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青い春は駆ける

マラソン大会。
 
女子はさっき最後の走者が、
重い足取りで帰ってきた。
 
その様子を見て先生が、
拡声器で男子に集合をかける。
 
あわただしくスタート地点に、
集まってくる男子生徒。
 
そして合図とともに、
一斉いっせいに男子がスタート。
 
スタートと同時に、
全速力で先頭に立つ、
目立ちたがりの男子。
 
観てる女子に陽気に手を振るが、
みんなただただ、笑ってる。
 
そして誰もが思う。
 
きっと彼は、
トップで戻ってはこないだろう…と。
 
小一時間後。
 
トップあらそいは壮絶そうぜつだった。
 
体力の限界の中、
最後の力をしぼる二人。
 
その表情や姿は、
ほんと清々すがすがしく…格好良いと思った。
 
とても熱いものが、そこにあった。
 
そして続々と、
ゴールに駆け込む男子たち。
 
上位はやはり、
各運動部のエース級。
 
ゴール前の沿道えんどう女子は盛り上がり、
黄色い声が飛んでいる。
 
そして全走者の、
半分ぐらいがゴールする頃。
 
必ずといって現れる男子。
 
ゴール前だけ…
猛スピード男子。
 
さっきまでの足取りは、
ほぼ歩いている状態だったはずなのに…。
 
色々、思うところがあるのだろう…。
  
もしも…
 
マラソン全コースの沿道に女子が立ち、
応援したのなら…。
 
この男子の思春期エンジンは、
どんなタイムをたたき出すのだろう…。

秋空をながめながら、
私はそんなことに思いをせた。


 実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。
この記事はフィクションです。

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