染み

こんなところに染みなんてあったっけ

自室の床に敷かれた薄茶色のマットに黒い染み

もう長年使用しているものだから 見渡すとぽつ、ぽつ、と黒い染みがある

しかし 昨日までは無かったはずだ

じっと目を凝らして染みらしきものを見る

するとその染みは かさかさ、と動いた

内心驚きながらも声は出さず もう一度冷静になる

小さな蜘蛛だった

この時期はよく外に 窓に 車に 蜘蛛の巣が張り巡らされている

なんで家の中に そういえば母が「最近よく家の中にいる」と言っていた気がする

ひとまず ノートパソコンを開く

「蜘蛛 家の中 多い」

「蜘蛛が多いのは 家の中に餌となる害虫が多いからかもしれません まずはその対策を」
とあった

しかも蜘蛛はその虫たちを食べてくれるのでむしろ「益虫」ですよとある

知りたくなかった

蜘蛛に悪い印象を抱いていたことに加えて そのほかに虫がいるだなんて

パッと視界を床に戻すと蜘蛛がいない 恐る恐る部屋を歩いて 見渡してみる

するとベッドに置かれた枕の上で動いていた

そっと枕を持ち上げ すぐさま外に放り出す

むしろ益虫なのに 害虫を食べてやってるのに

と声が聞こえてきそうだったが さすがに添い寝はお断りしたい

とにもかくにも 彼らへの偏見を改めること
そして すぐさま害虫対策をしなければと心に決めて外へ出た

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