くつ屋のペンキぬり-01(小説)
ある男が、砂漠近くの暖かい国へやってきました。身にまとう衣服を少なく、少なくしながらやってきました。背中に背負った大きな荷物の中身は、ほとんどが、道中で脱ぎ捨てようと思って捨てられなかった衣服でした。男は元々雪深い国におりましたので、こんなにも太陽の近い国へ来るのには、何枚も服を脱ぎ、最後には綿の肌着の袖を千切らなければなりませんでした。
汗を滝のように、足を棒のように、頭を振り子のようにぐらりぐらりと左右へ揺らしながら、やっとの思いで辿り着いた太陽の国は、乾いた風の吹き