自身の次のキャリアを見つめる女性たち 映画『小説家の映画』〜映画感想文〜
『小説家の映画』四コマ映画
ベルリン国際映画祭 2022年72回 銀熊賞 審査員グランプリ(審査員特別賞)
嘘や気遣いを含んだ会話が積み重なって、
しかも相手が変わってって
人数も変わってって。
音声言語ではない手話までもが登場して、
その都度主人公の小説家の人物像がくっきりと見えてくる。
スランプに陥って執筆から離れていた小説家が
「あ、この人だ」「あ、これだ」「今だ」と気づいた瞬間が愛おしい。
それまで小説家として触覚ビンビンで生きてきたはずだし
スランプだからって何もしていなかったわけではなく、
一応網は張っていたはずだけど
「何も来ない」「何も引っかからない」「何も起きない」とに感じる日々だったかもしれない。
そこにキム・ミニが現れて
「これを掴まなきゃ、私」「私にもまだ掴みたいものがあったんだ」と再確認できた喜びもあったでしょう。
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キム・ミニ演じるギルスも人気だったけど今は出演作が途絶えている女優。
小説家も女優もどちらもちょっとした踊り場にいる状態で出会っている。
休んでいるのもいいし、次に何かするのでもいい、華々しいかどうかなんてどうでもいい。
妙齢に差し掛かった女性同士が
「この人とだったらもう一回私楽しいかも」と思って繋がれるのがとてもうらやましい。
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これのおじさんver.も観てみたい。
金とか趣味とか
むしろ友情とかでもない連帯。
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もうホン・サンス映画はお手上げ。
なんでこんなに良いのかわかんない。
なんでサッとこんな良い映画作れるのかわかんない。
「実はサッとじゃなくて十分な準備と話し合いと十分な期間で撮ってます」とかじゃなくて、本当にサッとだからね。。
そんでベルリンだカンヌだで映画賞獲っちゃうんでしょ。。
もう異次元映画なんよね。。