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「私も不登校経験者でした」作家・森絵都がいま不登校をしている子どもに伝えたいこと

 「中学校は私にとって戦場でした」と語るのは、作家・森絵都さん。10代に向けた小説を数多く発表してきた森さんも、不登校を経験していました。森さんの半生、作品づくりで大切にしていること、そして不登校に悩む人へのメッセージなど、お聞きしました。

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――森さんは、どんな学生時代をすごしていたのですか?

 中学校は私にとって「戦場」でした。学校全体が荒れていて、校内でタバコを吸うことはあたりまえ。先輩がガラスを割っていたり、グラウンドをバイクでグルグル走り回っていたり、もうやりたい放題(笑)。いじめも多く、集団でのいじめやグループどうしの対立など揉めごとが絶えず、巻き込まれないように、どうにか生き延びようと必死でした。それでも巻き込まれてしまうこともあり、戦いの日々が嫌になって、だんだん学校へ行かなくなりました。

 家で何をしていたかというと、私と同じように学校に疲れている友だちを呼んで一日中ダラダラしていました。そんな生活なので、勉強なんてほとんどしていませんでした。

 高校に入ると周囲も落ち着き、私も自分のペースを取り戻せるようになりました。アルバイトを始め、家と学校以外の居場所ができて楽しかったです。でもすぐに飽きてしまって辞め、また別のアルバイトを始め……をくり返していました。新しい職場に入ると、はじめは自分がいちばん新人になりますが、しばらくするとあとから入ってきた新人に指導する立場になるじゃないですか。私はそれが苦手だったんですよね。高校時代には14カ所くらいでアルバイトを経験しました(笑)。

 アルバイトを次々と変えながら高校時代をすごし、3年生になっていよいよ進路を決めなければならないというときに、初めて危機感を覚えたんです。「これからもこんなふうにフラフラとしていたら、たいへんなことになる」と。 そして、よっぽど好きなことを仕事にしないと私の場合は続かない。一生、職を転々としながら放浪の旅を続けることになると焦り、真剣に「自分には何が向いているか」と考えました。

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