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さっきの情熱大陸にぼくがドキュメンタリに求めるものが大体詰まってた

あまり情熱大陸をリアルタイムで見ることはないんですが、海の中で写真をとる人の回が非常に楽しかった。ヘッダ画像をお借りしています。

海の中の生き物というと所詮陸上生物として普段過ごしているから目にする機会がないけど彼女ら/彼らなりに誰からも観測されなくても生きてるんじゃボケ少し人間ごときがスポットを当てた程度でふんぞり返ってんなよ、然としたいわゆる「珍しい」生き物が見れてすごーい的な感覚を持ちがちです。

もちろんそれも大いにある。ドキュメンタリーは何を伝えるかによってジャンル分けできると思います。

・解放区やノンフィクションみたいに、この世の中で実際に起きているけどどぎつい現実を明るみにして視聴者の感情を崩壊させたり問題意識を植え付けて何かしらの啓蒙活動を喚起させたり、

・ガイアの夜明けやカンブリア宮殿のように成長企業の中身を参考にできるように詳らかにして結果的にテレビに出るんだからブランディングもできるみたいなもの、

・NHKのノーナレとかドキュメント72みたいに見せ方からもう現代アートみてえなもの、

みたいに分類できるでしょうか。生まれてはじめてドキュメンタリを分類したので、何の根拠もないといいますか感覚だけで書いています。受け取り方といいますかジャンルのわけ方はその人次第でしょう。

情熱大陸もこれに従うと真ん中に属すでしょうか?視聴者は全く知らない生物を知り、あるいは海の撮影者の生態を知るという知識を獲得する。被撮影者はブランディングになる。TBSは視聴率を稼いでスポンサーから金の工面をしやすくなる。三方一両得ですね。視聴者は本当に得しているのかどうか、視聴者にしてぼくはよくわからない。

いま述べたように海の撮影者がどのように生きているのかという生態は彼の著作物をどんだけ集めたところでわかりません。つまりぼくがドキュメンタリに求める物のひとつがまずこちらです。来歴とかはどうでもいい。昔尾崎にかぶれてたとか、両親が離婚したとか、学校をドロップアウトしたとか(左記は必ずしも今回の出演者のことではない)、別に過去を掘り起こさなくても良いんじゃないかと思う。何か問題を起こした人のTwitterのアカウントを過去に向かってさかのぼり、一生懸命失言を探しに行く凡人じゃないんだから、と思う。

良質なドキュメンタリは、海の撮影と一言にいってもいきなりカメラマンがダイブした後で暗闇にカメラを向けているところから始めず、いかにして地域を選び、どのように船出して、どんなダイバー服に身を包み、どんな下準備をすることでそのような撮影を成功させられるのかをもえがくことでしょう。

そして最初の得体のしれない生き物たちを映す。得体のしれない生き物が見たい人からすれば、残りの2つ(当事者の生態・当事者の実施している行為)は別に映してくれなくてもいいんだけど……みたいなことを思ってもおかしくないと思います。そしてそれはそんなに間違ってもないとも思う。

NHKとかは海外の番組を輸入しているからかやりがちなのが、研究員とか研究員同士のあつれきみたいのを映しすぎて、肝心の動物の生き様がさっぱり見れないみたいなドキュメントを放映してしまうというもので、「まだ見ぬ巨大生物の謎に迫る」みたいな副題をつけといてそれやったら流石に批判して良いと思う。見たいのは人間同士のいざこざじゃねえんだよ、動物だっつってんだろ、と。ただもっとも海外にはこちらの知り得ないレギュレーション的空気があり、いわゆるアダルト映像で女優だけ映すと差別だから(そういう商品なのに何が差別なんだよ)快感を得ている男の顔もドアップで映す、みたいな考え方と通底するのかも知れない。

最低な例えをしてしまいましたが、とにかくさっきの番組にはドキュメンタリーに求めるその3つが含まれていて良かったですね。おやすみなさい。

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