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MFA(美大修士)では一体どんなことを学ぶの?

MFAで一体何が学べるのか、私の経験に基づいた全容と、大切に感じた学び2つを皆さんにご紹介します。

MFAとは

Master of Fine Arts。美術大学大学院で取得できる修士号です。MFAはまだ世の中的にも認知され始めたばかり。それぞれの大学院の特徴もあり画一的なものとして語ることができませんし、今日この時点では、明確にMBAのように、これというプログラムは確立していません。

私が通う武蔵野美術大学大学院では、従前より造形研究科がありまして、2019年4月より造形構想研究科が新設されました。造形構想研究科は、ビジョンを掲げ世の中に実装する構想力を持つことを目的としています。今回は、こちらの新設された造形構想研究科に1期生で入学して得た学びを皆さんに共有したいと思います。

入学してから知った小咄ですが、2つ以上の学科・研究科を持たないとUniversityとは正式に名乗れないらしいのです。武蔵美はMusashino Art Universityという英語名を持っていますが、やっとこの学科を新設した2019年に実態が伴ったということで、悲願だったようです◎

私が経験した学びの全容

2年間の修士での学びの全容です。提供された科目やワーク等を、tangible《触れられる・有形》とintangible《触れられない・無形》という軸と、artとscienceという軸でマップしてみました。

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美術大学だけあって、art寄りのものが多いのはもちろんです。加えて、他と比べてtangibleな学びが一定提供されていることが特徴的です。ビジネスの世界=intangibleな世界に浸かっている私としては真逆の刺激を受けられ、大変学びの多い毎日でした。大きくは、アート実習、デザイン実習、デザイン構想、座学の4つで分類され、この4つの学びが複合的に得られることが相互作用で効果的かつ深い学びになっていたと言えます。これに加え、個人の自由なテーマで修士研究を行います。

”学ぶ”という意味の違い

なかでもここでの一番大きな学びが何であったか、それを先にお伝えしておきます。MFAという修士号を持つことには何の意味もありません。一番の大きな学びは、”学ぶ”が一般的な学ぶと違うということに気づけたことでした。その意図することは2つです。

ひとつ、学ぶというと、日本教育の弊害なのか、勉強する、教えてもらう、そういった受動的で静的なイメージがどうしても強く想像されます。一方で、ここでの学びとは、能動的で身体的なものであるということです。残念ながら、一体この学費を払って何を教えてくれるんだろう、何を提供してくれるんだろう、そういった姿勢では得られる学びが極めて少ないのです。つまり、MFAでの学びとは ”いかに自分が教師となり自分の身体に教えきかせるか”ということなのです。

ふたつ、学ぶを英語で表現するとlearnですよね。ですが、実はlearnよりも重要な学びがunlearnだったということです。unlearn、すなわち《学んだことを意識的に捨て去る》ということです。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、”いかに人生で学んできたこと・体内に蓄積された経験を意識的に捨て去るか”、これが会得できたことが大きな学びだったのです。

毎日、武蔵美のこのキャンパスの敷居を跨ぐ時は、ビジネスパーソンとしての自分・社会人としての自分を全て脱ぎ去ってから、この門をくぐるんだよ

私が入学後すぐ学長からもらったのはこの言葉でした。その頃の私はまだその深い意味に気づいていません(笑)

これから

では、どのようにしてこの2つの学びを会得してきたのかを、具体的なエピソードを交えながら、これからゆっくりとご紹介していきたいと思います。前述のアート実習、デザイン実習、デザイン構想、座学の一端もご紹介していきながら、気づきをシェアしていきます。

今回も読んでいただきありがとうございました。

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