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ゲームの課金観の変遷について

人を雇ってプログラムを書かせたり絵を書かせたりするにはお金がかかりますし、集客してユーザをゲーム内に定住させるためのサーバを借りたり保持するだけでネット代やレンタル代がかかります。

したがって上記作業が常に求められるオンラインゲームはそれなりに課金制であって然るべきであるように思えます。

オンラインゲームの定義も変化している。

データから何から全て運営者の保持するサーバ内のみにセーブする。運営企業がもし突然いなくなったら、自分が課金したデータも何も消えてなくなる。アクセスできなくなる。

そこに何かが確かにあったことすら証明できなくなる(ゲーム運営会社が借りていたサーバか何かを探り当てて個人的にリース企業に行くなりしてアクセスするというような極端な例を除きます)。

無料ゲーム DMMの場合

しかしながら一般的なオンラインゲームは無課金前提だったり、ゲーム運営側自体が無課金である程度遊べたりすることを広告上で打ち出すほどその非課金性をアピールすることも多い。

今回引き合いに出そうとしているDMMのオンラインゲームTOP PAGEの様子を例に出します。

例に出します、という以前に画面移動のための上カラムが

トップ 基本無料ゲーム 有料ゲーム 遊び放題 コミュニティ

となっていて、無料のゲームがあることを前面に出すことで集客を狙うというマーケティングモデルを実践していることがわかります。

この画面はDMMにログインしなくても見られます。

つまりDMMに興味があってページを開いていても、無料じゃないと遊ぼうとしないユーザ層が確実にいる、と見据えられている。

プラットフォームを運営するDMMではなく、ゲームを提供しているゲーム開発、運営会社が喜ぶかどうかはわかりませんが、少しでも無料でゲームを提供してくれている会社へ集客サポートをしているのか、あるいはプラットフォームを貸し出している企業としてのカスタマーサービスの一貫なのか「各ゲームでとにかく一回遊んでもらうことにより、プラットフォーム内通貨=ゲームで使える通貨であり、本来入手するには実際の金銭が必要となる物が手に入る」というキャンペーンをDMMは通年で開催しています。

とにかく無料(で遊べるという触れ込み)での集客に力点を置いている。

時間を遣わせる

ビジネスモデル―――とか偉そうなことを言わずとも、子供でも思いつくとは思いますが―――としては「無料で遊べるゲームがこれほどまでに多く存在しているのだから、とにかくまずは一度でも触れてくれよ、という『ゲームとの出会い』がコンバージョン」であることは一目瞭然だと思います。

そこでゲームに継続的にログインするユーザ=「毎日、毎週」というような一定の周期でゲームで遊ぶ習慣を持つユーザを誕生させられれば、あるいは当該ゲームが魅力的であることが伝われば、大体のゲームに共通する「毎日ログインすることでゲーム進行が有利になる系のシステム」をユーザが自ら学び取ってくれる。実際毎日何かもらえるならいくらか(何かが)確実に有利になることぐらいわかりますね。

さらにゲームを有利にすすめるには(ちょっとプラットフォーム側に金銭を提供してやって)「ゲーム内であれを買えば・これを買えば、自分が遊んでいるゲームをより楽に進められる」と、そこまでゲームにのめり込んだユーザならば理解してくれていることでしょう。

もうちょっと言うと、ログインを何回もさせるということはそれだけ時間を注ぎ込ませることを意味しており、かけた時間によって得たゲーム内道具なり経験なりというサンクコストをユーザ側に無理やり与える行為でもあります。サンクコストがあるとなかなかその環境を捨てることができない。つまりゲームに依存する。俺が遊んでいるゲームはコンコルドなのだと。これについては下記リンクとかでもう少し踏み込んで話しているかも知れません。

余談ではありますがひとつ問題があるとすれば、DMMに限っては最低課金額が2000円であるということ。

ぼくが知り得る限りという狭い範囲ではありますが、はっきりと2000円が必要な商品というものはあまりゲーム内で見かけることはなく、「なにか有料品(品、と形容しましたがゲーム内商品なため単なるプログラムでしかありませんが)を買って、目の前のたったひとつの問題だけクリアしたい」という場合には大抵ワンコイン程度で済ませられる=ワンコイン程度課金できればだいたい解決できることが多い。

つまり、「DMMプラットフォーム内で提供されているゲームに対し金銭を支払いたい」と思った際、残金(点)がなければいきなり2000円がDMMへ引き渡されなければならないという状況を意図的にプラットフォームであるDMMが築いてしまっている。ユーザにとって不利益を強いている。

2000円というのはファストファッション店なんかだったらふたつぐらい服が買える額です。

他例として、生活必需品である食べ物をスーパーで買うことを考えても、2000円あれば10日ぐらい持たせられる材料が買えそう。

低脂肪でないノーブランド牛乳の額下限を160円ぐらいだとすると、2000円で12.5個買える。12.5リットルですね。とても賞味期限内では飲みきれない量です。

2000円にはそれだけの価値があり、課金するための最低ラインをDMMが2000円と定めていることに対しては上記の通り疑問が残る。

ただ、それでも課金したほうが楽だから課金したいというほどまでユーザをゲームファンとして育成できれば、マーケティングは完全に成功したと言えますが、そう簡単に当該ランクのお得意様を増やすなんてまずできません。

増やせたら増やせたで、その購買行動を継続してもらわなければならない。あるゲームのどっぷりなゲームファンひとり創るためには、ゲームの種類を乱造や乱発と言われてしまうことにもめげずに増やし、認識してもらうという行動がどれほど必要か、「ゲームとの出会い」のための裾野をどれほどまでに増やさなければならないかが伝わってきます。

次回は実際のDMMゲーム内でわかりやすい課金モデルが提示されたことなんかに触れながら、オンラインゲーム課金の具体例等について考えようかと思います。お読みくださりありがとうございました。


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