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これまで腸に関することは何回か書いていますし、通院されている患者さんにも腸の重要性についてはよくお話をさせていただいています。
腸と病気の関係は自身の体でも感じていますし、実践されている方の中でも効果を実感している方はおられると思います。

そして腸の働きや特徴を知れば知るほど、その対策がとても重要であることを感じますし、病気の発症だけでなく、日々の生活の質をよくするためにも必要なことであると思います。

内容が重なる部分があると思いますが、今一度整理して勉強していきたいと思います。

まず腸がなぜ重要なのかという点です。
これは腸の役割を知ることで理解できると思います。

一番大きな腸の役割は消化・吸収です。
腸を大きく分けると小腸と大腸に分けられます。
小腸は十二指腸、空腸、回腸に分けられ、胃から送られてきた食べ物を消化、吸収します。

大腸は盲腸、上行、横行、下行、s状結腸、直腸にわけられます。大腸も食べ物を消化吸収しますが、腸内細菌の働きによって消化物を発酵させ、吸収できる栄養素に分解し、水分の吸収も行います。不要なものは便として肛門に送ります。

そして、もう一つの役割が免疫機能です。
腸内には多くの免疫細胞が存在し、外的から体を守っています。
腸には外敵から身を守るためのネットワークがあり、様々な臓器と繋がっています。

このネットワークが非常に重要であり、腸周辺の臓器の働きと合わせてみていきましょう。

まず腸の前にある胃です。
胃は強い酸性の胃液によって、食物を溶かします。
その後十二指腸へ送られて、胆のうから胆汁すい臓からすい液が流れ込み、食べ物と混ざり合います。

胆汁は強い酸性である胃酸を中和して、脂肪の分解を促します。腸管を通る際の潤滑油のような役割もあるため、この胆汁が少なくなると便秘になることがあります。

すい液は消化酵素といって、栄養素を分解する役割があり、三大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂質を分解してくれます。

このように消化酵素などによって分解され吸収しやすくなった状態で小腸に入ることで、適切に栄養素を吸収することができます。

胆汁やすい液は胆のう、すい臓の働きに関係します。胆のうやすい臓といったあまりなじみのない臓器ですが、実は毎日せっせと働いてくれているありがたい臓器です。これらの臓器が疲労しないようにすることも腸の働きを高めるためには重要です。

小腸で分解、吸収した栄養素は肝臓に運ばれ、体内で利用できる形にします。せっかく吸収したも体で使えなかったら意味がありません。
肝臓は有害な物質を解毒するだけでなく、体内のエネルギーを配分している司令塔でもあります。
アルコールを解毒するだけではないということですね。

このような各臓器の働きですが、すい臓や胆汁などを分泌させているのが腸であると言われています。
つまり腸が起点となって、消化、吸収の機能が成り立っているということです。

また上では書きませんでしたが、心臓や肺、脳といった他の臓器も腸の影響を大きく受けています。
腸の状況にあわせて、自律神経を介して、心臓や肺の動きをコントロールしているそうです。
そのため腸にトラブルがあると全身に影響が出てしまいます。

免疫系にも関与していると上で書きましたが、花粉症などのアレルギー疾患も腸の働きが関係していると言われています。

すべてを書いている訳ではありませんが、これだけでも大変重要な働きをしていることがよくわかりますし、腸を整えることの重要性が分かっていただけたかと思います。

次回は腸が発する不調のシグナルについて解説します。


参考書籍:図解 腸の話 江田証 著