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パリで切符詐欺に遭いそうになったはなし

今年の3月、無事大学を卒業しました。
卒業式前の3月、仲のいい友達3人と卒業旅行で憧れのパリへ!

エッフェル塔に凱旋門、ルーブル美術館やオルセー美術館…旅行雑誌に乗っているような「王道」ルートをめぐり、旅行は早くも5日目に突入。

5日目に予定していたのは、ディズニーランド・リゾート・パリ!
友達のうち1人がディズニーの大ファンで、是非行ってみたい!とのことだったので旅程に組み込み。
耳買おうよ〜、あのアトラクションは絶対乗りたいよね〜、など行く前から盛り上がり、普段はテーマパークにほとんど行かない私もワクワクで出掛けました。

オペラ地区のホテルから地下鉄に乗り、途中RERと呼ばれる特急電車に乗り換え。
地下鉄の回数券を買っていたので、RERの切符は乗換駅で買えばいいか!というお気楽モード。
このテキトー具合が後に大変なことに繋がるとは、この時は思いもしませんでした。

乗換駅に到着し、券売機の前で私たちは立ち尽くしました。

「…切符の買い方が分からん!」

アホだと思ったでしょう?ホントに分からなかったんです。

まず現金を入れる場所がない。日本でいうICOCAやSuicaのようなカードでしか購入できないタイプでした。

それにパリの切符はZONEごとに値段が違い、私たちはディズニーランドがどのZONEなのかも分からなかったのです。(アホ)

周りには駅員らしき人もいないし、どうしよう…と券売機前で困り果てる日本人3人組。

「May I help you?」

そこに小綺麗な格好をしたお兄さんが現れました。

ーーどこに行きたいの?ディズニーランド?わかった。3人分ね?と流れるように、あれよあれよと言う間に、とってもスマートに、お兄さんはカードで切符を買ってくれました。

「はい、1人50ユーロね。」

…あれ?
めっちゃ高くね?
50ユーロは日本円で6200円ほど。
パリはクレジットカード社会だし、スリも怖かったので、私たちは現金50ユーロなんて持っていませんでした。
それに、切符代は片道10ユーロもしないくらいだったような……

「これ…騙されたんじゃない…?」

友達の1人が呟きました。

私はまだお兄さんが詐欺師だと完全に信じられませんでした。
お兄さんはカードで払ってくれたけど、私たちは現金を持っていないから、払い戻し手続きをしてもらわなきゃ。
拙い英語で説明を試みる私たち。

「すみません。50ユーロも持ってないです」
「じゃあ、持ってる分のお金だけでいいから全部出して」
「今、クレジットカードしか持ってないから払えないんです。払い戻ししたいので駅員さんを呼んでください」
「僕、駅のスタッフだよ。駅のオフィスで話そう」

あれ、駅員さんだったんだ。じゃあ事務所で払い戻しの手続きができるかも…?とにかくお兄さんに着いていくことに。

しかし、お兄さんが足を止めたのは、人通りがほとんどないスペース。

「切符代払って」

ヤンキー漫画のカツアゲみたいな状況でした。

あー、これは確実に詐欺だ。おわた。
泣きそうになりながら頭をフル回転させ、拙い英語でお兄さん改め詐欺師と会話しました。

「ごめんなさい。現金を持ってないんです。払い戻しさせてください」
「僕がカードで買ってあげたでしょう?切符代払ってくれないと困るんだよね」

彼もだんだんイライラしてきたのか、表情が険しくなってきました。
人通りの少ない場所だったので、暴力を振るわれるかもしれない。
そもそもお前絶対駅員じゃないだろ。
ホンモノの駅員に助けを求めなければ。

「ここは駅の事務室じゃないですよね?事務室に行きましょう?」

と彼を無理矢理説得させ、移動しました。

しかし詐欺師はエスカレーターの近くで立ち止まり、再び「切符代を払え」の一点張り…

しかも、彼はエスカレーターから降りてきた男の人(多分グル)に事情を説明し、彼も「それは払わないといけないね」と言い出す始末。

これはもう有り金全部渡さないと生きて帰れないのかもしれない。
絶望感でいっぱいなその時でした。

「どうしたの?」

通りがかりの黒人のお姉さんが話しかけてきました。

詐欺師2人と黒人のお姉さんがフランス語で何やら会話しています。
お姉さんは強い口調でお兄さん達を責めているようでした。

「あなたたちはどこに行きたいの?」
「ディズニーランドです。彼がカードで切符を買ってくれたんですが、私たちは現金を持っていません」

お姉さんと私たちが会話していると、詐欺師2人はどこかへ行ってしまいました。

「その切符はニセモノよ。お金は取られてない?」

と私たちを心配してくれた後、有人の切符売り場に案内してくれました。
実際の値段は詐欺師が提示した1/5以下。
払わなくてよかった、ほんとに。

途中、駅構内を巡回している警察官に通報もしてくれました。優しすぎます。

お姉さん曰く、こういう切符詐欺は観光客を狙ってよく行われるらしいです。
スリやタクシーのぼったくりは多いって聞いてたけど、こんな詐欺もあるなんて。

「パリはクレイジーなやつがいっぱいいるのよ!」

お姉さんが笑いながら言い放ったこの言葉が忘れられません。

お姉さんのおかげで正しい切符を買え、無事ディズニーランド行きのRERに乗ることができました。

あの親切な黒人のお姉さんのことは一生忘れないでしょう。私もあんな強い女になりたい。

電車に乗ったあとも暫く手が震えてました。本当に怖かった……

しかし、パリディズニーの最恐アトラクション・エアロスミスで再び手が震えることになるのはまた別のお話。

(要望があれば書くかも)

パリは本当に素敵な街ですし、親切な人もいっぱいいます。
しかし親切な人と同じくらい、スリや詐欺をしてくる輩もいるんです。
十分注意して、楽しい思い出を作ってくださいね🌸

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