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芸術祭/国際展

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#国際展

国際展に新風を吹き込む匿名の動画という挑発

国際展に新風を吹き込む匿名の動画という挑発

京都で国際展がはじまった。ウィリアム・ケントリッジや蔡國強、ピピロッティ・リストら、参加アーティストの名前は華々しい。美術館やアートセンターのほか、庶民的な団地も展示会場としているため、従来の古都とは異なる京都を堪能することもできる。

とはいえ国際展としては、とくに目新しい特徴がなかったことは否定できない。事実、横浜や愛知、札幌など都市型の国際展はすでに飽和状態にあり、欧米のアートをパッケージ化

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ユートピア・ヘテロトピア 烏鎮国際現代美術展

ユートピア・ヘテロトピア 烏鎮国際現代美術展

中国・浙江省の観光都市、烏鎮で催された国際展。烏鎮は「東洋のヴェニス」とも言われる水都で、地政学的には上海と杭州のあいだに位置する。古い街並みを人工的に保存した街は、中国人観光客の人気が高い。訪ねた初日は平日だったにもかかわらず、じつに多くの観光客で賑わっていた。

会場のひとつである西柵観光地は、ある種のテーマパークである。ビジターセンターで入場料を支払うと、巨大な湖を中心に形成された街に立

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PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015

PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015

京都で催された国際展。国内外から招聘された約40組のアーティストが参加した。見どころはウィリアム・ケントリッジをはじめ蔡國強、ピピロッティ・リストら、欧米圏で活動する著名なアーティストが数多く参加している点で、それらの作品が京都市美術館を中心に、鴨川の河畔、庶民的な団地の一室、書店などにそれぞれ展示され、美術館から街への導線を強く意識した構成となっている点も大きい。

しかし、全体的な印象は中

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ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」

ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」

昨今の地域型国際展や芸術祭に出品される作品の多くが、その土地の「記憶」を主題としがちなのに対し、本展のアーティスティック・デイレクターである森村泰昌は「忘却」をテーマとして掲げた。その超然とした態度には、そうした国際展や芸術祭がアートツーリズムに全面的に依拠していることへの批評性も、おそらく多分に含まれているのだろう。会場に漂っている静謐な雰囲気は、賑やかしを演出するアートを断固として拒否する明快

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混浴温泉世界2012

混浴温泉世界2012

大分県別府市で催されている国際展の2回目。「混浴」というフレーズに示されているように、現代アートをはじめ、ダンス、音楽、パフォーマンスなど、さまざまなジャンルをミックスした国際展で、温泉街や商店街、空き店舗、海岸の埠頭などに作品が展示された。

小沢剛が作品を展示したのは、別府のランドマークである「別府タワー」。もともと常設されている「アサヒビール」という電光掲示板の文字を任意に明滅させること

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