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超絶技巧

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驚異の超絶技巧!―明治工芸から現代アートへ―

驚異の超絶技巧!―明治工芸から現代アートへ―

美術史家の山下裕二の監修による超絶技巧の企画展。明治工芸から現代アートまで、約130点の作品を一挙に展示した。同館をはじめ全国の美術館を巡回した「超絶技巧! 明治工芸の粋」(2014-15)の続編だが、「超絶技巧」というキャッチフレーズによって明治工芸を再評価する気運は、本展によってひとつの頂点に達したように思う。質のうえでも量のうえでも、本展は決定的な展観といえるからだ。

むろん、ないものね

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驚きの明治工藝

驚きの明治工藝

台湾人コレクター、宋培安による明治工芸のコレクションを見せた展覧会。いわゆる超絶技巧を凝らしたそのコレクションの総数は、金工や牙彫から、漆工、陶磁、七宝、染織まで、じつに3,000点あまり。本展はそのなかから厳選した約130点を展示したもの。なかでも見どころは、全長3メートルを超える世界最大の龍の自在置物で、それを空中にぶら下げて展示することで、その迫力を倍増させて見せていた。

ただ、昨今の明

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前原冬樹展「一刻」

前原冬樹展「一刻」

三井記念美術館で7月13日まで開催中の「超絶技巧! 明治工芸の粋」展は、安藤緑山をはじめ並河靖之や濤川惣助、正阿弥勝義、柴田是真など、文字どおり金銀珠玉を集めた展覧会。現在ではほぼ再現不可能と言われる超絶技巧の粋を間近で堪能できる貴重な機会だ。

興味深いのは、そうした数々の逸品が、多くの場合、無名の職人たちによって制作されたという事実である。正体が謎に包まれている安藤緑山は別として、並河靖之は

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細密工芸の華 根付と提げ物

細密工芸の華 根付と提げ物

根付とは、印籠や煙草入れ、巾着を帯から提げるための留め具。おもに木や象牙を材料にしながら動物や神獣、霊獣、植物、妖怪などを主題に造形された。提げ物の先端に取りつけるため、大きすぎず小さすぎず、手のひらに収まるサイズのものが多い。とりわけ江戸時代の文化文政(1804-1830)の頃に全盛を迎えたが、その後は和装や提げ物の衰退に伴い徐々に庶民の日常生活から姿を消していった。

本展は、約370点の根

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