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絵を奏でる、画で語る。

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人類が絵を描くようになってから約2万年、絵画美術の手法や技術はさまざまな進化と洗練を遂げ、数多の画家たちが多様にして無限のテーマやモチーフを素地の上に閉じ込めてきた。 時は流れて…
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2022年5月の記事一覧

北斎は「画狂老人卍」というやんちゃな画号をどのようにして思い付いたのかという話

北斎は「画狂老人卍」というやんちゃな画号をどのようにして思い付いたのかという話

葛飾北斎が生涯に何度も画号を変えたという話は有名ですが、たくさんある画号の中でも、特に異彩を放っているのが「画狂老人卍」ではないでしょうか。しかもこの画号、北斎が70代半ばというかなりの高齢になってから使い始めたものです。ちょっと中二病を思わせるようなやんちゃな画号。北斎はなぜこのような画号を用いるようになったのか、その経緯をご紹介しましょう。

北斎は、享和元年(1801)、数え42歳の頃から「

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葛飾北斎のご先祖様ってどんな人?

葛飾北斎のご先祖様ってどんな人?

葛飾北斎を生んだ両親は、どのような人物だったのでしょうか?

父親については、川村氏、あるいは、幕府御用達の御鏡師(鏡職人)である二代中嶋伊勢の長男であったという説(註1)があり、断定には至っておりません。(後日、別記事にて紹介予定)

一方、母親については、小林平八郎の孫であったことが伝わっています(註2)。

小林平八郎とは、忠臣蔵で知られる吉良上野介に仕えた武士。元禄14年(1701)、大石

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涅槃図をめぐる休日。

涅槃図をめぐる休日。

探し物をしていて、肝心のものが出て来ない代わりに別のものが出てくることは多い。今回、同じような経緯でたまたま掘り起こした紙の束(コピーやメモ書きの類)を使って、自由研究的なものをここでしてみようと思う。

ちなみに、出てきたものは涅槃図に関する覚え書きです。

・涅槃図とは仏涅槃図はお釈迦様の入滅を描いたもので、仏画の中で最も有名な題材の一つだろう。日本では平安後期から制作され、時代ごとに描かれる

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