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扉の向こう

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#存在

空

都会とも田舎とも
どこか違った風景の
この街は
ふと眺めるといつも
朗らかな時を演出していた

街路樹を歩く僕は
悲しいほど美しい冬空に
涙を誘われた

幸せの羽根を乗せた気球が
そこかしこに浮遊していて
ふと手を伸ばせば掴めそうな距離で
僕の周りを
くるくる回っていた

本能と欲望の瞳は
幸せを望み
それが
快楽なのか幸せなのか
ぼんやりとした意識の中では
認識を取り違えたまま
残りの砂時計が物

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存在

あなたがここにいる
ほかの誰かじゃない

あなたと手を繋いでいる
ほかの誰かじゃない

ただそれだけで
ぼくは全宇宙を肯定したい
今日がはじまる

長い長いトンネルを
まっしぐらに歩いた
いつの間にか
鎧が砕けて
着ていた衣はほどけ
裸で歩いていた

ふと我に返ると
ブラックホールのような空間にいた
そこでは無秩序の扉が大量に量産されていた
手元の方位磁石は
クルクル クルクル 泣きわめいていた

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