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初心者のためのカリグラフィーの始め方

カリグラフィー calligraphy ってご存知でしょうか? というか、この記事をご覧になっている人は多少興味があって調べた結果ここにたどり着いていると思いますので愚問でしょうが(笑)、簡単に言うとアルファベット(ラテン文字)の書道です。かのスティーブ・ジョブズも大学で学んで書体に対して目が肥えたため、 質のいいフォントが Mac に搭載されることになったとか。

あちこちで見かける流麗なアルファベットを見て、「どうやって書いてるの?」「どこで学べるの?」と思っている方々に向けて、ちょっと説明させていただきます。

※最近流行のモダンスクリプト(モダンカリグラフィー)については以下の note を参照してください ▼


教室に通う

王道です。都内ならいくらでも教室があるので、そちらに通いましょう。以下にめぼしいところをピックアップしておきます。他府県にもあると思いますので、「地域名+カリグラフィー教室」で検索してみてください。

通信講座・独学

近くに教室がないという人は、通信講座(オンラインコース)か独学を選ぶことになります。どちらがいいかというと、個人的な感想にはなりますが、初心者にとっては通信講座は独学と大差ありません。テキストや動画から講師の意図を汲み取るには、受講者にある程度の技量が必要で、初心者には難しすぎると思います。

ちなみに、昨今の世界事情でワークショップを行えなくなった世界中の名だたるカリグラファーが、オンラインコースを次々開講しています。英語と、リアルタイムの場合時差が問題になりますが、またとないチャンスなので、中級者以上はぜひトライしてみてください。

参考文献

当然ながら洋書はたくさんありますが、和書は思ったよりも少ないです。いずれかを入手し、自分でやれるかどうか確認してみてください。用具も紹介されています。

※洋書については以下の note をご覧ください。なるべく本場の作品を多く目にしてもらいたいと思います ▼

用具

★【お薦め】スターターキット

米 Speedball 社製の必要な道具が揃った便利なキットです。テキスト、練習用紙、ペン先(ブロード、ポインテッド)、ペンホルダー(ストレート、オブリーク)、インクと、傾斜台以外の道具が全部揃っていて、これを買うだけですぐに始めらるので、お手軽でオススメです。

もちろんバラバラに購入してもいいです。そういう場合は以下を参照。

ペン

カリグラフィーを書くには特殊なペンが必要ですが、そのペン先(ニブ nib)とペン軸(ホルダー holder)のセットです。色々ありますが、これが入手しやすいです。画材屋さんにも置いてることが多いです。

その他のニブはこちら▼で紹介しています。

ペンにインクを付けて書くのがめんどくさい人向け(笑)。ボールペンや万年筆のように、軸にインクカートリッジが入っていて、キャップを開けるだけで書けるようになっています。コンバーターも使用可能(パイロット製をご利用ください)。キャップの色はインクの色ではなく、ペン先のサイズの違いを表しています。リンク先はセットですが、元々はバラ売りされています。ハンズなどの大型の文具取扱店などで入手できます。

▲最近リニューアルしました

ちなみにこのパラレルペンはトップクラスで書きやすいです。すべてのペンがこの書き味になればいいのにと思うぐらいです。

こちらはセーラーの万年筆用のカートリッジとコンバーターが使用できるタイプです。ただしペンのサイズが最大でも2mmしかないので、あまり大きな字は書けません。こちらも元はバラ売りで、やはり大型文具店などで入手可能です。

こちらもセーラーですが、これはつけペン。昨今のインクブームに乗っかって開発されたようです(笑)。ペン先に普通の万年筆タイプと、幅広のカリグラフィータイプがセットになっています。こちらは1.0mm幅ですが、2.0mm幅のペン先も別売りされています。

こちらはマーカータイプ。お手軽ではありますが、ちょっとペンが走りやすいのでコントロールしづらく、あまり初心者にはお勧めしません。

インク

水性で耐水性のないものが適しています。墨汁やガッシュ(不透明水彩絵の具)なども使用可能。速乾性や耐水性のあるものは、書いてる途中でペン先が乾いたり、こびりついて落ちなかったりして向いてません。

定番のアメリカ製カラーインク。ビビッドで鮮やかです。バラ売りされていますが、このようにセット売りもあります。色数がかなりありますので、別の色のセットもあります。

こちらはオランダ製。ドクターマーチンに比べ色味がシックです。全60色。これはその内の5色セットです。

こちらは英国製。全18色ある内の6色のセットです。このメーカーはドローイングインクが有名ですが、カリグラフィー専用のこちらを利用する方がいいでしょう。

日本製の万年筆用インクですが、つけペン用としても使用可能です。現在日本は空前の万年筆インクブームで、大手のメーカーはもちろん、老舗の文具店までもが独自のインクを開発しており、ものすごい数が発売されています。とても紹介しきれないので、興味のある方は書籍やムック等をあたってください。

ただ万年筆インクには「耐光性が弱い」という欠点があります。元々手帳や手紙などで使う、光が当たらない事が前提のインクなので、長時間光を当てると色褪せが激しいです。作品に使うには注意が必要です。

傾斜台

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なくても書けますが、あるのとないのとでは雲泥の差で、ほぼ必須の用具です。ただ専門店でしか取り扱っていませんので、以下の専門店のリンクより購入してください。DIY で自作してもいいでしょう。以下に私が自作した際の作成方法を紹介しておきます。

カリグラフィー向きの用紙

普通のコピー用紙が使えればいいんですが、まずダメです。薄すぎるし滲みます。細目か中目の水彩用紙がいいでしょう。荒目だと凸凹しすぎてまず書けません。私がよく使っているのはマルマンのヴィフアール vif Art という紙です。安くてオススメ(水彩用紙は案外高いです)。リング綴じタイプと切り離せるパッドタイプがありますが、パッドタイプが便利でしょう。

あとマーメイド。MGスクールのゴシックの教材には、練習用紙にマーメイド紙が採用されています。

サイズはA4では少々手狭で、B4以上あった方がいいとは思いますが、これも机や傾斜台にもよります。

用具の通信販売

日本国内

以下の専門店が用具を取り揃えております。

John Neal Bookseller

アメリカにあるカリグラフィーと製本に関する書籍と用具の専門店です。私の知る限り、おそらくは世界で最も多種を取り扱っています。普通のオンラインショップですが、日本への送料は自動計算されず、注文後にショップとやり取りする必要があります。英語でのやり取りはハードルが高いと思いますが、ここでしか入手できないものもありますので、ぜひトライを。

世界中のオンラインコースを紹介したリストも掲載されています。サイトのメニューの「Class Listings & Event Info」から「Online Courses」をご覧ください。

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