猫になれる夏

猛暑日。
 
茹うだるような暑さ。
 
些細ささいな行動で汗が吹ふき出す。
 
動かぬようにただ映像を眺ながめていると、
自分の身体からだの境界線きょうかいせんがわからなくなる。
 
確認しようとすると、
また表皮ひょうひにじんわりと汗が滲にじみ出る。
 
傍かたわらの猫は、
敷物しきもののように寝そべってる。
 
たまに撫なでてくれとお腹を見せると、
つい私は手を差し伸べてしまう。
 
抜け毛の季節はとっくに過ぎてるのに…
さらなる気温上昇で期間延長なの…。
 
放はなたれた綿毛わたげのように猫の毛が宙ちゅうを舞まう。
 
そして汗で張り付く肌着のように、
猫の毛もまた私の肌に引き寄せられる。
 
「これ…
　３時間もしてたら、
　毛むくじゃらになるよね…きっと」

 
そんなことを思ふ…夏。