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フミサンのこと

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フミサンは私のおばあちゃん。そして、きっとみんなのおばあちゃん。好奇心旺盛で働き者、明治生まれで着物をざっくりと来た痩せて小さなそのシルエットは今になっても消えるどころか、ますま… もっと読む
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記事一覧

フミサン:スーパーミラクル健康ドリンク

ヤクルト1000というのが大流行だという。という話を聞いて、そういえばうちも昔ヤクルトを取っ…

フミサン: 電気屋さんのこと

「家電量販店」という言葉を聞くたび、おいしいチャーハンのある中華料理店を一瞬想像する。そ…

フミサン: 異界への入り口② お狐さまのこと

宗旨も宗派もあまり関係なくて、お社があると参拝したくなります、というのは概ね本当だけれど…

フミサン:異界への入り口①

友人数人で京都の神社を参拝したことがある。いつまでも神前で長々とお祈りしている私は「どん…

フミサン:匂いと光のマップ

玄関を入ると、正面に洋間があり、玄関の上りがまちのすぐ右手に汲み取り式のお便所がある。そ…

フミサン:雪上のシルエット

雪は白い。本当にそうかな。私の記憶の中の雪は、青い。一晩でいっぱい降った翌朝の雪は灰色を…

フミサン:履物のこと

二週間前に設定したパスワードが思い出せないのだから、記憶力に自信があるなんて到底言えない。それでも、生まれてすぐから高校生までを過ごした家での出来事は、部分的に、でもある部分はとても色濃く覚えているようだ。パズルのピースはところどころかなり消失してしまっていて、全体像を復元することは永遠にできそうもないけれど、残っているピースには色や形といった目が覚えているものの他に、匂いや手触り、更には感情の結晶が詰まっていて、それを心の中のポケットに入れてときどき撫で回していると、あの時