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『ハゴロモ』 ゆっくりと時間をかけて、今にたどり着く【読書感想文】

こんにちは。


今日は、今まで読んだばななさんの本の中でも、「あ〜今落ち込んでいて、どうにかして重い腰を持ち上げたいなぁ」とか「しくしく…なぐさめてほしい…( ; ; )」とか「疲れたから、マッサージでも受けながら癒されたい…」みたいな。


ちょっと意味わからなくなってきたけど、再起したいひとにぴったりなやつ、用意してきた。任せて。(不安でしかない)


吉本ばななさん好きすぎるからさ、もう、色々な人の色々な場面に、「ここのこの言葉良いから!この本読んで!」みたくすすめたい気分なんだよ…。(有難迷惑)

今回は、吉本ばななさんの『ハゴロモ』。


さ、前置きが長いので、いきまーす。(いつも)


8年間に及ぶ恋愛が終わり、その痛み・疲れを癒すためふるさとに戻ってきた主人公。

大きな川と隣り合う町、どこにいても川の気配があって、いつも寄り添っている。
川を見ていると不思議な気分になる。すべてが小さく見えて、なにもかもがぼんやりとしてくる。
癒しを受け取ることのできる川。

夢で出会った青年と悲しみと向かい続ける青年の母との再会。

川から流れ着いたように、また巡り合い、ゆっくりと細い糸が繋がっていく。


痛みをふんわりと包み込んでくれるような物語。


激しく傷つき、心が軋んでいる時には、優しい言葉やあたたかいぬくもりなんかが嬉しいこともあるんだけれども、実はなにも触れず、ただその自然体の中に紛れ込ませてくれることも必要だ。


大きな変化ではなく、ゆっくりと時間をかけて日常に戻る。
川上から川下へと水が流れていくように、途中途中で自然と何かと出逢い、絡み取り取られながら、行く着くところに戻る。そういったことが本来のあるべき姿なのかもしれない。


無理にさか上る必要はないんだ。


ただ、たゆたうように、笹舟にでも乗って行こう。あ、隣にはだいすきな人がいると尚楽しいかもしれない。おやつは何を持っていこうか?水筒に温かい紅茶でも淹れようか、なんて。
舟が沈まない程度の少しの楽しみを持って、乗り込むのが良いのかもしれない。


生きていると、魔法のような、少し不思議な奇跡に出会えることもあるかもしれない。
「まさかこんなところで!」という素敵な出会いもあるかもしれない。

そんな嬉しい魔法にかけてくれる、ばななさんの作品は宝物のよう。


再起するときに、お守りとして持っておきたい、とっておきの一冊です。
装丁もやさしくて、とっても好き。


短いけれど、このへんで。
またね!


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