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気血水について

前投稿で、漢方についておおまかな説明をしました。

今回は、「気・血・水」について説明していきます。

気血水とは?

中医学において、体は「気・血・水」で構成されると考えられています。

・「気(き)」とは

目には見えないが、体内の器官の働きや機能をささえて正常に保つエネルギーの源で、体を動かしたり、新陳代謝を促し、血液や体液を生じ巡らせ、体を温めたり、病に対しての体の抵抗力に関係しています。
「気」がつく言葉にも由来します(元気、勇気、活気など)。
人間が生命活動を営むための生理機能であり、 生命の根源とされています。
気の作用
推動作用:成長発育、血液循環、ホルモン分泌などの生命活動を推進する。
防御作用:病邪と闘争し、体内への侵入を防ぐ(免疫機能維持)。
固摂作用:異常発汗や出血、失禁を抑制する(漏出・排泄過多の統制)。
温煦(おんく)作用:体温の維持、熱の産生および組織器官を温める。
気化作用:気・血・津液(水)の相互変化や代謝を行う(物質転化)。
https://www.kampoyubi.jp/learn/basic/02.html (漢・方・優・美 クラシエ薬品 漢方医学の概念より)
気は、
・呼吸(清気)と飲食物(水穀精微)からなる「後天の精」
・親からもらった「先天の精」
から作られます。
気の不調は、気虚、気滞、胃下垂など内臓下垂がある「気陥」
しゃっくりやゲップ、喘息、怒りやすいなどの症状が出る「気逆」などを招きます。

・「血(けつ)」とは

気の作用により血脈中を絶えず循環している赤い有形の物質です(単に血液や赤血球を指すのではありません)。体内全身を巡り各器官や組織に栄養と潤いを与えて内臓の働きを支え、筋肉や骨を丈夫にし、また代謝産物を回収する役割を担っています。
また体をあたため、精神を安定させる働きもあります。髪や爪、筋肉などに潤いをもたらす。


・「水」すなわち「津液(しんえき)」とは

血液以外の水分、汗、涙、唾液、尿、リンパなどの体液の事で、生命活動に必要な水分すべてを指し、水分代謝に関係しています。
血とともに脈管内を循環し、脈管外にも浸透して組織・器官・臓腑・骨髄など全身を潤し五臓の働きや排泄をスムーズにしたり、関節の動きを滑らかにしたり、体温調節を助ける働きもあります。
例えば、皮膚や髪など全身に潤いをあたえ、涙や唾液などで粘膜を潤します。体内で血を作る重要な要素の一つでもあります。


気・血・津液に過不足がなく、滞りなく体内を巡っていることで健康な状態が保たれます。


ではこれらのバランスが崩れると、どういった状態に陥るのでしょうか?

気の不調

①気虚(ききょ)
過労や睡眠不足などが原因で、人間の活動のエネルギー源である「気」の量が不足している気虚の状態で、エネルギーが足りていないので疲れや倦怠感があります。また、体を温めることができず冷えを感じることもあります。

「気」は食べ物が胃腸で吸収されて作られます。気虚体質は、胃腸が弱まり、消化吸収機能が低下しているため、上手に「気」が作れません。食欲不振や胃もたれ、軟便・下痢を起こしやすいです。

過労も気虚の原因となり、ストレスや緊張などの精神的なダメージが加わると、さらに「気」を消耗します。

花粉症などアレルギー体質、かぜをひきやすい方、季節の変わり目に体調を崩しやすい方、寒暖差に弱い方が多いようです。

胃腸も弱く、食欲不振や胃もたれ、軟便・下痢をしやすい人も。体力も無く免疫機能も低下し、風邪を引きやすく、治りにくく不調が長引くのも特徴です。

主な症状
・疲れやすい、倦怠感や無力感がある
・かぜをひきやすい、なかなか治らない
・呼吸が浅くて息切れしやすい 
・軟便、下痢しやすい 
・食が細く、胃もたれしやすい 
・食後すぐ眠くなりやすい
・声がか細く、大きな声が出ない 
・アレルギー体質 
・生理中にだるさがひどくなる 
・やる気が出ない
・下腹がボコッと出ている(内臓下垂)
・下半身太りで、上半身はやせ気味 
・体重の割に体脂肪が多い
・体温が低い、手足の冷え      
・朝、なかなか起きられない 
・肌がたるむ
・肌にハリがない、顔に艶がない  
・生理が繰ると下痢しやすい 
・ベロの状態
大きく厚い、ぽってりしている。あるいは細く小さい。
どちらも淡く白い、舌苔も白っぽい
水分代謝が悪くて歯型がつくこともある。

②気滞(きたい)
「気」の巡りが悪く停滞している状態で、自律神経系の緊張やコントロールができなくなり、イライラや不安、精神的な落ち込み、憂鬱感などといったストレスを感じやすく気持ちが不安定な症状が現れやすくなります。

また、気分のむらが食事や排便などに影響し、体重の増減が激しくなったり、「気」の巡りが悪いので片頭痛があったりもします。

胸や脇、お腹が張って苦しい、ゲップやガスが多いなども気滞の特徴的な症状です。

女性の場合は、排卵期や生理前は特に「気」が滞りやすい傾向にあります。

吹き出物やじんましんも出やすいです。

主な症状
・よくため息をつく 
・のどにものが詰まったような感じがする 
・頭痛や肩こり
・イライラして、怒りっぽい 
・しゃっくりが多い
・ストレスで痛みが増強する
・毎日が忙しく時間に追われている
・落ち着きがない
・不安や憂鬱感がある 
・ストレスが過食に向かいやすい 
・拒食・過食を繰り返す 
・急にドカ食いしてしまう
・体重の増減が激しい 
・胃やおなかが張り、ゲップやガスが多い
・お腹周りを中心に全体的に太っている 
・便秘と下痢を繰り返す 
・胸や脇が張る、生理前に下腹部や乳房が張る
・生理不順 
・PMS(月経前症候群)がある
・混合肌
・吹き出物がでやすい
・ベロの状態
舌の先、舌の周りが赤い、舌苔が黄色っぽい(熱がこもっている)、
あるいは白っぽい(冷えがある)。

血の不調

①血虚(けっきょ)
心と体に栄養を行き渡らせて老廃物を排出する「血」が不足している、あるいは、「血」を作り出す肉体的エネルギー不足の状態です。

「血」が不足すると、疲れやストレス、冷えなどが原因で新陳代謝が低下し、血行不良で循環が悪くなることで全身に栄養が行き渡らなくなり、貧血の傾向やめまい、顔色が悪い、こじわや肌や髪の乾燥、眠りが浅い、不安感が強くなる、しびれやけいれんなどの症状も現れやすいです。

女性は月経や妊娠、出産で「血」を消耗するため血虚になりやすい傾向があります。
目の酷使や少食、偏食傾向の方も注意が必要です。
また、血虚の状態が慢性化すると、妊娠しにくくなる可能性があるので要注意。

主な症状
・抜け毛、薄毛、白髪が多い 
・髪にツヤがなく、枝毛になりやすい   
・目が疲れやすい、かすむ
・動悸
・手足の痺れ
・筋肉の痙攣
・やせぎみ 
・不安、落ち込みやすい
・皮膚が乾燥しカサカサしてツヤがない 
・爪が白っぽく、薄くて割れやすい 
・顔色が白く、ツヤが無い 
・乾燥肌、シワが多い
・貧血になりやすい
・めまい、立ちくらみがする
・眠りが浅い、夢をよく見る 
・物忘れが多い 
・生理が遅れがち
・生理の量が少ない
・ベロの状態
表面に細かいひび割れや、太い溝がある。色は白っぽくて細くて小さい

②瘀血(おけつ)
血液そのものと、血液が運ぶ栄養素や酸素、ホルモンなどを含めた「血」の巡りが悪く滞り、体に栄養素が巡らず、汚れが溜まって滞っている状態で女性に多いタイプです。冷えやストレス、過労、運動不足などが原因で起こります。

更年期でホルモンバランスが乱れても起こりやすくなります。

巡りが悪いことから、皮膚のトラブル(しみ、くま、くすみ、ニキビ、肌あれなど)に悩みやすい傾向です。
また、老廃物が溜まりやすくなり、循環器トラブルにつながることがあります。
血行が滞りは、肩こりや関節痛、頭痛、生理痛など刺すような痛みも招きやすく、ポリープや腫瘤の原因となることもあります。高血圧などの生活習慣病にも注意が必要です。

主な症状
・シミやそばかすが多い、唇の色が暗い
・ニキビができやすい
・目の下にクマがある
・肌がくすみやすい、色が暗い
・あざができやすい
・皮膚がカサカサ
・出血しやすい
・頭痛、肩こりがある (その他局部的に刺し込むような痛みがある)
・動悸や不整脈がある
・下肢の静脈瘤がある
・皮膚の毛細血管が浮き出ている
・血圧、血糖値の異常
・生理痛がきつい、
・月経量が多く経血に塊が混じる
・子宮内膜症や子宮筋腫がある
・爪がわれやすい 
・冷えやのぼせがある
・冷房の冷えに弱い 
・脂肪肝など内臓に脂肪がつく
・血中コレステロールや中性脂肪が多い
・食事やライフスタイルに気をつけても太る
・見た目より実は体重がある
・ベロの状態
色は暗い、あるいは青紫色、部分的に紫色のしみ(瘀斑)がある。
裏側の血管(静脈)が太く目立つ


水(津液)の不調

①陰虚(いんきょ)
陰液、体内をめぐる「水」が不足し、潤いがない陰虚の状態です。ストレスを溜めやすい女性に多いタイプです。

体に必要な潤いが不足すると、体内の熱を冷ますことができなくなり、のぼせやほてり、口の渇き、微熱などの症状が出やすくなります。
秋の乾燥に弱く、便秘や肌の乾燥、からぜき、便秘症状がでることもあります。

潤いは加齢とともに不足していき、更年期が近い40歳以降によく見られます。
また、睡眠不足や慢性病が原因となることもあります。
気持ちがそわそわして落ち着かず焦りを感じたりすることもあります。
更年期のホットフラッシュ(のぼせ火照り発汗)や夕方になると熱っぽくだるくなることの原因にもあります。

主な症状
・目が乾きやすい
・肌がカサカサする、かゆみがある
・便がコロコロしている、硬くて出にくい
・尿量が少ない
・髪のぱさつき
・寝汗をよくかく
・不眠
・耳鳴りがする
・のぼせ、ほてりがある
・のどが渇きやすく、冷たいものが飲みたくなる
・空咳が出る
・やせぎみ
・生理の周期が短い
・ベロの状態
乾燥していて、細かいひび割れや部分的に舌苔が剥がれている。
細く小さい、色が赤い

②痰湿(たんしつ)
津液(血液以外の体液)が滞って水分代謝が乱れ、体内に余分な水分がたまっている状態で、冷えや水分の摂りすぎからもおこります。

水分の代謝には、脾、肺、腎臓が関係していますが、特に腎臓の働きが低下していると、水分が体に溜まりやすくなってしまいます。また、肺と脾に異常があると、むくみや喘息などの症状も現れてきます。

余分な水分が溜まっているので、ぽっちゃり体型(下半身ぶとり)で、たまった水分により分泌物が増えるため、汗をかきやすく、鼻水、目やになどが出るほか、吹き出物や痰、軟便や下痢、水っぽいおりものなど、体が余分なものを外に排泄しようとして症状が現れます。

梅雨の時期に体調を崩しやすく、頭や体が重だるく感じやすいのも特徴です。特に腰や足などに溜まりやすく、冷えを生じます。

特に「熱」があると、口の中の粘り、汗の生臭さや、黄色く濁る尿が出たりすることもあります。
甘いものや脂っこいものが好きな方や運動不足の方に多い傾向があります。

主な症状
・口がネバネバし、舌の表面に苔がべったりついている
・むくみやすい
・冷えやすい 
・太っている(水太り)
・お腹がちゃぽちゃっぽしている
・軟便、下痢をしやすい
・痰が多い
・血中コレステロール、中性脂肪が高い
・雨の日に体調が悪い
・体が重だるい 、倦怠感
・喉が渇きにくい
・めまいがする
・吐き気
・アレルギー性鼻炎
・喘息
・蕁麻疹
・水っぽいオリモノが多い
・一日中眠気が取れない
・イボやしこりがある
・ニキビ、吹き出物がある
・泥状の便、残便感がある
・ベロの状態
舌苔が厚い、ねっとりべっとりとつく
気虚を伴う場合、舌の周りに歯形がつく
舌苔が白っぽい(冷えがある)、あるいは黄色っぽい(熱がこもっている)


まとめ

気血水のバランスを整えることで体の各臓器の機能も整います。なんとなく不調があるような、病気の一歩手前の未病の段階で、自分の体質がどういった状態なのか把握し自分の不調の原因に気づけたら症状改善へのアプローチにつながると思います。

最後に私もよく拝見するサイトを貼っておきます。

クラシエ カンポフルライフ
クラシエ 漢方セラピー
COCO KARA こころとカラダの元気をつくる 中医学情報サイト
漢方ライフ

漫画でわかりやすく学べます↓


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