見出し画像

ファンク廣田代表がマーケターを志した理由

皆さんこんにちはファンク編集部です。
今回は凄腕マーケターであり、株式会社ファンクの代表である廣田章氏に「マーケターになった理由」をテーマにお話を伺ってきました。

廣田氏はいつどんなときにマーケターの道を志したのか、「マーケティング」というものをそもそもどのように認識しているのかなど、気になることを全て聞いてきました。

これから目指すものが決まっている人も、いない人も必見のインタビュー内容となっています。皆さん、ぜひ御覧ください!


Q.廣田さんは、いつ頃マーケターになろうと思われたんですか?

僕がマーケターを目指そうと考え始めたのは、学生時代にさかのぼります。

実は僕、理系の大学院まで進学していて、マーケターを目指す前までは、将来は研究者になろうと考えていました。

(少し話はそれますが)当時は、電波がどのような形で空間を伝搬するのかや、壁などの障害物がどのように干渉して電波が伝わるのかというテーマで研究をして、シミュレーターを作ったり、(作成したシミュレーターを活用して)普通では見えない電波を可視化させたりしていたんですよ。
そのため、研究室の同期たちの多くは、某大手通信会社や有名電気機器メーカー、携帯電話の端末を作るような企業に就職しています。そうした人たちのいる環境で、院生自体は僕も研究者を目指し、日々研究に勤しんでいました…!

▼当時廣田さんが研究発表した論文の1つがこちら

Q.そんな学生時代、どのようにしてマーケターを目指すに至ったのでしょうか?

研究者って年に数回、人によっては毎月のように、同じ分野で競合している方々と情報をシェアしたり、より学びを深めたりするために学会などで研究発表を行ないます。そうした日々の中で、(ひたすらコツコツ研究するのも好きではありましたが)僕はどちらかというと、自分の性格・性質上、学会発表のほうが好きだなぁと気づいたのが、マーケターを志すきっかけになりました。

つまり「物事をいかにしてうまく他者に伝えるか」という部分に一番面白さを感じ、それを仕事にできないかなと考え、結果的にたどり着いたのがマーケター・マーケティングだったというわけです。

なので、就職活動の方向転換をして初めて、「電通」・「博報堂」といった広告代理店があることを知りましたね…!

Q.そんな廣田さんがこれまで、マーケターとしてどんな案件を担当されてきたのか、実績をお伺いしてもいいですか?

う〜ん…!こういう質問への回答って難しいんですよね。
まず、僕の中での「マーケティング」の定義からお話させてください。
僕が考える定義は、対面営業以外のすべての業務がマーケティングだということ。マーケティングの業務内容って本当に幅広いんです。

しかし、セールス業務以外の全てがマーケティングだと定義すると、事実上はセールスのことも理解していないといけないですからね…本当は全業務がマーケティングの範囲に入るんじゃないかな、とさえ思っています。

つまり、僕は商品の開発もパッケージもマーケティングの一つであり、無形サービスも考え方も作り方も、実は全てマーケティングに属すると考えているんです。したがって、僕の中のマーケターはトップオブビジネスマン(ビジネスウーマン)になります。

だから僕自身、マーケターでありたい、あり続けたい、いいマーケターになりたいと思っていることは事実であり、人から「マーケターですよね」と言われることが嬉しくもあるんですが、自分からマーケターと名乗ることは恥ずかしい行為だと考えています。

ーーなるほど…!となると、この(自身のマーケターとしての実績を教えてくださいという)質問はちょっと答えづらいですかね…!

そうですね…!答えづらい理由は2つあります。
もちろん、これまでにお付き合いのあったクライアント様や商品・サービスの具体的な名前を出すのが難しいというのも1つですが、案件名を出せたとて…結果を出すためにやったこと全部を自分一人でやったわけじゃないですからね。それなのに、「自分のこれまでの実績はコレです」って声高にいうのはどうなのかなって思ってしまうんですよ。

もちろん、これはケース・バイ・ケースで、自身の実績を発信することで所属する企業や今担当している案件のマーケティングになることもあります。

皆さんもご存知な例でいうと、USJの再建にフォーカスさせるためにあえて自身の名前やそれまで担当してきた案件について発信をした森岡さん。
Twitter社を買収して、関連する情報や自身の考えを積極的に発信したイーロン・マスクさんとか。彼らはまさに、「こういう(実績や自身についての)情報発信の仕方も、マーケティングの一つになるんだ」と多くの人に再認識させてくれたと思います。

 

Q.廣田さんが理想とするマーケティングってどんなものですか?

都市伝説じゃないかなって思います。
例えば、都市伝説の「口裂け女」とか…この話って誰が考えたのか分からないですよね。

(今の10代・20代の人も知っているかは分からないですが)都市伝説の幅広い層への浸透度と、伝染していく仕組みはすごい。しかも口裂け女が流行った時代って、今みたいにスマホも無ければSNSもなかったんですよ。そんな時代に多くの人に認知されただけではなく、誰が話を作ったのか、誰が噂を広めたのかが分からないことがより信憑性を増して、広まり続けてきたっていうのが、僕が考える理想のマーケティングかなと。

 

ーーマーケターって物事を広める「仕掛け人」というイメージがあるんですが、廣田さんは仕掛け人として自分が世に出たいわけではなく、知らぬ間に自身がマーケティングしたモノやサービスが広まっているのが理想ということでしょうか?

仕掛け人が仕掛け人として表に出てしまっている以上、ノイズが入っちゃうという感じですかね。

僕の場合、「廣田が作った〇〇」とか「廣田が広めた〇〇」という形で、そのモノやサービスが認知されることをあまり好まないので、都市伝説が理想のマーケティングになるんです。

あとこれはマーケターについて思うことなのですが、マーケティングに携わる仕事をしているにも関わらず、モテない人っていうのは、マーケティングが下手な人=信用に欠けるマーケターだと思いますね。本当にできるマーケターって自分のマーケティングも当たり前にうまいですから。

 

Q.廣田さんが思う・考えるマーケターに必要な要素ってありますか?

僕がマーケターに必要だと思う要素は、
・好奇心がある
・ユーモアがある
・ある程度数学ができる

だと思います。

特にある程度でも数学ができないと、マーケティングが仕事として成立しなくなってしまう。数字の分析、それをもとに何をどれだけ変えるかという数字的な根拠がないと、(ひろゆきさんじゃないですけど)「それってあなたの感想ですよね」っていう状態になってしまいますよね。

 

ーーマーケターに必要な要素として「好奇心がある」と「ユーモアがある」を挙げた理由も教えてください

マーケターってやはり、人の好奇心をどう刺激するかが仕事だと僕は思うんです。だから、自身に好奇心がない、好奇心がどんなものか分からないっていう人は、そもそもユーザーの好奇心や気持ちを知ることができないですよね。

そのため、マーケターとしては好奇心がある・ミーハーであるかどうかっていうのも重要だと思います。

最近よくいるのが「僕テレビみないんですよね」という人。でも、その人たちってたぶん(ちょっと偏見かもしれないですが)、クリエイティブを作るときにテレビで取り上げられた「こんなコンテンツがいいんですよね」といった、そもそもが破綻した提案をしがち…

主要なメディアは日頃からみていて当たり前。「〇〇はみない」って言っている時点で、制限された情報の中で施策を考えていることになるので、それはマーケターの行ないとしてよくないんです。

だからSNSや昔からある雑誌・新聞を見るとか、美術館にいくとか、本屋さんにいくとか、あらゆるところで常にアンテナを張るべきだなって思っています。

 

ーー「ユーモアがあること」を挙げた理由は?

マーケティングにユーモアがないと、ただの情報の伝達になりますよね?
ユーモアをもって物事を伝えることで、相手に「面白い」と感じてもらえたり、感動してもらたりするんじゃないかなって僕は思います。

例えば、マクドナルドのロゴって赤と黄色でできているじゃないですか。それに対して「なんで赤と黄色なんですか?」って聞かれたとして、(もちろんデザイン的に作り込まれた色や形だと理解してはいますが)「ケチャップの赤とバンズの黄色です」っていう情報の伝えかたをするよりも、「ケチャップの赤と、バナナの黄色です」っていうユーモアのある伝達の方が、インパクも大きいですし伝わると思うんです。

「あぁ〜ケチャップの赤か。え?まって、バナナの黄色??そのバナナはどこから??」というユーモアが、人の好奇心を刺激することも往々にしてありますからね。だから僕は、「ユーモアがあること」もマーケターにとって必要な要素だと考えています。

 

ーーなるほど〜!その例え、とても分かりやすいです!

もっというと、「マクドナルドのロゴの赤はりんごの赤と、バナナの黄色です」って伝えたとします。こうなると意味が分からなすぎますよね?ユーモアがユーモアとして相手に受け取ってもらえないと、それはそれで最適な形では情報が伝わらないんです。

だから、ハンバーガーの中に入っていたり、フライドポテトにつけたりする”ケチャップの赤”としつつ、その後に違和感というかユーモアとしていきなり”バナナの黄色”と伝えるくらいが丁度いいかなと。

納得とか共感とか人の色々な部分をマーケティングでくすぐるのが僕らの仕事であり、その根底にあるのがユーモアなんじゃないかなって思います。

 Q.今まで廣田さんがマーケターとして携わってきたお仕事の中で印象に残っているものとか、面白いと思った案件などはありますか?

まず個人としてお答えすると、これまでマーケターとして携わってきた仕事の中に面白くなかったと感じた案件は1つもありません。ただ仕事としての観点からいうと、もうやりたくない案件とか、記憶から消したい案件はあります…!

ーーえ!?記憶から消したい案件があるんですか!?それってどんな仕事だったか聞いてもいいでしょうか?

まぁ簡単にいうと、ユーザーを幸せにできなかった仕事です。
(ちょっと過度な意見にはなるので、ざっくりとした分野のお話をしますが…!)

ダイエット関連の商品とかサービスって世の中にいっぱいあるじゃないですか?これってターゲットは、当たり前ですが「ダイエットをしたい人」なんです。ですが実はサービス上・商品上、安定的な利益に繋がるのはダイエットをしたい方々ではなくて、「ダイエットをしたいけどできない人」とか「ダイエットをしようと思っている人」たちになります。

どういうことかというと、ダイエットをしたい方たちって、例えば具体的にいうと−5キロとか、体脂肪率−2%とかっていう目標値がありますよね。でも、ダイエットのサプリとか、サービスって使い続けてくれたほうが儲かるので、結果を出しているようで出さない商品やサービスのほうが企業にとってはいいんです。

1粒で体重がガクッ−5キロ減ったら、2粒目以降っていらないじゃないですか。だから、ダイエット関連の商品は、本当に利益を出すことだけを目標にするのであれば、ダイエットをしたくてもできない人とか、ダイエットをしている自分が好きな人たちにアピールしたほうがいいんです。

プロダクトの利便性と実態の売上対価が実は相反する。もちろんマーケターは企業さんから報酬をいただくので、第一にクライアントに利益をもたらさないといけない。でも、そこを突き詰めていくと結果的に、ユーザーの皆さんを本当の意味でハッピーにしているのかなってなるじゃないですか…。

だからこうした案件は今後やりたくないですし、例えやり続けたとしてもどこかのタイミングで結果が伴わなくなってしまうと思います。

ーーなるほど、他にこういう案件はやりたくないとか、嫌だと思う仕事ってありますか?

一緒に仕事をする方々が、自分たちのサービスとか、ユーザーさんをよく思っていない仕事はやはり嫌ですね。

「すごくいいものを作りました」でも全く売り方(マーケティング)がわかりませんっていう相談と、「本当にひどいモノなんですけど、めちゃくちゃ原価を安く抑えることができた商品なのでそれを売ってください」っていう相談は、僕的には同等に悪だと思っています。

ーーいっけん相対しているように思うのですが、なぜ同等に悪だと思われるんですか?

どちらも商品を作った側のエゴだからです。
いい商品を作りたいという想いを突き通すのはいいことなんですが、ユーザーのことは考えずそれを売ってほしいというのはエゴですよね。
また、利益をたくさん出すために粗悪品を作って販売し、利益幅を大きくするっていうのも、また違った(でも同じくらい大きな)企業側のエゴです。

もちろん、目的をちゃんと持って「売ってください」と相談したりしてもらえれば、僕はお仕事をお受けしますよ。本当に自分たちの商品を普及させたいっていうのであれば「無料で配ればいいじゃないですか」っていいますし、「それじゃ会社が損しちゃうじゃないですか」って返答がきたら、「あなたは自分たちが損しない範囲で商品を普及させたいんですよね」って目的を明確にするお手伝いからします。

極論、本気で商品を普及させたいという想いに対してだったら、別に僕もお金をもらわずにマーケティング支援をしても全然いいですからね…!

Q.これまでマーケティング業務に携わる中で、得た教訓や新たな目標などはありますか?

マーケティングをやればやるほど楽しさや難しさが分かってきますし、日々学ぶことがあるなと思います。どういうことかというと、「あぁ伝わっていないんだな」っていう伝達精度の悪さとか(もちろん僕自身のいたらない部分もありますが)、双方のギャップとか、「こんなところまでみてるの?」「こんなところまで気にしなきゃいけないんだ」っていう細かい部分が色々な施策を行っていく中でどんどん分かっていく。

特に日本は同調意識とか、固定概念とか、識字率が高い割に文字読解率が低いといった特殊なマーケットであり、難しいことも多いんですが…マーケティングはすごく面白い仕事だと思いますし、生涯マーケターとしてあり続けるために色々なことを勉強したり吸収したりし続けなきゃいけないなって常に考えています。

よくいうんですが、僕が自分自身に付けたいハッシュタグは「#マーケター」なんです。なのでこれかも、「#マーケター」と自分自身に恥じないように生きなきゃいけないですし、その上でマーケターとしてさらに色々なものを得ながら日々精進していきたいと思っています。

ファンク廣田代表がマーケターを志した理由

今回はファンク廣田代表が、どういった経緯でマーケターを志し、現在マーケティングという仕事に対してどんな想い・考えを持っているのかについてたっぷりお話を伺ってきましたが、いかがでしたでしょうか?

本記事を通して、マーケティングやマーケターについて、少しでも理解や認識を広げることができていればと思います。また、冒頭でもお伝えしましたが、これから目指す道がまだ決まっていない人たちが、志す道を決める何かのきっかけになれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
 次回のファンク記事もお楽しみに…!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?