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茶カテキンの認知機能低下抑制作用

「老いる」ことを、前向きに捉えるのは難しいことです。

その原因の一つは、年を重ねるにつれて
認知症を発症する可能性が
高まることにあるのではないでしょうか。

時を経るにつれ、
覚えられないことや、できないことが増えていくのではないか。
老後を考えると、そうした不安が脳裏をよぎります。

平均寿命が延びて、長生きに伴うリスクが注目されるなか、
認知症に向けた取組が重要視されています。

緑茶は、認知症や軽度認知障害の予防に
有効である可能性が
明らかになってきています。

認知症とは、脳の神経細胞の働きが低下することで認知機能が低下し、
日常生活・社会生活に支障をきたす状態をいいます。

認知症の原因として最も多いのが
アルツハイマー型認知症です。
発症メカニズムの一つとして、
アミロイドβと呼ばれるタンパク質が
脳に蓄積され、脳細胞の機能が低下することが明らかになっています。

国立長寿医療研究センターの報告(※)によると、
60歳以上の、1305名を対象に
12年間の調査を行ったところ、
緑茶の摂取量が1日1杯未満のグループと比べ、
1日2杯以上のグループは
認知機能低下のリスクが約30%も低くなりました。

緑茶に含まれる茶カテキンは、
アミロイドβの産生、蓄積を抑えることで、
アルツハイマー型認知症の進行を抑制することが明らかになっています。

家族のだんらん、友人とのお茶会――
多くの社交の場で、
お茶は大事な役割を果たしてきました。

食事や人との交友を通じて、
習慣的に緑茶を飲むことが、
認知機能低下の抑制につながる可能性があります。

お茶を楽しむひとときが、高齢期においても
いきいきと、希望をもって明日を迎えられる
暮らしにつながることが期待されます。

9月18日(月)は敬老の日。
日頃の感謝と、これからも元気に幸せな日々を過ごせるよう願いを込めて、
お茶を贈るのはいかがでしょうか。

※出典
Shirai, Y., Kuriki, K., Otsuka, R., Kato, Y., Nishita, Y., Tange, C., Tomida, M., Imai, T., Ando, F., Shimokata, H. Green tea and coffee intake and risk of cognitive decline in older adults: the National Institute for Longevity Sciences, Longitudinal Study of Aging. Public Health Nutr. 2020;23(6):1049-1057. doi: 10.1017/S1368980019002659. PMID: 31544736.