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間接照明(半分×ろうそく)

 パーティーで出会った俺の彼女はインテリアショップで働いていてとても趣味がいい。今までコーディネートした部屋の写真を何枚か見せてもらったが、少し薄暗くした部屋にはキャンドルが灯されていて、まるで寛ぎのカフェのようなのだ。
 そんな彼女とのデートは専ら外でだったのだが、今夜初めて部屋に行くことになった。いつもよりオシャレをし、差し入れを買って約束の時間にチャイムを押した。
 出てきた彼女はとても嬉しそうで俺も思わずニヤける。
「今日ここに来ることは誰にも言ってないよね?」
『うん約束だからね。付き合ってることもまだ誰にも言ってないよ』
 俺は緊張で乾いていた喉を潤すため、出されたお茶を飲み干した。
「良かったぁ!!」
 彼女はそう言うと、いつもの様に俺の腕にぶら下がって甘えながらとある一点を指差した。
「あそこを見てみて~!間接照明をあと一つ作りたかったんだけど丁度いいって思ってたから」
 クラっ……薄れゆく意識のなか、そちらの方を見ると人間の上腕で作られたと思われる関節照明が……。

                 (了)


このお話はこちらの企画に参加していますφ(..)✨

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