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だめな恋をしてだめだめになってしまった時の話

もしも今、私たちのやっていることを本当の恋だとと誰かが保証してくれたら、私は安堵のあまりその人の足元にひざまずくだろう。

私は大学生に入ってすぐに恋に落ちた。毎日がピンク色の世界!みたいな素敵なものではなくて、ぐだぐだでぐちゃぐちゃな恋だった。もしも心の傷が見えたとしたら、切り傷でしまうまの模様ができてた気がする。

恋はジェットコースターってよく例えられるけど、上がって急に落ちるやつアトラクションみたいだった。富士急ハイランドのレッド・タワーみたいな。(乗ったことないけど)

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引用: https://www.fujiq.jp/attraction/redtower.html

そんな生活を割と長いこと続けていた。そして私はぷつんとだめになった。

とにかく1日中家で寝てばかりいた。それか、布団でうずくまってぼんやりしていた。そうしてると1日があんまりにも長く感じる。だから時間を潰すためにたまに本を読んで、それからまたずっと眠った。

はっきり言って変だった。でも戻ろうにも、ちゃんとしようにも、できなかった。

それなのに、ある日いつものようにぼんやりしたまま本を手に取ってあらすじまで読み終わったら、なんだか外に出たくなった。その急に生まれた気持ちに誘われて翌朝映画館に行き、映画をたくさん見た。ご飯も食べた。そしたらちょっと元気になった。それから少しずつ大丈夫になって、また元の生活を送れるようになった。

その時に読んだ本が、『白河夜船』。冒頭はその中の一節だ。

海で遊んでいて、もうちょっとだけ、あと少しだけって沖の方に向かっちゃって、ふと我に帰って振り向いたら随分と岸が遠くて戻りたいのに戻れない、みたいな気持ちになることってあるじゃないですか。

基本的に恋は孤独だし、迷子になることもある。そんな時、手に取って読んでみて欲しい。

寒い日に飲むあったかいお茶みたいに、じんわりと温かくなる。私はそれで、するすると緊張が解けた。

それから、どうか最後にちゃんとあとがきを読んで欲しい。「あぁ、きっと大丈夫だ」って思わせてくれるから。心が軽くなる、不思議な文章が載っている。

私の大好きな本を、ぜひ。

終わり。


 






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