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#71 大学の先生って何しているの?

大学の進学率は5割を超えており、半数以上の人が大学生活を送ってきているはずです。そういった中で大学の先生が何をしているのかって、実はよく理解されていません。

コロナ禍で大変な部分はありますが、それを除いても一般的にはブラック企業です。月の残業時間が200時間以上なんて当たり前で、真夜中の3時とか4時にメールを送ってい来る人も多いです。

それでも、教育や研究の好きな人たちのボランティア精神でなりたっているのです。色々な仕事の内容をまとめてみます。いつか大学の先生になりたいという若い人の参考になればと幸いです

講義

国立か私立で大分違いますが、一般的に大学の先生が受け持っている講義は多くありません。せいぜい、一週間に一桁です。小学校や中学校の先生のように朝から夕方までずっと講義ということではありません。

また、実験や演習などは大学院生をTAにつけることも多いので、色々とお手伝いしてもらえます。演習や実験などは直接学生を触れ合う機会が多いので、教育が好きな人には面白い環境です。

一番印象に残っているのは

ハサミってほとんど使ったことないので、紙をまっすぐ切れません

って大学生に言われたことでした。完全に想定外の質問で、どうやって回答してよいかに困りました。実際に紙を切ってもらったら、本当にまっすぐに切れないんですよね・・・

また、最近は学生を勉強させるために、小テストを多くやったり、色々な工夫をしているのは否定できません。単純な講義負担という意味では小学校や中学校よりは少ないですが、下記のような他の業務が多いのです。

あと、単位が取れなそうで、直談判に来る人、泣き出す人など色々いました。まあ、何を言われても成績を変えることはしなかったです。

研究室での学生指導

文系は分かりませんが、理系では4年生になることに数人程度ずつ研究室に配属されます。そこで、基本的には朝から晩まで研究生活を送ります。先生の立場では、研究室での学生指導の時間はそれなりに時間がかかります。

研究室に配属されたといっても、最初から実験計画を立てて、自分一人で実験できる訳ではありません。先輩たちと一緒にやってもらったり、自ら指導することになります。また、毎年学生が入れ替わるので同じことの繰り返しです。

また、論文や参考書を読んで内容を発表してもらったり、研究の進捗を報告するなどをやってもらうので、適宜アドバイスしていきます。

基本的には学生主導で研究を進めていましたが、私の場合は空いている時間はほとんど研究室の学生指導に使っていました。研究成果をまとめて論文などに投稿しないといけないので、こういった部分で手を抜くと自分の成果に跳ね返ってきます。後は単純に学生と一緒に研究をするのが好きなんですけどね。

また、年度末には毎年恒例の、「卒業論文」、「修士論文」の発表会があります。これの準備になると、ほぼ一日中つきっきりです。追加データの指示、発表のパワポの準備、論文などハイペースで全員分を面倒を見ます。

ちょうど講義が終わっているタイミングなので、それこそ早朝から深夜まで一緒に頑張ります。まあ、学生たちの成長をまじかで感じられるので、ずっと付き添って指導するスタイルは嫌いではありません。

学内業務

あまり一般に知られていませんが、学内業務もそれなりに多いです。学部長や学長補佐となると会議だらけですが、一般教員にも多くの業務があります。

例えば、「大学のオープンキャンパス」、「高校への模擬講義」、「安全対策」、「入試対応」など、色々とあります。特に入試対応はミスが許されないので、神経を使います。

問題作成や準備、採点、合否判断まで色々な会議があります。また、センター試験も含めて当日の試験官対応など、秘密裏に進めるのでやってみた人しか分からない苦労があります。

学会活動

個人差が大きいですが、学会活動も結構やっています。また、どこでも一緒ですが、出来る人に仕事が集中します。学会活動は特にボランティア的にやることが多いので、自発的に対応する人に業務が集中します。もちろん、報酬をもらえることは数少ないです。

学会活動では、国際会議、大規模な全国大会や研究会などの企画、運営などを分担してやります。そして、それらが同時並行に進んでいくのと、同じようなメンバーが対応するので、頭の中が混乱することもしばしばです。

例えば、最初に学会会場や日時、招待講演者などを決めます。その後、予稿集を集めて冊子化・印刷して当日に配布できるように準備します。当日は、会場の運営に目を光らせて、効率的に運営できるようにしていきます。大分省略して書いていますが、まあ一連の作業を対応することになるので、結構な負担です。

そして最後に終わった後の美酒で仲間同士盛り上がって完了です。

共同研究先対応

大学で研究をしていると、工学部系では特に企業との連携が重要になってきます。単純に研究室の運営費として助かるという点もありますが、実践的な研究を行うことで、学生の教育的な観点も無視できません。

大学のイベントや学会講演、研究室HPなど色々な機会で企業の方と接点を持って、一緒に研究していきましょうという話につなげていきます。こういった能力も人それぞれで、バランス感覚が優れている先生はうまくやりくりできます。

また、世の中で求められる研究を進めていくというセンスも鍛えておかないと、企業から声もかからない状態になってしまいます。純粋な学問を究めることも大事ですが、工学部系では特に企業との連携が重要になってくると私は思っています。

また、企業の人を研究室に派遣してもらって、学生と一緒に研究を進めたりもします。

外部プロジェクト運営

研究を大きく発展させようとするなら、外部プロジェクトを活用する必要があります。研究室の予算はケースバイケースですが、私の場合は多くて30万円くらいでした。これではまあ何もできません。

外部のプロジェクトは、文部科学省や経済産業省、民間企業など色々な予算があります。そういったところに自分の研究計画を提案して、採択してもらえると、数百万円~数千万円の予算がもらえます。単年で億単位の予算がもらえるケースもありますが、私はそういった経験がなく・・・

こういったプロジェクトに申請する場合にも、企業連携で世の中の流れをしっかりを把握できていると強みになります。また、個人名は出せませんが、申請書の書き方が全くできていない人も多いです。

ちゃんと参考資料もあるので、柔軟な姿勢で正しい姿を求めていける人はどんどん新しいプロジェクトがつながっていきます。その繰り返しができる人が優秀な研究者です。もちろん、論文も大事です。

今回は、一部の人にしか理解できないかもしれませんが、あえて大学教員の仕事をまとめてみました。如何でしたでしょうか?


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