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山田はいつもやさしかった

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最後の山田とのこと
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私の神(山田俳句)

私の神(山田俳句)


荒れてゐる吾が職人の牡蠣剥く手

ざくざくと土を踏みしめ墓囲ふ

終ったらどこへゆくのか食むセロリ

埋み火の朱もだれかのクリトリス

踏み込みて吾を見つむる樹氷かな

悴みて神の怒張をふくみけり

憤り雪の田をゆく吾の男

抱かれて迫る近火に果てを見る

ゆくすえを思い出さぬか沈丁花

春雨や抱えて眠る幹の腕

桐の花そっと頷く決めていく

濡れてゐる麦をおまえが触る

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さようなら、わたしの山田! すべてよし!#9

さようなら、わたしの山田! すべてよし!#9

 山田と終わった。

 もう無理だって、言われちゃった。部署の役員になってしまって、休みがない。身体の病気もしてしまった。だから生殖器として、古橋ちゃんの役に立つのはもう無理だって。身体を壊していたなんて知らなくて、気軽に連絡してしまった自分がふがいなくなったけれど、それは「古橋ちゃんという人間と一緒にいるのはもう無理だ」という意味でも、あったんだと思う。わたし、大学1年生から社会人3年目まで、山

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