合って3年、結婚して4年が経つ。3人家族で迎えた7周年記念日。思い出の地に娘を抱えて訪れ、暗がりのなかホタルが舞う様子を眺めた。時間帯の関係もあるかもだけれど、7年前の目の前を埋め尽くすほどの光はなくて、すこし不安になる。この子が大きくなったとき、この場所からホタルが消えていませんように。願うだけでは足りないな。

太ももに娘を乗せて遊ぶ夫の横で、ソファに寝っころがる。ガラス張りの窓から差し込んでくる暖かい日差しが心地よい。窓の奥にはケヤキのたくましい幹とずいぶん伸びた胴吹き、そして見慣れたまちの風景が広がる。いつも近くで鳴いている鳥の名前を私はいまだに知らないことに気づく。
子の一挙手一投足を、夫とワイキャイ言いながら喜ぶ。平穏な日のなんと幸せなことよ。

我が子に思う「かわいい」とヨソの子への「かわいい」は似て非なるもの。そうだとしたら、我が子が見せる少しずつの成長も些細なハプニングも同じテンションで喜び逐一共有しあえるのは、いつもそばにいる夫だけなんだよな。どうか長生きしてください。


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