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準備をしないとこわかった

「古T。今日の僕の自主学習、ぜったいにびっくりすると思うよ」
朝一番にある子がそんなことを言った。
1学期はなかなか積極的に学べなかった子だ。

クラスの「第二陣」が伸び始めている。
最近の子どもたちの様子を見ているとすごく感じる。
今までの僕のクラスは「第一陣」の子どもたちがひっぱってきた。
「第一陣」の子どもたちとは先生の言ったことをすぐに挑戦しようとする子どもたちだ。「第二陣」の子はその後ろに隠れている子。先駆けでやる勇気はないけど、成長したいという気持ちにあふれている子だ。
(ちなみに「第三陣」はみんながやるからやる子。「第四陣」はみんながやってもなかなか行動に起こせない子だ。)

この「第二陣」の子がぐぐぐっと伸び始めている。
殻をやぶって様々なことに挑戦し始めている。
4ヶ月、淡々と蒔き続けた種が芽を出した。
そんな感覚だ。


今年の僕の学級経営はとても不思議な感覚がある。

今までの僕はやりたいテーマを決めてそれに向かって突き進んできた。
それでうまくいったこともあるし
そのせいでうまくいかないこともあった。
僕はそういうものなのだ。
そう思っていた。

でも、今年は違う。
コロナの影響で僕のやりたいことは何一つできない。

そう思っていた。

でも実際は全然ちがった。
結論から言うと僕のやりたいことの幅は広がった。
いや、薄まった分だけ広がったという言葉の方が正しい。

今年の僕は本当の意味での「後出しジャンケン」ができている。
今までの僕はこわくてこわくて、準備をせずに子どもたちの前に立つことなどできなかった。

でも、その恐怖を乗り越えて肩の力を抜いて子どもたちの前に立ってみる。
すると今までに見えなかったものがみえてきた。

僕は今まで

「伸ばしてやる」
「成長させてやる」
「力をつけてやる」

そう思い過ぎてきたのかもしれないなぁと感じる。
今年の僕はそんな感情はほぼなくて、
ただできることを懸命に淡々と積み重ねるだけだ。

それなのに不思議なことに今までにないぐらい子どもたちは伸び伸びとしている。
そして、今まで見たことがないぐらいの面白い挑戦をし始めている。
まさに学びを楽しんでいるという感じだ。

子どもたちの心がまっすぐなこともあるけれど、
僕自身の変化も大きい。

力を抜いて、楽しむ。
楽しむ中でつながったものをまた楽しむ。
そんな繰り返しを僕自身が楽しめるようになった。

人は明るい所に集まる。
温かい所で成長する。

そんな当たり前のことにようやく気づけた気がする。
前よりも僕は薄まっている。
でも広がっている。

僕はこのまま薄まって広がって、
きっと消えていくのだろう。
それでもいいかな。
最近そう感じはじめている。



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