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1枚の絵から生まれた"繋がり" - 鹿児島の"うんまか深海魚"を日本の子どもたちに届けたい -
2023年夏、小学3年生のプレゼンテーションに心を打たれて、ひとつのプロジェクトが始まりました。
それは鹿児島の"うんまか深海魚"をこども食堂へ提供するというプロジェクトです。沢山の方々の繋がりで実現したこの企画の先には子供達の笑顔がありました。
海洋インフォグラフィックコンテントで奏大くんに出会いました
2023年8月19日(土)、東京都で海洋インフォグラフィックコンテストが開催されました。
海洋インフォグラフィックコンテスト
『海と日本プロジェクトin東京』主催のコンテスト。参加対象は小学生で、
『海にまつわること』をテーマにした自由研究レポートを作成し、その中で選出された優秀作品を、御茶の水美術専門学校の生徒と共同でインフォグラフィック作品に仕上げ、コンテストを実施。
多くの人に「海のこと」を知ってもらうために、作品の展示や商品化を実施している。
フルノは昨年度からこのコンテストに協賛しており、今年は初めて審査員としてコンテスト当日にも参加していました。
コンテストは非常にハイレベルで、とても小学生とは感じさせないプレゼンテーションが繰り広げられていきます。内容も環境問題から海運・物流の話まで幅広く、フルノ社員としても勉強になる内容で終始感心していました。
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その中でも目を引いたのが小学3年生の今西奏大くんの発表。
それは、未利用魚も含め鹿児島の海で獲られている深海魚を”うんまか深海魚”と名づけブランド化に取り組んでいる『かごしま深海魚研究会』の活動を調査し、自身も広告塔となって日本全国に広めたいというものでした。
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漁業に関わる内容でもあり、また発表のクオリティに圧倒され、奏大くんの発表を"古野電気賞"として選出させていただきました。
審査員として参加したフルノの矮松上席執行役員は
「水産資源を生かしていく中で、捨てられてしまう魚をいかに活用していくか。一緒に考えていきたいな、という気持ちにさせてくれた作品でした」とコメントしています。
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古野電気賞受賞、おめでとうございます!
特に奏大くんの発表で心に響いたのが
「この研究は発表がゴールではありません。"うんまか深海魚"を発信して、その魅力を色んな人に届けたい。そして海に興味を持ついろんな人と友達になって、日本の海をワクワクさせる取り組みを始めたい!」というものでした。
"何かフルノとして彼の想いに応えられないか"
そんな気持ちが芽生えました。
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フルノのネットワークで"うんまか深海魚"をこども食堂へ届けたい
コンテストから1週間、あるアイディアを伝えるためにコンテストの主催であるテレビ東京ダイレクトさんに連絡を入れました。
ちょうど2023年より、"全国の漁港に営業所があるフルノだからこそ出来る地域貢献として、本社がある西宮市のこども食堂に海産物を提供する"という取り組みが始まっていました。
そこで、『鹿児島の"うんまか深海魚"をこども食堂に提供したい。そのために奏大くんの力を貸してもらえませんか?』というお願いを本人に伝えていただきました。
そうしていただいた奏大くんからのメールには
「こども食堂のお誘いとても嬉しいです!力になりたいです!ぜひ一緒に取り組ませてください!」と力強いメッセージが記載されていました。
また同時に「大人も子どももみんなで取り組んで、一緒にワクワクして、海の未来がもっとワクワクする取り組みがしたい!」とも。
そんな想いに賛同して、社内のこども食堂支援プロジェクトチームも前向きにコラボを受け入れて、企画が走り始めます。
また『かごしま深海魚研究会』さんにもお話しさせていただき、奏大くんを中心に沢山の方が繋がって、こども食堂への"うんまか深海魚"提供に向けて準備を進めていくこととなりました。
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かごしま深海魚研究会さんは鹿児島大学水産学部、仲卸売会社の田中水産、南さつま市がタッグを組み、産学官で結成した研究会で、鹿児島大学水産学部教授の大富潤先生が代表を務められています。
奏大くんの自由研究にも協力し、"うんまか深海魚"の取り組みや鹿児島県の漁業の問題などの情報提供をしていたとのこと。
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大富教授・田中水産様にもご提案を了承いただき、ありがたいことに"うんまか深海魚"をご提供いただけることとなりました。
さらにテレビ東京ダイレクトさんも一連の企画を取材いただけることとなり、ワクワクする大きなプロジェクトへと発展していきました。
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"うんまか深海魚"とご対面
ポスターにも描かれた『あの魚』にも会うことができました
打ち合わせを重ね、11月26日に開催されるこども食堂へ提供することなどが決まりました。また、奏大くんも当日はご両親と共に西宮に来ていただけることとなり、フルノ側も受け入れの準備を進めます。
そして、こども食堂開催の1週間前にいよいよ"うんまか深海魚"を田中水産様からご提供いただけることとなり、その様子を記録するべく鹿児島へと向かいました。
鹿児島ではこども食堂支援プロジェクトメンバーのフルノ・橋口さん(宮崎営業所勤務)と合流し、鹿児島市中央卸売市場魚類市場で奏大くんと対面。さらに大富教授も駆けつけてくださり、みんなでお魚を受け取りに行きます。
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今回、どのような深海魚を提供いただけるのかは水揚げ次第とのことで、ワクワクしながら田中水産様の店舗へ向かいます。
様々な深海魚に目を光らせる奏大くんとそれを丁寧に解説していく大富教授。お二人の深海魚愛がヒシヒシと伝わってきます。
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店先に沢山の魚が並んでいます
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さらに提供する"うんまか深海魚"の中にカガミダイがあることがわかり、奏大くんのテンションは最高潮に。カガミダイは海洋インフォグラフィックコンテストのポスターの中心に描かれている魚で奏大くんの一番好きな魚なんだとか。
銀色に輝く体表と縦に薄いフォルムが確かに格好良い。食べても美味だそうで、水揚げ量は少ないそうですが、こども食堂のために確保していただいていたそう。本当にありがたいです。
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その他にもアカカサゴを沢山いただきました。
それらを発送ボックスに入れて"うんまか深海魚"のステッカーを貼って発送。いよいよ来週こども食堂に提供です。
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西宮の子どもたちは美味しく食べてくれるかな?
"うんまか深海魚"がどう調理されるのか。
見届けた上でこども食堂で提供したい。
今回"うんまか深海魚"の提供にご協力いただいたこども食堂は『子ども食堂えびす』さん。特定非営利活動法人えびすバスケットボールクラブが主催するこども食堂です。
"新しい時代のスポーツクラブ"の在り方として、地域のステークホルダーと協働し、価値を生み出し、社会に還元することをミッションとしており、その活動の一つが『子ども食堂えびす』となっています。
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地域の色んな方々が活動に協力しており、提供場所も高校の校舎などとなっています。
またプロの料理人が調理した食事を提供。そのため深海魚は芦屋市の料理屋『食楽 螢』さんに発送され、そこで調理していただきます。
こども食堂の前日に下準備をするとのことで、子ども食堂支援プロジェクトのフルノ・箕輪さん、石野さんと西宮に来訪いただている奏大くんと一緒に調理の様子を見学させていただきました。
メニューは奏大くんの提案で、カガミダイは塩焼きで、アカカサゴはきのこバターのホイル包み焼きで提供することに。
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目の前で手早く捌かれていく"うんまか深海魚"を真剣な目で見つめる奏大くん。普段もお父さんと一緒に魚を捌くこともあるそうで、技術を吸収しようと食い入るように見入っています。
調理を担当してくれたシェフ曰く「普通の魚と違って、形状が特殊なので少し捌きにくさはあるが、身は引き締まっていて油ものっていてとても美味しそう。いつか獲れたてを捌いて刺身で食べたい」とのこと。
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奏大くんも味付けを手伝い、下準備が完了。こうして全ての準備が整いました。
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こども食堂当日、子どもたちは美味しいと言ってくれるでしょうか。
この日のこども食堂は西宮市から少し離れた猪名川町の甲英高等学校にて開催。校庭でBBQをし、その日参加した子どもたちで収穫した里芋を調理するとのこと。メイン料理はもちろん”うんまか深海魚”です。
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周りのホイル包みはアカカサゴのきのこバター包みです!
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普段、こども食堂に海産物を提供させていただくときは"生産者さんの紹介"や子どもたちに魚食に興味を持ってもらおうと簡単な漁業や魚に関しての講演をさせていただいています。
今回はせっかく鹿児島から奏大くんが来てくれたので、奏大くんのインフォグラフィックも持参し、ポスター発表をしていただきました。
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コンテストからさらにブラッシュアップした発表に子どもたちだけでなく、参加した親御さんも聞き入っていていました。
そしていよいよBBQで"うんまか深海魚"を振る舞います。
少し緊張した顔で一人一人に料理を手渡していく奏大くん。子どもたちの反応はいかがでしょうか。
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すると深海魚を食べた子どもたちからそれぞれに"美味しい"と声があがります。深海魚はグロテスクだったり、美味しくなさそうといったネガティブイメージを払拭したいと考えていた奏大くん、その想いが伝わった瞬間でした。
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鮮やかな赤色が食欲をそそります
さらに嬉しいことに、食べ盛りの子どもたちから"おかわり!"の大行列。肉厚なお魚に大人たちも"これは美味しい"と唸り声をあげ、"うんまか深海魚"PR大作戦は大成功。美味しかったよ!と奏大くんへ声をかけてくれた大勢の人たちにとても嬉しそうに笑顔を返していたのが印象的でした。
その後は、奏大くんも同年代の子どもたちと一緒に校庭で走り回っていて、こういう姿を見ると小学3年生なんだなと再認識させられます。
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鹿児島の"うんまか深海魚"、しっかり西宮の子どもたちに届けたよ!
こうして奏大くんと一緒に鹿児島の"うんまか深海魚"をこども食堂に届けるというプロジェクトが無事に終幕しました。翌日、ホッと一息着いたタイミングで、奏大くんのお母さんからメールが届いていました。
"奏大は新幹線に乗るなり「もうみんなとは会えない?」としょぼしょぼしていました。また来年、海洋インフォグラフィックに挑戦してくれたらなと思います"
このプロジェクトを奏大くんはとても楽しみにしてくれていて、一生懸命頑張ってくれたんだなと嬉しく思いました。
"海を好きでいてくれたら必ずまた会えるよ"と返事をさせてもらいました。
今回、ご協力いただいた鹿児島大学 水産学部 大富潤教授、株式会社田中水産 田中積社長、子ども食堂えびすの皆さま、調理いただいた食楽 螢さま、テレビ東京ダイレクトの皆さま、そして今西奏大くんとご両親様、本当にありがとうございました。
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素敵な笑顔が見れてフルノスタッフみんなが癒されていましたよ。ありがとう。
また会える日を楽しみにしています。
取材・執筆 高津 みなと
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