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羨望の眼差し

エピローグ
 
うちの学校には学食がある。
 
品数が豊富で学生には好評だ。
 
全てが小皿や小鉢になってるので、
色んな組み合わせを楽しめるのも魅力だ。
 
でもいくら学食が安いとはいえ、
ワンコイン計算で出てくるメニューは、
豪華にはほど遠い…。
 
これが物価高なんだ…。
 
それに比べてコンビニ弁当は、
見た目が派手でき出る食欲!
でもコスパは悪い…。
 
上げ底狙いで、
容器がドンドン変形してるのが、
とても気になる。
 
今日は昼飯どうしよう?
 
そんな悩める学生の、
学食でのひとコマ。
 
キーンコーンカーンコーン♪
 
お昼。
仲良し5人組。
 
「今日はここにしようぜ」
「あれ?鈴木ちいちゃん、今日弁当?」
 
「うん」 「うん」
 
「あれれ?入れ物違うけど、
 2人とも同じおかずじゃねえ?
 まさか~?!」
「これは違うの!
 この前、鈴木くんがレポートまとめるの、
 手伝ってくれたから、
 その時のお礼として作ってきたの」
 
「いやいやいやいや。
 何も弁当じゃなくてもコーヒーとか、
 ランチおごるでも良かったんじゃないの?」
「お金がないの!
 私だってギリギリの生活してるんだから。
 鈴木くんにそんなお金掛けられないって」
 
「今、鈴木バッサリられたな。
 無駄にフラれたな」
「あっ!ごめんなさい!
 そういう意味じゃなくて。
 ただ節約してるって言いたかったの。
 鈴木くん、ごめん」
 
「大丈夫…お弁当美味しいから…」

高橋!今のはあんたが悪い。
 悪ノリが過ぎるのよ、いっつも。
 気がついても見守るのが大人って知ってる?」
「わかったよ、石倉
 悪かったって…
 ってお前、またサンドイッチかよ」

「私は少食だから、これで充分なの。
 サンドイッチの種類を変えれば、
 栄養バランスも良さそうだし。
 あなた…ちょっと食べ過ぎじゃない?
 コンビニ弁当おにぎり3つって」
「俺はサンドイッチひとつじゃ、
 3時まで持たねえの。
 この量でも夕飯までギリギリなんだぜ」

「そんなに食べてまた夕飯食べるの?」
「当たり前だろ。普通に食うよ!」

「信じられない。
 絶対、そのうちお腹出てくるわよ」
「大丈夫~。ジム行ってるし~。
 あれ?そういえば森田は?」

「森田くんなら先行っててって、
 どっか行ったよ」
 
「何してんだろ?遅いね」

「お腹空いてないのかな?」
 
「あ、来た来た。森田!こっち!
 ……何してたんだよ?」
「いや、カップラーメンお湯入れて、
 3分経つの待ってた」
 
「ここで待てばいいじゃん。
 どこに居たの?」
ポットの横
 
「森田~!お前やっぱ面白えな!」
「あぶない~高橋くん。
 お湯こぼれるから」

「森田もそんなちっちゃいラーメンで、
 よく持つな?」
「足りないけど、節約しないと」

「森田くん、それコンビニで買ってる?」
「違うよ」

「だよね。
 私、毎日コンビニ行くけど、
 森田くんに会ったことないから」
「じゃあ、どこで買ってくるの?」

「近所のドラッグストアスーパー
 
「森田、主婦かよ!」
「だって、コンビニよりもすごく安いんだよ。
 これコンビニだと158円だけど、
 スーパーなら128円で買える」
 
「やっぱ主婦かよ!」
「でも30円って大きくない?
 毎日だとすると月900円でしょ?」
 
「そんなチマチマ節約して、
 腹一杯にならないってどうなの?
 石倉はまだいいけど森田のは、
 栄養バランス駄目だろこれ」
「まあ確かに」
 
「でも汁を飲まなければいいとか聞かない?」
「それは塩分の摂取量せっしゅりょうだろ?
 栄養分とは別だし。
 しっかし、森田……」
 
ズルズルズル~
ズルズルズル~
 
「ゴクッ、ハァ~」
 
森田を見つめる4人。
 
ズルズルズルズルズル~
ズルズルズルズルズル~
 
「ぷっはぁ~~」
 
「俺…
 帰りにスーパー寄ってくわ」
「僕も」 「私も」 「私も」

【今日の格言】

人の食べてるラーメンほど、
美味うまそうなものはない!

  
学食、オフィス、休憩室、山小屋…
今日も何処かで…。
 

このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。

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