根をはる子どもたち

「わあ出てきた!」

育てていた枝豆から芽が出た
でも、それは間違っていた… という話。

学校の畑で育てるために僕は、枝豆の苗を育てている。種をキッチンペーパーに包み、暖かい場所で育てる。
…すると数日後に枝豆の種は発芽した。出てきた小さな小さな芽。それを見届けてから僕はそっと種を土に植えた。

その成長を見守っていくうちに
「あれ?これはおかしいぞ?」
と僕は思った。
どうやら僕が芽だと思っていたものは芽ではなかったようだ。発芽した後にぐんぐん伸びていたもの。それは根だったのだ。

ぐんぐん伸びていく根。地面にしっかりと根付くとその後に土を持ち上げ、子葉が開いた。

僕は勘違いしていた。

芽が出たと喜んでいたがそれは枝豆の根っこだったのだ。
「発芽する」という言葉から僕が勝手に芽が出たと勘違いしていただけだったのだ。

根が出てから、葉が茂り、花が咲き、実がなる。よくよく考えるとこれって子ども達も同じじゃないか。

子ども達は根をはることができる場所を探している。じっくりとゆっくりと…根をはって成長していける場所を。


僕たちは学校で子ども達に
「葉を茂らせろ」
「花を咲かせろ」
としきりに言う。
でも「根をのばせ」とは言わない。
根が張っていないところに花なんて咲かないのに…。

根は目に見えない。
子ども達が一生懸命根を伸ばして成長しようとしていても…
僕たちがそれを見ようとしなければ感じ取ることなんてできない。

それどころか、懸命に根を伸ばす子ども達を、手でほじくり返して根をぶつぶつと切っていやしないだろうか。

「困った子」「問題児」

そんな風に言われる子がどの学校にもいる。
でもそれって本当だろうか?
その子に「花をつけろ」「葉を茂らせろ」とほじくり返しているだけなのではないだろうか。
その子は本当は根をはろうとしているのに。

どの子もどこかでしっかりと根をはれる場所を探している。根をしっかりとはれたら、その子は葉を茂らせ、きっと素敵な花を咲かせるだろう。

それは、誰だって同じだ。
大好きなあの人を想像してほしい。
想像したその人は、私が安心して根をはれる場所なのだ。
安心して根をはれる場所。
そういう所で人は成長していく。


安心して根を晴れる場所を作ること。
あなたのペースで花を咲かせていいんだよと伝えること。
どんな花を咲かせてもいいんだよと思えること。

僕はそう思えているだろうか。
その子はどんな風に根を伸ばしているのだろう。肩の力をすっと抜いて、そんな風に考えることができた時、その子は僕の前で芽を出すのだろう。


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