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レスリー・チャンからMaydayまで


思えば遠くへ来てしまったわね…。
中華ポップスライヴ鑑賞20年の記録

5月19日と20日に日本武道館で行われた、五月天(Mayday)のワールドツアー東京公演に行ってきました。彼らの武道館ライヴは三度目ですが、私は昨年2月の公演で初めて彼らの歌を生で聴き、圧倒されてしまい遅ればせながらハマってしまいました。
本来は黎明期からのJ-POP好きで、年に最低一度は誰かしら好きなアーティストのライヴに行く私なのですが、もちろん中華趣味なので中華アーティストのライヴもタイミングが合えば上京して行ってました。

そんなわけで、今回は初めて行ったレスリー・チャンからこの20年間(!)くらいの中華ポップスライヴの思い出をまとめたいと思います。

レスリー・チャン(1997年1月&6月、2000年12月)

1996年に歌手活動を再開し、同じ年の暮れから年またぎで開催した跨越97演唱會のステージを持ってきた97年の東京国際フォーラムでのライヴはもうすごかった。今思えば飛び出し禁止(のはず)の日本のコンサートホールで香港ライヴ恒例の握手タイムをやってしまって、1階真ん中の列にいた自分も思わずステージに向かって駆け出してしまったくらいだもの。香港コロシアムより制限のある会場のため、現地の完全再現はできなかったのだけど、そのゴージャスさと官能さは20年以上たった今でも強烈に覚えているのでした。
ゴルチエの衣裳と長髪ウィッグというスタイルが話題を呼んだ3年後の熱・情演唱會も同じ国際フォーラムで開催。日本で歌うレスリーはどこかのびのびしていた感があって、ドキドキもしたけど観ていてとても嬉しかったものです。
彼がいなくなってからもう長くなるけど、やっぱりこの2つのコンサートは今でも忘れられないですね…。

アーロン・クォック(1997年4月)

先のレスリーを始め、1996年から97年は香港アーティストが次々と来日ライヴを行っています。行けなかったのだけど、96年秋にはアンディ・ラウもライヴをやっています(その後99年あたりにもやってたはずだけど、これも行けず)。
今でこそ渋い演技派俳優になったアーロンだけど、当時は香港明星四大天王の一人として人気を博していた頃。映画もあまり来てなかったので、どんなのだろうと思いながらNHKホールまで観に行きました。
台湾にいた頃に「對你愛不完」でブレイクし、名前は知らずともメロディも可愛らしいルックスもなんとなく覚えていたものだけど、この時は既にかなり立派な体格で、彼にしか似合わないものすごい衣裳で歌い踊りまくっていたので、レスリーとは違うけどこれまたすごいわーなどと思ったものです。
アンコールではキルトを着て登場し、「對你愛不完」を歌ってくるくると回っていた可愛らしさは今でも覚えてます。

イーキン・チェン(2001年初頭)

90年代半ばの香港で人気を博した『欲望の街・古惑仔』の主演だったイーキンも、日本の香港ファンに人気の高い俳優&歌手。代々木公園にあったSHIBUYA-AXのオールスタンディングライヴに行った記憶があります。なかなか初々しい感じで、ファンの方の盛り上がりも印象的でした。
この時は通訳付きだったのだけど、それは中華圏スター来日には欠かせない名広東語通訳のサミュエル周さん。MCもコメントも逐次通訳し、ほとんど司会的な大活躍で、ますますファンになってしまったのでした、サミュエルさんの(こらこら)

ニコラス・ツェー(2001年3月)

四大天王や古惑仔世代に続くジェネックススターとしてノリノリだったニコラスのライヴも、お台場のZepp Tokyoまで観に行きました。こちらもスタンディングで頑張って見ました。
本人がロック志向だったので、そっちを意識した構成だった記憶はあるけど、それでも王道の香港ポップスアイドルだなーと思ったのでした。
その後は結婚や子供の誕生、離婚やあれやこれやもあり、大陸のドラマなどにも出ていたけど、今はシェフもできるタレントとして活躍し、中環にクッキーショップも開いています。映画にはまた出るだろうけど、たまには歌ってもいいと思うんだけどね…まあ難しいかな?

ワン・リーホン(2004年7月、2006年4月)

2000年代に入ると、台湾で活躍するアーティストの来日が増えてきました。リーホンは2004年に歌手として日本デビューし、その前後から日本映画などにも出演して存在感を増してきていた覚えがある。米国生まれの華人としての矜持を持ち、レスリーやアン・リー監督へのリスペクトを持っていたっけ。同年夏の原宿クエストホールでのファーストライヴ、2年後のNHKホールでのライヴに行っています。
そういえば、後述するジェイと彼のライヴあたりから、日本における中華ポップスライヴの雰囲気が変わってきたなあと思うようになったのでした。それは台湾ポップカルチャーの受け入れ方であったり、ファンの年齢であったり、観客に華人オーディエンスが増えてきたりということです。このとき既に、自分が結構年齢の高い観客であったことに気づいちゃったもので…。

ジャッキー・チュン(1999年7月、2007年6月)

四大天王からアジアの歌神となった學友さんも、一時期日本で頻繁にライヴを行っていました。上記の他、2002年8月に東京国際フォーラムでもライヴを行い、元バービーボーイズで福耳オリジナルメンバーの杏子とのジョイントライヴや(確か2000年あたり)、渡辺美里が出演したジョイントライヴ「POP ASIA 2004」に出演していた記憶があります。
1999年の友個人・演唱會@国際フォーラムの思い出はこちら、2007年の同じく国際フォーラムのライヴについてはこちらで書いています。

ジェイ・チョウ(2006年2月、2008年2月)

なんか最近「サンマが中国で人気なのは“中国のフクヤマ”といえる“しゅうけつりん”という歌手が歌った“しちりこう”という歌の歌詞にあるから」などとこじつけにも程があるコメントをつけたワイドショーが話題になって大いに頭抱えたけど、(詳細はこちらのblogを御覧ください)取材した人も通訳した人もこの「しゅうけつりん」は10年以上前に日本で二度ライヴを成功させているし、人気の『頭文字D』の実写映画版の主演だし、ハリウッドデビューを果たしていることすら知らないの?と呆れ果てました。
そんなジェイのライヴは2006年の東京国際フォーラム(無與倫比日本演唱會)、2008年の日本武道館公演(世界巡迴2008日本演唱會)を見に行きました。この2年間は日本の音楽番組にも出演し、ライヴも日本語曲の披露や津軽三味線との共演、プロデュースしたグループ南拳媽媽(当時は弾頭・宇豪のオリジナルメンバーに、最近東京でライヴを行った張傑、「珊瑚海」でジェイとデュエットした紅一点のLara)とのコラボ、そして東京に連れてきた最愛のおばあちゃんを前にしての「桃太郎」の熱唱と、中華圏のトップアーティストとしての風格を堂々と見せつけてくれた楽しいライヴでした。
最近はツアーをしてもどうしても日本でライヴする機会がないのが残念だけど、いつかまた来てほしいと思っております。一時期より活動が緩やかになったとはいえ、やはり中華圏のトップアーティストであるわけだし、先のワイドショーみたいな扱いはされたくないですからねー。

Mayday(2017年2月、2018年5月)

2015年8月に行われた初武道館ライヴは、悔しいことに両日とも大きな仕事が入ってしまって見に行けなかったのだけど、2017年の「Re:DNA ~2017 復刻版~」には行くことができ、そこでついにハマってしまいました。
リンク先の感想にも書いてあるけど、五月天を見て感じたのは、J-POPや洋楽のアーティストと同じような、非常にベーシックなバンドスタイルでのライヴであるということ。ほとんどの中華ポップスはショーアップされたライヴで、ソロアーティストはダンサーを引き連れたりしてかなり派手に展開されるのだけど、彼らはバンドだからか、それぞれのプレイスタイルを見せ場としているので、かえってそういうほうが嬉しいかななんて個人的には思うのです。GLAY、flumpool、ポルノグラフィティなど日本のアーティストとも交流していて、彼らの中華圏公演にはエールを送ることもあるとか。「音楽は国境を超える」という言葉を実践してくれるこの台湾の五人組が、今後も日本で公演してくれることを願います。

ここ数年は、サマーソニックなどの大規模音楽フェスでも台湾アーティストが参加したり、夏以降もクラウド・ルーや宇宙人(cosmos people)、大ベテランのボビー・チェンなどの来日公演が予定されています。さらに10月には香港のアンソニー・ウォン(黄耀明)も来日するそうで、今後もささやかながら中華アーティストが日本(といっても大部分は東京)でライヴしてくれるようです。
これは嬉しい流れなのですが、以前に比べると実にいろんな人が日本にやってくるので、しばらく音楽から離れていた身としては「キミ誰や?」と思ってしまうことがしばし(笑)。
spotifyなどのサービスを利用して、いろいろ聴いていきますか。

では最後に、これまで日本に来てくれた多くの台湾アーティストから、個人的に気になった人たちを紹介して締めとします。

滅火器(Fire.EX)
台湾語で歌うパンクバンド。2年前の冬に岩手の宮古・盛岡、そして秋田を旅してPVを作った「繼續向前行」で知りました。宮古のライヴハウスで公演し、同じく宮古で開催されたロックフェスにも参加。秋に盛岡で開催されるいしがきミュージックフェスティバルにいつか一度来てほしいなどと思っております(でも海外アーティストだからねー)細美武士くんと共演した「Don't You Fight」もカッコいいです。 

PiA(吳蓓雅)
うって変わってキュート&不思議系女子ソロアーティスト。日本語でアルバムも出しています。昨年の秋に仙台で開催されたリトル台湾in仙台でミニライヴを行いました。今の季節ならやっぱりこれだよねというわけで、ここで紹介するのは「一杯冰啤酒」PVは見つけられなかったけど、日本語ヴァージョンもありますよ。



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