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舞台監督の処世術3

舞台監督は、公演業務に携わる中で、いろんな問題に直面します。
自分が問題の原因の時もあり、自分の知らないところで問題が勃発し、「舞台監督さん、どうにかしてよ」と責任が被さってくることも日常茶飯事の如くございます。
そんな、気苦労多き舞台監督が、世間のしがらみを潜り抜けるために編み出された秘技をお伝えします。

まず、問題が起こった時の思考手順として、心がけている順序です。
①問題について状況を正確に把握
②把握した状況を整理、解決すべき障害を列挙
③解決策、アイデアを、幅広く出す
④行う解決策を決定し、具体的な行動を考える

③で多くの選択肢を出す際に、決して可能性を狭めてはなりません。
アイデアをブレインストーミングするイメージで
この時点では、否定、批判的な思考は一旦はずします。

同時に柔軟な発想を持つため、
「相手の要望を行うための方法を見つける」という固定された発想からも一旦離れます。
それと、
「この部分は自分の範疇じゃなく、相手の範疇のことだから、そっちで解決してよ」と、仕分けてしまうことも、発想を狭める要因になります。

なぜ、柔軟な発想でたくさんのアイデアを出す必要があるかといいますと、
例えば、
★一部分は要望が可能、他の部分は要検討
★一時的には、要望を受け入れられるけど、ずっとは難しい
など、
合意するための選択肢が幅広く見つかるからです。

多くの解決方法の可能性を考ることで、当事者に問題点や相手の立場ついて深く認識してもらえ、皆が全体の合意を探し求めるようになってゆくことを目指すのです。

【選択肢を出すコツ】
当事者は、立場も違えば、価値観、関心事も違い、求める利益も違います。
逆を言えば、その「違い」が解決の鍵であり、
違いをどう扱えば、全体の合意へと至る事ができるのか?
と考えることが解決への近道かと思うのです。
違いを通じた全体の合意という考え方です。
(ある問題が起こった時、別の問題と抱き合わせて、お互いのメリット、デメリットの割合を公平にして、合意してもらうということだってあり得ます)

【人が合意しやすい状況を演出する】
当事者の要望が100%通せるなら問題ありませんが、そうはいかないから、問題となるわけであって、時には、Aさんの要望は85%通り、Bさんの要望は50%通るとか、さまざまな状況があります。
そういうときでも、全体にわだかまりなく、合意のもとに先に進むために、当事者にこの選択肢を選ぶ根拠が持てると、みなさん納得して受け入れてくれます。(もちろん青空のように清々しい心持ちになってくれないこともあります)

選択肢を選ぶ根拠として、
正当性があったり、
公平、公正であったり、
客観的な基準に基づいていたり、
先例があったり、
合意すればポジティブな方向に向かうことを分かってもらったり、

要は、
当事者たちがその案を選択する精神的負担をできる限り減らすことで、
皆が動きやすいようにしてあげることです。

舞台監督さんって公演メンバー内での潤滑油のような存在なんです。

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