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012 現代が「VUCAワールド」と言われる理由や意味

VUCAって言葉を最近よく聞くようになったけど、これってもともとは軍の言葉だったんだよね。

同時多発テロなど、これまでの軍の在り方では対応できない予測不可能な事象を指してVUCAと称したそうだ。

でも、SNSの登場以降、産業界でも使われ出している。

発信者が爆発的に増え、情報が交錯し、予測不可能な事態が生まれる様が、あたかもテロのように「同時多発的」になったためだ。

また、このような人為的な事態だけじゃなく、天変地異までも加わり、さらに予測不可能さが加速している。

これら社会現象や自然現象、双方の予測不可能性をVUCAと総称している。


Volatility(変動)

現在、産業面、消費者面、労働環境面、金融面、娯楽や教育面において次のような変動が起こっている。

1. 産業面の変動

現代の企業は様々な情報をデータ化し集められたデータを解析することで新たなサービスの提供している。

そこから、とつぜん破壊的なイノベーションが生まれることもあるだろう。

例えば、スマホとかドローン級のインパクトは今後も必ず現れる。

そうしたらどうなるのか?

インパクトはあっという間に全世界に波及し、それを素にさらなるイノベーションを生み出すんだろうね。

だとしたら社会や経済の変動はさらに加速されることになる。

2. 消費者面の変動

言うまでもないだろうけど、個人のニーズの変動は年々早まっている。

特に、消費行動におけるストックからフローへの転換は顕著だ。

アナログの象徴だった所有に意味がなくなり、必要な時に必要なものがあれば良いという社会になりつつある。

確かにこれまでだって、若者たちは年配者が眉間にしわを寄せるようなライフスタイルを作り上げてきた。

しかし、デジタル化社会に入ってからの変動は、これまでとは比べ物にならないくらい拡散スピードが早い。

そして新陳代謝も早い。

デジタル化の変動は、今のところ若者文化の段階かも知れない。

でも、やがて変動が当たり前になり、「ニューノーマル」と呼ばれる状態になるのだろう。

3. 労働環境面の変動

現在、働き場で起こっていることは、人がやるべきことを人がやり、AIやロボットでできることはAIやロボットが行う社会への転換である。

機械で容易には代替できないとされていたハイスキルな仕事もAIやロボットに代替されつつある。

このことが働き方そのものの変化をもたらしている。

企業は、終身雇用制度を改めるとともに、従来のゼネラリスト志向からスペシャリスト志向へと転換を図っている。

この流れに適応しようとしているのか、働き手の意識も「自分のキャリアは自分で作る」というキャリア自律志向へと移り変わっている。

そこにテレワークや働き方改革の流れが加わっているので、雇用の流動化と、雇用形態の多様化は、ますます進むと考えられる。

4. 金融面の変動
現在、フィンテックと呼ばれる金融面の変動が起こっている。

スマートペイメント、クラウドファンディング、クラウド会計、個人資産運用サービス、ソーシャルレンディング(お金を借りたいニーズとお金を運用したいニーズを結びつけるマッチングサービス)などへの転換である。

やがて経済活動が完全にデジタル化される可能性があると言うことだろうか。

もし、そうなら、我々の経済認識も大きく変わり、これに伴い産業構造の変化や、我々のライフスタイルの変化も必然的に起こるだろう。

というか、すでに起こっている。

5. 娯楽や教育面の変動
今、VR(仮想現実:Virtual Reality:バーチャルリアリティ)やAR(拡張現実:Augmented Reality:オーグメンテッドリアリティ)を使ったサービスが急速に増えている。

これに加えて5Gなど、これまでとは異なるレベルのデータ交換が実現するから、娯楽や教育に留まらず、文化全般に大きな変動が起こると予想されている。

この変動がもたらす未来を想像すると、どうしてもSFチックになってしまう。

現実とバーチャルの区別がつかない社会なんてのが、果たして来てしまうのだろうか?

Uncertainty(不確実)

「Uncertainty(不確実)」とは、「コロナ禍」や「自然災害」など、発生確率が不明で計算できない状態を言う。

今回のコロナ禍でよく分かったけど、発端は自然現象でも、必ず「政治」「社会」「経済」に影響を及ぼし、さらなる不確実性を招くということだ。

それを事前に予測することはできない。

1. 自然
自然災害は、地震、津波、台風、洪水、火山噴火、今までになかったウイルス等によるパンデミックなどがある。

これらが発生することで、人の考え方や行動が一気に変わるのは、今回のコロナ禍でみなが体験したところだろう。

2. 政治・社会・経済
戦争、国家間の対立、デフレやインフレ、株価の暴落、金融機関の破たんや大型倒産、新たな産業の勃興や衰退を予測することはできない。

このように大きな話に限らず、政治・社会・経済における人々の認識変化も予測はできない。

話題になったことを取り上げれば、環境汚染や生態系破壊に対する認識、民族・LGBTQ・障がい者に対する認識など、ここ10年で大きく変化している。

これ以外でも、倫理問題は科学の発展とともに大きく変化すると予測できる。

おそらく最大の倫理問題になるのは生命に関することだろうね。

どう生きるか、どう死ぬかなど、これら生命に関することは科学の発展や文化の成熟に伴い、どんどん認識変化を起こすと思う。

そして、これら認識の変化は、やがて政治・社会・経済に反映され、予測できない変化を生み出すはずだ。

Complexity(複雑)

「Complexity(複雑)」とは、創発や自己組織化など、膨大な要素が絡み合った状態を言う。

自然の仕組みにこの「複雑」があるため、多くの現象は予測不可能となっている。

1. 創発
創発とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることを言う。簡単に言えば、1+1が3にも4にもなる現象である。

例えば、スマホやSNSの普及後、世界規模で様々な文化が創発されている。そして社会や経済の複雑さを加速させている。

2. 自己組織化
自己組織化とは、相互作用により自発的に特定の秩序構造を形成する現象のことを言う。

自然発生的に生まれた現象は、どれも自己組織化とも言えるが、残念なことに、現代においても、いつ、どこで自己組織化が起こるのか、これを予測することはできない。

Ambiguity(曖昧)

「Ambiguity(曖昧)」とは、どちらか一方に決めることが出来ない多義性をもつ状態を言う。

社会的な言葉は、文化、教育、時代、宗教、民族、それぞれの価値観によって解釈が異なり、すべての人が納得する解釈を見つけることはできない。

たとえば、性の多様性を表現する言葉は、ついこの間まで「LGBT」だった。

ところが現在では、LGBTにQ (クィア:Queer:性的少数者全体を包括する用語)を加えて「LGBTQ」という呼び方が主流になりつつあるようだ。

しかもそれでオーソライズされたとわけじゃなく、人や団体によって、LGBTTT、LGBTTQQIAAP、LGBT(Q(IA))+、・・・、総称してLGBTQ+のように、さまざまな表現が併存している。

また、性の多様性だけでなく、現在、環境汚染や生態系破壊、AI化社会、再生医療やデザイナーベイビー、安楽死や認知症による意識の終焉など、新たな多義性のある問題が発生している。

これらも社会に変動をもたらす要因になることは覚悟しておいた方がよさそうだ。


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