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小説に近いもの

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書いたもののうち、小説だと思うもの
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#note毎日更新

くつ屋のペンキぬり-15(小説)

「こればかりは信じていただくよりほかにありません」  男は、青年の目の奥のぎらぎらしたと…

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くつ屋のペンキぬり-14(小説)

「ほんとうに、なんて不躾なんだ」  青年は器を傾ける手を止めません。 「おれが酔っていると…

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くつ屋のペンキぬり-13(小説)

 カウンターの一番奥、大小と色のさまざまな酒瓶にほとんど埋もれたような席へその青年は座っ…

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くつ屋のペンキぬり-11(小説)

 図書館をぐるりとめぐって帰った翌朝、男は下宿の一画の狭い自分の城に、全財産を広げてウー…

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くつ屋のペンキぬり-03(小説)

 紹介された下宿は繁華街から少し北に外れて、ごつごつとした岩場の上にありました。高台にな…

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くつ屋のペンキぬり-02(小説)

 男は大きな街へ着くや否や、さっそくその足で屋根づくりの職人を訪ねました。家々の丸屋根に…

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くつ屋のペンキぬり-01(小説)

 ある男が、砂漠近くの暖かい国へやってきました。身にまとう衣服を少なく、少なくしながらやってきました。背中に背負った大きな荷物の中身は、ほとんどが、道中で脱ぎ捨てようと思って捨てられなかった衣服でした。男は元々雪深い国におりましたので、こんなにも太陽の近い国へ来るのには、何枚も服を脱ぎ、最後には綿の肌着の袖を千切らなければなりませんでした。  汗を滝のように、足を棒のように、頭を振り子のようにぐらりぐらりと左右へ揺らしながら、やっとの思いで辿り着いた太陽の国は、乾いた風の吹き

白い女・黒い女-04(小説)

***  早央里の生まれた町はひどく寒くて雪深い土地だったから、昇降口で防寒ブーツを履い…

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