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未来を託す者たち

遠い未来のお話。
 
買い物帰りの両親と娘。
 
あっ、選挙ポスター!
「ん?
 ああ、そうだね。
 それがどうかしたのか?」
 
「え?!
 パパ、興味きょうみないの?
「ん?!
 お前、逆に何で興味あるんだ?
 父さんは昔から政治家が嫌いで、
 選挙なんか一度も行ったことないぞ
 
うそでしょ?!
 お父さん、ほんとなの、それ?!」
「え?!
 ママまで?!
 
 ちょっと待って!
 そんなにめずらしいか?
 
 政治に興味がない人間なんて、
 いつもの投票率見ればわかるだろ。

 
 それに父さんは、
 政治にくわしくないわけじゃないぞ。
 
 首相や大臣の名前も知ってるし、
 ニュース見るから、
 国の政策だって理解してるぞ

「なのに何で、
 選挙に興味がないの?」
 
「こんな片田舎の政治家を選んだって、
 何にも変わらないじゃないか。
 
 誰がなっても一緒だろ?
 
 こんな地方議員が、
 中央に行ったってもれるだけで。
 
 発言力はつげんりょく影響力えいきょうりょくもない人を選んでも、
 しょうがないだろ」
 
「パパ、わかってない。
 わかってないよ、それは。
 今は時代が違うんだよ
 
「何が違うんだ?
 この中から大臣が出るとでも言うのか?」
「お父さん、よく見てみて。
 この三人の候補者こうほしゃ
 
「何だよ…
 特にいつもと…
 あれ?何だこれ?」
「どう?」
 
「自慢党 猿垣のぼり
 【選挙公約】
 私は玉子の値段を下げられます。
 
 何だよ、これ!」
「他の人のも見て」
 
「え~と、
 民謡党 阿戸野まつり
 【選挙公約】
 私はガソリンの値段を下げられます。
 
 公演党 織田麻里
 【選挙公約】
 私はスマホ料金を下げれます。
 
 何なんだ、これ!
 こんな具体的な公約を、
 しめしてきた政治家は、
 今までいなかったぞ!
 
 しかも、下げれますって、
 できるってことだよな?!
 
 うわ~どうしよう~。
 やっぱり、民謡党のガソリンかな~」
「え~、公演党じゃないの!
 ガソリンはパパだけでしょ?
 スマホ代は家族みんなだよ
 
「待って。
 みんな、よ~く考えて。
 玉子は我が家の生命線よ。
 毎日、食べるものが一番大事よ
 
「そんな、たかが数十円でしょ?」
「それを言ったら、
 ガソリンもスマホ代も、
 どれだけ安くなるか、
 わからないじゃない?

 
「いや、やはりガソリンが、
 リッター計算だから、
 一番安くなると思うぞ」
「スマホは三人分だよ」
「玉子だって毎週買うわよ」
 
議論ぎろんの中、
ひとりの男性が現れる。
 
掲示板けいじばんに、
新たなポスターっていく。
 
立腹党 鬼瓦雷蔵
【選挙公約】
私は電気代を下げられます。
 
それを見た三人。
 
「悩む~」 「悩む~」 「悩む~」
 
 

このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。 

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