元気が出るホクホクにんにくトンテキ 「広告会社、男子寮のおかずくん」オトクニ

トンテキ。ああ、トンテキ。
分厚いのに柔らかな肉にかぶりつく幸せ、肉のしっかりした旨味と脂身の甘味。
ソテーした玉ねぎ、千切りにしたキャベツも味と食感にアクセントを加えたり、口の中をサッパリさせてくれる。
醤油とウスターソース、ケチャップなどキッチンにある調味料を煮詰めて作るソースがまた絶妙に肉に絡む。ほかほかご飯が何杯でも進む。
強火で一気に肉を焼くやり方もあるが、おススメは火を点けてない常温のフライパンに油を引き肉を入れ、弱火でゆっくり火を入れる焼き方である。肉は筋切りをしておこう。
こうすると肉の水分が失われずしっとりジューシーな焼き上がりになるので是非試してもらいたい。ステーキや魚のソテーでも可能。


薬味はしょうが派とにんにく派に分かれるだろうか。
豚の生姜焼きという鉄板メニューがある通り、豚肉としょうがの相性はいい。
たっぷりすりおろしたしょうがをタレに混ぜて肉に漬け込み火を入れると、豚肉の臭みがなくなりしょうがの辛味もいい具合にまろやかになる。
ポークジンジャーという洋食もあるくらいだ、トンテキにしょうがはよく合う。
にんにくだって負けていない。
しっかり焼いたにんにくの香ばしさと味が肉にしっかり入った時の満足感といったらもう…! トンテキに更なる満足感が出る。
さらににんにくのある成分はビタミンB1と結びつくとアリサイシンという物質に変わり、腸のビタミンB1の吸収を助ける。あのアリナミンはアリサイシンから作られている。
つまり、豚肉とにんにくを一緒に食べると元気が出るのだ。


「広告会社、男子寮のおかずくん」という漫画に「ホクホクにんにくトンテキ編」というお話がある。
主人公西尾和(にしおかず:通称おかずくん)はミナト広告社に営業マンとして勤める若手社会人。
「ホクホクにんにくトンテキ編」は、おかずくんが新入社員時代の話である。
新人レース、という新入社員恒例の行事で競わされたおかずくんは、同期の東良(ひがしら)に負けたくないと対抗心を燃やしていた。
イケメンで高身長、性格もいい上にできる奴の東良に劣等感を感じていたのだ。
新人レースは最初東良がリードしていたが、おかずくんも無理をしてポイントを稼ぎ追い越す事に成功する。
そんなおかずくんに先輩社員が九州物産展のスタッフとして参加して欲しいと頼む。
一気に大量ポイントゲットのチャンス。おかずくんはトンタロウという着ぐるみを着て一週間イベントを頑張る。
しかし無理が祟り過労で倒れてしまう。そこを救ったのが嫌っていた東良だった。
社員寮に戻ったおかずくんに、九州物産展の人達からの差し入れが届く。
その材料で作ったのがトンテキだった。


同じ会社の同期というのは不思議なもので、ライバルでもあり戦友でもある。
けれどもライバルとして付き合うより戦友として付き合った方が絶対にいい存在でもある。
たまに一緒に居酒屋なんかで飲むと楽しいし、深夜のラーメンもいい。
おかずくんは東良と、先輩社員2人を加えた4人で毎週金曜日に晩御飯を食べるようになる。
その初めてのメニューとなったトンテキはさぞおかずくんの胃袋と心に沁みた事だろう。
仕事を頑張った後のご飯は格別である。
けれども誰かと一緒に食べるご飯もまた格別である。
特に皆で一緒に作ったご飯ならなおさらである。
「広告会社、男子寮のおかずくん」では憧れだった広告営業の仕事に就いたおかずくんが理想と現実にぶつかり悪戦苦闘するお仕事マンガでもある。
『広告代理店になんて入社するもんやない』
『ましてや営業なんて3Kの極みや』と語るほどハードな仕事。
それでもおかずくんが頑張れてるのは憧れだった仕事に就けたという事もあるだろうが、同期の東良達との晩御飯があるからだろう。
一緒にご飯を作り、仕事の愚痴などを言いながらワイワイ食べる。
きっとそういう事が、頑張れる原動力となるのだ。
『広告代理店の営業はキツイ けどたまに キブンいいこともあるからやめられんのや』
トンテキを食べた時のように読むと元気になれる「広告会社、男子寮のおかずくん」
是非一度、味わってもらいたい。
ヤフーで「広告会社、男子寮のおかずくん」で検索すると「ホクホクにんにくトンテキ編」まで試し読みできるホームページがあるので取りあえず御試食下さい。


余談であるが就職活動に悩んでいた東良を救ったのが、同じ会社説明会に参加していたおかずくんだったというエピソードもある。
そちらはコミックスで是非ご一読いただきたい。

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