ホワイトデーが過ぎちゃって
はじめてバレンタインにチョコレートをくれたのは、となりの席のクラスメイトだった。
2学期に、好きって言われて、びっくりして。
嫌いじゃないし、うれしい気持ちもあったけど、丁重にお断りした。
なんだか申し訳ない気持ち。
それからもその子の態度は変わらない。
そしてやっと席替えの時期がきた。
ほっとしていたら、なんとまたとなりの席になってしまった。
先生の横にいって、ぼそっと、
「あの、ここまたとなり一緒なんですけど、、」
というと、
「仕方ないやん」と言われた。
24才の美人の先生は
けっこう口調がきつい。
ぼくの気持ちも知らないで、、
あー、またしばらく気まずいなあ、
それなのに、
今度はチョコを渡したいって言われてしまった。
そして、受けとってしまった。
ハート形のクッキーがアイスの棒みたいなのにささってた。
チョコレートがかかっていて、ピンクとか赤とか黄色のつぶつぶがついてた。
ハートはちょっとゆがんでた。
おいしかった。
大事に食べた。
お返ししなきゃと思ってたのに
うっかりしてて、気づいたら15日。
夜、お母さんに頼んで買いにつれてってもらった。
お母さんはよく分からないけど本を出すとかいってて、忙しいらしい。
時間がない、
なんで早く準備しとかないの、とぶつぶつ言ってたけど、なんだかちょっとうれしそうだった。
だけど、お店の入り口はスペースが大きくあいてガランとしてる。
昨日まではここにお返し用のリボンがついたクッキーやキャンディがあったはずだ。
仕方ないからいつもの
おやつ売場にいった。
ポテトチップスの並んだ棚の前に背の高い男の人がいて、お母さんは挨拶してた。
歯医者さんだって。
お兄ちゃんは、
お菓子やジュースは控えてっていつも言われてるらしいけど、、
歯医者さんもポテトチップス食べるんだなぁ。
お母さんはなぜかすぐどっかに行ってしまった。
そして四角くてちっちゃいクッキーとメロンソーダ味のグミと、ぺこちゃんのキャンディと、イチゴ味のたけのこの里をかった。
とにかく人生初だから。
考えすぎちゃって時間かかったよ。
うちにかえってお菓子を小さな透明の袋に入れる。
きれいに見えるようにバランス良く。
それから濃いブルーと、うすいグレーの2本のリボンで袋を結んだ。
お母さんが。
最後にリボンの先に切り込みを入れて、
完成。
あぁ良かった～、
ほんま助かった～、
お母さんありがとう、
日曜日、僕お手伝いがんばるよ。
(三男になって書いてみました。)
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