働き者の脳を少しでも休ませたいあなたへ
朝、どんな気持ちで1日を始めていますか?
私はと言うと、朝から頭の中でのおしゃべりが多く、落ち着きがない。
「今日はこれとこれを終わらせる日。そのためにはまず、あれしてこれして…」
「家を出るまであと20分か。朝ごはんはすぐ食べられるグラノーラにしよう」
「今日はどのくらい暑くなるんだろう。半袖で大丈夫かな」
「あっ、あの人に連絡返してなかった!」
さらに、SNSを開けば、たくさんの人の日常がずらーっと流れてきて、脳内のおしゃべりはますます加速する。
こんな調子なので、これから1日が始まるというのに朝から焦ってしまい、すでに息切れしていることが多い。
私の脳は働き者なのだ。
そんな働き者すぎる脳に、どうにか一息ついてもらいたい。
そう思っていたら、ある方法に出会った。
それが「マインドフルネス瞑想」である。
ということで、今回の朝の工夫は、「起きたらマインドフルネスタイムをつくる」です。
マインドフルネスってなに?瞑想って難しいのでは?
正直、私もよく分からなかったのでまずは「マインドフルネス瞑想」について調べてみると…。
マインドフルネスとは、「今、この瞬間の自分の状態に意識を向ける」こと。
そのための方法として「瞑想」が使われる。
マインドフルネス瞑想には、脳がリラックスして、不安な気持ちやストレスが軽くなる効果があるそうだ。
たしかに、気持ちが落ち着かないときは、過ぎたことを後悔したり、先のことを考えて不安になったりと、心ここにあらずなことが多い。
ゆったりとした気持ちで1日を始められたら、もうそれだけでうれしい。
追われて始まる朝じゃなくて、始まりを歓迎する朝がいい。
でも、瞑想ってなんだか難しそう。
あぐらをかいて、無にならなくちゃいけないんじゃなかったっけ?
余計なことを考えると、お坊さんに肩をたたかれるんじゃなかったっけ?
脳内おしゃべりが止まらないわたしが、無になれるのかしら……。
そんな不安を抱きつつ、物は試しということで、とりあえず1週間続けてみることにした。
***
毎朝10分を1週間続けてみた
私は初心者なので、指示を聞きながら実践できるように動画を参考にすることに。
「まずは、イスやソファにリラックスして座りましょう。あぐらでも大丈夫です。」
女性が落ち着いたトーンで優しく指導してくれる。
背筋をピシッと伸ばさないといけないのかと思っていたけど、背もたれに寄りかかってもいいようだ。早速、その言葉に甘えて、肩の力を抜いて安心してソファに寄りかかる。
「目を閉じましょう。今どんな音が聞こえますか。からだにはどんな感覚があるでしょう。」
エアコンから風が出ている音と、時計の秒針が規則正しく動く音が聞こえる。さらに耳を澄ますと、外からは車の走る音も聞こえた。
腕にはエアコンの風がやさしく当たってひんやりしている。おしりや背中は温かく、ソファの柔らかさを感じる。床についている足の裏は少し冷たい。首の後ろには、髪の毛が触れている感覚がある。
何もしていないのに、ただ座っているだけでこんなに感じることがあったんだ。
「呼吸をしながら、心の中で数を数えていきます。吸う息で1、吐く息で2、吸う息で3、吐く息で4……と10まで数えて、これを繰り返します。
無理に深呼吸しようとせず、自然な呼吸で大丈夫です。数えているときにいろんな考えごとが浮かんで来たら、その考えを観察して、また数えることに意識を戻しましょう。」
吸う息で1、吐く息で2、吸う息で3、吐く息で4……。呼吸をしながら心の中で数えていると途中で意識がそれて、ある心配事が浮かんできた。
でも、言われた通りに、心配事を無理に消そうとせずに観察した。
テーブルに置いてあるコップを「コップがそこにあるな」と、眺めるような感じで。
そしてまた、数を数え始めた。
「数えるのをやめて、沸いてくる思考をそのまま自由に流します。」
数えるのをやめると、川の流れをせき止めていた石が外れたかのように、考えが頭の中にたくさん流れてきた。それを全部そのままにした。考えが自由に動き回っているような感じだった。
「からだの感覚に意識を戻して、ゆっくりと目を開けてください」
ゆっくりと目を開けると、目の前が明るくなり、テレビ、窓、カーテン、窓から見える向かいの家の屋根、いつもと変わらない光景がそこにはある。
呼吸は深くゆったりとしていて、胸はドキドキしていなかった。気持ちがどっしりと構えている。わちゃわちゃしていた頭の中がクリアになったように感じた。
すごい!
「マインドフルネス瞑想」さん、ごめんなさい。
私、正直ちょっと疑っていました!
***
不安や心配事にも居場所をつくる
これを数日続けているうちに、起きてからの10分間の瞑想が楽しみになっていることに気がついた。
マインドフルネス瞑想の好きなところは、「考え事から離れる時間をつくれること」と「思考に対してなんの判断もしないという考え方」だ。
目をつぶって五感に集中しようとすることで、自然と考えることから離れて、感じることに切り替えられる。考え続けるのは疲労感があるけど、感じることは脳が休まるのか、リラックス効果がある。
もし、なにか考えが浮かんできても、追い払わないというのもいい。
たとえば、今までなら「今日仕事行きたくないなあ」というネガティブな考えが浮かんできたら、なんとか考えないようにしたり、時には考えた自分を責めたりしていた。でも今は、「自分は仕事行きたくないと思ってるんだなあ」と考えをそのまま受け止めることができる。
ポジティブな考えも、「そんな風に感じているんだな」くらいの姿勢で受けとる。感情をポジティブとネガティブで分けないというのは新鮮だった。
どんな気持ちになってもいいという安心感は、どんな励ましの言葉より心強い。
気持ちがザワザワするのは、自分の気持ちを「善い・悪い」の2択で判断して、悪いと判断された気持ちが行き場をなくしていたからかもしれない。
「朝に10分間、瞑想をする」と決めておくことは、考え続けている状態から離れる時間と、不安や心配、意地悪な気持ちやずるい気持ちもまるっと受け入れる箱を自分につくってあげることだと感じた。
***
隙あれば感じる時間を。
とは言えども、だ。
みなさんを代表して私が元も子もないあの事実を伝えよう。
「朝はなんといったって忙しい!」
10分どころか、少しも時間がとれない日だってある。
いや、むしろそんな日ばっかりだ。
そんなときは、朝の準備をしながら、五感を意識してみるのもよい。
瞑想は、あくまでも今に意識を向けるための方法のひとつなので、瞑想にこだわる必要はないそうだ。
個人的におすすめなのは、顔を洗う時や拭くときに、めちゃくちゃ大事なものを扱うように肌に触れることだ。わたしは、赤ちゃんの肌に触れるつもりで触っている。
これを意識するのと、なにも考えずに行うのとではまったく違う。
やさしい気持ちになれるのだ。
もし、いつもテレビをつけているなら、テレビを消して、部屋の中や外の音を聞いてみるのもいいかもしれない。
カーテンを開けたついでに窓を開けて、外の空気を感じてみたり、
朝ごはんを食べるときに、いつもより味や香りや食感に集中してみたり。
こうやって考えてみると、いつもの朝の中に、マインドフルネスチャンスはたくさんある。
1日が本格的に始まると考えることは山ほどある。
だからこそ、その前にちょっとだけ「感じる時間」をつくること。
ただそれだけで朝の始まりはこれまでとは全然違ったものになる。
みなさんは、朝、どんな気持ちで1日を始めたいですか?
【参考サイト】
・”マインドフルネスとは?”
NHKオンラインhttps://www.nhk.jp/p/kyonokenko/ts/83KL2X1J32/episode/te/9YMMZ1WG3Y/
・”五感を使えばすぐに”今ここ”。マインドフルネスに。”
Mindful.jp|https://mindful.jp/2020/12/14/702/
【参考動画】
朝の瞑想 10分マインドフルネス瞑想 [五感を使い、五感を鍛える] | Wellness To Go by Arisa
https://youtu.be/4KDzxSTclJo?si=wU4aDdB9ChmwyZM1