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ロボティカル・パレード

御年80歳の未来さんと光里さん。
今日も井戸端会議で盛り上がる。
近くて遠い…未来のお話。
 
【光里】
「恵まれてるよねぇ」
 
【未来】
「何が?」
 
「ニュースで人手不足って、
 あれだけ言われてるけど、
 うちらは有り難いありがたいことに、
 介護サービスを受けられてるでしょぉ?」
「そうね。
 ベビーラッシュ世代のピークが過ぎて、
 施設が減少したのも、
 理由としてはあるけどね」
 
「そうかぁ。
 そう言えば、
 近所でもつぶれた施設、
 結構あったぁ」
「だから、介護員は増えてはいないのよ。
 移動しただけだから」
 
「ギリギリなのかなぁ?」
「限界が近いんじゃない?
 最新機器を使ったりして、
 色々工夫してるみたいだけど」
 
「例えばぁ?」
ロボットね。
 私の施設のロボットは、
 お茶出し配膳はいぜん体操。
 あと、レクレーションもやるわね」
 
「そんなことまで、できるのぉ?
 今のロボットってぇ?」
「他にもあるわよ。
 検温血圧測定もやってるし、
 介護記録もロボットがつけてるって、
 この前、どこかの特集番組で見たわよ」
 
「それって介護員の人、
 やることないんじゃない?」
「そんなことないわよ。
 リネンって、シーツ交換なんかも、
 まだ人間じゃないとダメみたいね。
 人によって防水シーツとか、
 センサーを付けたりあるらしいわよ」
 
「単純作業じゃないんだぁ」
「でもやっぱり、最終的には人なのよ。
 ロボットふくめ関わってる利用者が、
 安全かどうか見守らないといけないから。
 だから人に直接れるところは、
 やっぱり人間みたいね。
 更衣トイレ入浴とか」
 
「そこはロボットには無理なんだぁ」
「できなくはないけど、
 不測の事態への対応は、
 人間の方が柔軟じゅうなん迅速じんそくなんだって」
 
「そこはやっぱり、
 まだ人間なんだねぇ」
「あっ、でも最近、
 入浴もロボットがやる施設が、
 話題になってるわよね?」
 
「知らな~い。
 入浴ロボットなんてあるんだぁ」
「紹介してる施設の方は、
 ロボットって言ってたけど、
 あれはロボットなのかしら…」
 
「それってどういうのぉ?」
利用者をひとりずつ、
 椅子いすに乗せるの

 
「椅子ぅ?」
「そして利用者乗せたまま、
 椅子が風呂場に移動するのよ」
 
「利用者が椅子に乗ったまま、
 移動するのぉ?!」
「そしてウォッシャールームっていう、
 お風呂場って言っていいのかな…
 そこで洗浄せんじょうミストっていう、
 きり噴射ふんしゃされて、
 全身を洗ってくれるんだって」
 
「洗浄ミストォ?!」
「5分ぐらいで洗い終わると、
 次のジェットドライルームで、
 水分を吹き飛ばした後に、
 温風でかわかしてくれる。
 ひとり10分程度だって、
 施設の人は説明してた」
 
「え~それってあれでしょぉ。
 車の全自動洗車機~!
「正解!
 まあ人手不足だから、
 仕方ないんじゃない?
 
 でも服の着脱はさすがに、
 職員さんがひとり付いてやってたわよ。
 
 脱がして送り出して、
 戻ってきたら、また着せるみたいな」
 
「そんな湯船にも入れないし、
 流れ作業みたいで、
 嫌がる人いないのぉ?」
「そうでもないみたいよ。
 
 その座ってる椅子も最新で、
 好きな音楽流せるんだって。
 
 あとおしゃべりだってできるし、
 光ったりクルクル回ったりするから、
 乗ってる人も楽しそうだった」
 
「それもう施設じゃなくて、
 遊園地~!!
 

これは未来の話でありフィクションです。
でも30年後はさだかではない…。 

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