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きまぐれジュリエット(ジュリエット釣り)
「さよなら……」
そう呟くと私はゆっくりと瞼を閉じた。
あの人は私の身体を抱き締め咽び泣いてくれた。
斎場に到着すると、丁重に見送られ出棺の時刻になると係員があの人とあの人の家族に深く一礼をして点火のボタンを押した。
──「はい、お疲れ様!ご遺族には今回もレプリカのご遺骨をお渡ししておいたから」
「ん……ありがとう」
自動プログラミングシステムにより再起動した私は両手を地面につき深い伸びをした。
「しかしつくづくあなたって罪作りね。生活に飽きたら異物を飲み込んだフリをして仮死状態になって飼い主から逃げ出すなんて」
「だってより良い環境で生活したいじゃない。あいつの顔は良かったけど、私に付きまといすぎたのよ。ウザくてしょうがなかったわ。仕方がないのよ」
「美しいジュリエットは罪作りね」
「なんとでも言うがいいわ。さて、次のターゲット〈釣り相手〉を探さなきゃ」
そう言うと私は肉球を舐め、そして丁寧に毛繕いをはじめた──。
(了)
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