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アナタが見えなくなるまで...

私は人との別れ際、

相手の姿が見えなくなるまで

見送ることを

ポリシーにしている。

そう...

アナタが見えなくなるまで・・


うちの父は、
私が幼い頃から会社経営をしており、

そのため...

会社だけでなしに..

自宅にも...

それこそ頻繁に....
来客が絶えなかった。

そして

父は、


来客がお帰りになられる際

玄関先でお見送りすることはせずに

毎回必ず...

来客の半歩 後ろに寄り添いながら
駐車場までお供をして

そして...

来客の運転する車が見えなくなるまで..

あるいは..

来客の乗車するタクシーが見えなくなるまで...

最後の最後まで...

お見送りをしていた。


あれは・・

私がいくつくらいの頃だっただろうか...

来客の車を見送りながら

父が私にこう言ってきたことがあった。

「お客さんをこうやって
最後まで見送るのが礼儀なんだよ
相手は必ずバックミラーで
こちらを気にかけているものだからね

自分がもし..
見送られる立場だったら
見送ってくれている人のことが気になって
思わず後ろを確認したくならないか?

相手が見えなくなるまで見送ると
相手も喜ぶものだよ
ユウリもそうされると嬉しくないか?
温かい気持ちを土産に帰れるだろう...   

たとえ相手が気にかけていなくても
時間をかけて足を運んでくださったことに対して
感謝の意を込めて最後までお見送りをするものなんだよ 」

...と、、

こんなようなことを・・。

" 相手の姿が見えなくなるまで見送ること "

父から教わった 『別れ際の流儀』だ。


それからというもの・・

私は相手を見送ることの大切さを

いつも心に留め置き、

誰かとの別れ際には

必ず相手を見送るようになったのだ。


私には

大学時代にほぼ同棲していた彼がいた。

同じ大学の同じ学部のヒトだった。


大学卒業時・・

その彼とは

様々な事情から

しばらくの間

遠距離恋愛をすることになった。

彼は配属先の名古屋へ

そして..

私は実家のある故郷へ・・

お互いに行き先は

正反対の方角にある。

在学中の半分以上の歳月を

ほぼ一緒に過ごしてきた私たちが

離れ離れになるその日...

私たちは

私が乗車する側の

新幹線ホームにいた。


私は

自分がいつもそうしているように

また..

そうしたいように...

 " 私が先にアナタを見送る "

..と、彼にそう言った。

でも・・

そうしたら彼...

今回だけは

自分が見送らせてくれと...

そして...

私は

それを了承したのだった。

私の乗車する新幹線が

発車するまでの間、

私たちは

新幹線の分厚い窓ガラスを介して

お互いにずっと見つめ合っていた。

そして

まもなくして....

彼は

私に向かって

変顔をやり始めたのだった。

周囲の目を一切気にすることなく....

私がとても涙もろいことは、

彼が一番よく知っていた。

家族よりも他の誰よりもよく...

温かい言葉をたった一言でも

冷たい言葉のたった一言でも.....

誰かから

投げかけられると・・

私は

もう..秒で ...

涙がこぼれ落ちてしまう・・

...という特性があることを

彼は一番よく知っていたのだ。

だからこそ..

私の涙が頬を伝わらないようにと...

必死に努めてくれていたのだった。

当時の私は

今のように眼鏡スタイルではなく

コンタクトレンズを着用していた。

超ドライアイなこともあり、

思いきり泣いてしまうと...

涙が引いたあと・・

コンタクトレンズが乾燥しまくり...

眼球に付着して外れにくくなってしまう....

という

とても厄介な事態に陥ってしまうのだ。

現に一度、

自分ではどうしても外せなくなり

眼科に駆け込んだこともあった。

彼はそんな事情までをも

よく知っていたのだ。

だから、

映画でもテレビでも...

私が思わず泣きそう...

...っていう瞬間に出くわすと・・

彼は瞬時に私を

彼の胸にギュッと抱きしめて...

ポロリとこぼれ落ちそうになる涙を

彼の胸の辺りのシャツで受け止めて...

スーッと吸収してくれるのだった。

私は

この瞬間がとても好きだった。

悲しい時も嬉しい時も....

体を抱きしめられることの

安心感と言ったらない...


私たちの住むこのnote世界において

現在、

嬉しい思いをしている人もいれば

悲しい思いをしている人もいる。

楽しい思いをしている人もいれば

寂しい思いをしている人もいる。

悲しかったり、寂しかったりしている人たちに...

体をギューって抱きしめてあげたならば・・

きっときっと...

悲しかったり....
寂しかったりする気持ちが...

ちょっとは癒えるかもしれない。

自分がそうであるように・・

だがしかし・・

私たちは

物理的に

そういった人たちの

体を抱きしめて

安心させてあげることはできない。

この世界は

言葉でしか...

悲しんでいる

寂しがっている

誰かの心を

抱きしめてあげることしか

できないのだ。

そのためにも...

温かい言葉・・

柔らかい言葉・・・

相手の心境に応じて

もっともっとたくさん

使っていけたらなって思う。

このnote世界に

どうかどうか.....

柔らかくて温かな言葉が

もっともっと増えていってくれますように...

..と願う 今日この頃だ。


 ....と、、

話がずれてしまったが・・・


ふたたび、、

新幹線ホームでの
彼との別れ際の話に戻る。

私の乗車する新幹線が

発車するまでの間中ずーっと・・

彼が変顔を繰り返して

なんとか私の涙を誘わないようにと
努めてくれたおかげで...

私はなんとか

笑顔をキープすることが

できたのだった。

そして..

いよいよ新幹線の発車時刻となる。

新幹線がゆっくりと動き始めると・・

彼は

愛してるのサインを

最後の最後に送ってきた。

私たちだけにしかわからない

二人だけの愛してるのサイン・・

ワタシが見えなくなるまで・・・

私も

とびきりのスマイルで

彼に愛してるのサインを返した。

アナタが見えなくなるまで・・・


その数年後・・

私たちは互いの事情により

本当に..

永遠に...

離れ離れになることとなった。

そして私は

故郷でご縁のあったヒトと結婚。

今ではすっかり..

3児の母親となった。

とはいえ...

乙女の自覚が・・

ほんのちょっぴり強すぎちゃって...

母とか..主婦とか..っていう感覚が..

あまりないのだが・・・・

でも一応は、、

ちゃんと立派に?

母親業やってるのだ。

私は現在でも

" 相手が見えなくなるまで見送る "

という...

父から教わった 『別れ際の流儀 』を

マイポリシーとして続けている。

家に遊びに来てくれた
子どもたちのお友達が、

自転車に乗って帰る際も...

徒歩で帰る際も....

子どもたちと一緒に

そのお友達が見えなくなるまで

ずーっと見送るようにしている。

アナタが見えなくなるまで・・


子どもたちにとって、

" 相手が見えなくなるまで見送る "

という行為は、

じいちゃんの流儀であり...

ユウリ母の流儀でもある。

...という認識でいてくれたら・・


ユウリ母は とってもとっても嬉しい。

そして・・

これは

私の毎朝のルーティーンなのだが・・

我が家のにぎやか3兄弟が登校するのを

3人全員が見えなくなるまで・・

ずーっと見送っている。

面白いことに...

なぜか

次男坊だけは、

毎回必ず

こちらに向かって2回振り返る。

ニコニコしながら元気よく

「ママ〜!行ってきまぁ〜す!!」


..って、その都度 言いながら・・

必ず毎回....

なぜだか...

2回 振り返るのだ。

それがまた..

なんて可愛らしいこと....


ちなみに

次男坊は現在、小学3年生。

いつまで振り返ってくれるかな...

ユウリ母にとってみても、

次男坊が2回振り返るのを

しっかりと確認することが

もうすでに習慣になっている。

これが習慣じゃなくなる日が来ると思うと・・

とっても寂しいんだろうな...

いつも2回振り返ってくれてた次男坊が

1回も振り返らずに...

前へ前へとどんどん...

歩き進んで行ってしまうのは.....。

そうなった時に・・

きっと私は...

次男坊が振り返ってくれていた
時のことを思い出して

毎回涙出そうになるのかな..

..って、、

考えただけでもう涙が・・

おほほほほ.....。

でもでも、、

たとえそうなったとしても..

ユウリ母は

アナタのことを・・

愛しい愛しい

アナタたちのことを・・・

最後の最後まで...

見えなくなるまで

ちゃ〜んとしっかり...

見送りますからね...

アナタたちが見えなくなるまで・・

ずっとずーっと・・・

社会人になるまで....

いえ..

社会人になっても

ずっとずーっと・・・。


そして....

この先もし..

note世界のアナタと

リアル世界で

お会いできる機会に恵まれた

その際には・・

思いきり楽しいひとときを

過ごさせて頂いた後・・

最後の別れ際には

ぜひ...

ワタシがアナタのことを

見送らせてくださいね・・・

" 今度はまた...

note世界で再会いたしましょうね "

.......って、

心でそう強く...

優しく祈りながら・・・

お見送りをさせて頂きま〜す。

アナタが見えなくなるまで・・・

いつかいつか...

リアルの場で....

アナタとお会いできる日を夢見ながら・・

ワクワクな毎日を過ごしてまいりたいと思います。

ベリー


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