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花留多唄

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花言葉の歌留多に寄せたエッセイ。 イラストは无域屋さん。
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花留多唄【わ】ワスレナグサ

花留多唄【わ】ワスレナグサ

 『ワスレナグサ』は少し憂いを帯びた青紫色の可憐な花。ドイツの騎士の悲恋物語が名前や『私を忘れないでください』という花言葉の由来になっているそうです。

 恋人のためにこの花を摘もうとドナウ川の岸を降り、川の流れに飲まれてしまった騎士。彼は最後の力を尽くして花を岸に投げ、「僕を忘れないで」という言葉を残して死んだそうです。

 花言葉には『真実の愛』『誠の愛』『思い出』というものがあり、この伝説を

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花留多唄【ろ】ロウバイ

花留多唄【ろ】ロウバイ

 私が住む地域では1月下旬にあちこちで目にする花です。中国原産で、その名の通り蝋細工のような艶を持つ梅に似た姿。

 初めてこの花を知ったのは群馬県に移住した頃でした。道端の垣根に不思議な艶を持つ黄色い花をみつけ、最初はボケの花かと思ったんです。

「こんな色のボケもあるのかね?」

 そう夫にたずねたところ、「あれはロウバイだよ」と呆れられました。

 なんだか、その花の丸みを帯びた形からでしょ

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花留多唄【れ】レースフラワー

花留多唄【れ】レースフラワー

 『レースフラワー』というと『ホワイトレースフラワー』を指すのが一般的なんだそうです。ドクゼリモドキ(毒芹擬)という別名がありますが、ドクゼリに似ているのは外見だけであり、毒はありません。

 『繊細』『細やかな愛情』という花言葉の通り、細やかな白い花を咲かせます。花嫁衣裳のレースを思わせる美しさですね。まるで夜明けに広がる霞のようでもあり、季節はずれの雪のようでもあり。花言葉『可憐な心』そのもの

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花留多唄【る】ルピナス

花留多唄【る】ルピナス

 『ルピナス』の名前は狼に由来しているそうです。花言葉に『貪欲』『欲深い心』とあるように、吸肥力が非常に強いため狼にたとえられたそうです。

 その結果、『多くの仲間』『制覇』の花言葉そのものを獲得したのでしょうか。北アメリカ西部を中心に、南アメリカ、南アフリカ、地中海沿岸に200種以上が分布しているそうです。

 それにしても逆さまになった藤に見えるんですね。別名を『昇藤(のぼりふじ)』といわれ

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花留多唄【り】りんどう

花留多唄【り】りんどう

 13歳まで山形で育った私ですが、そこでの思い出は実に美化されているんじゃないかと思う今日この頃。記憶が曖昧なので、実際はもっと「こんなものか」ってことでも美しく見えたり、大きく見えたことがたくさんあるような気がします。

 その中の一つが園芸店。
 祖父の家から程近く、バイパス沿いに園芸店がありました。山野草や苗が敷地いっぱいに並べられているのです。

 母は祖父の家に行くたびにそこへ連れて行っ

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花留多唄【ら】ライラック

花留多唄【ら】ライラック

 リラとも呼ばれる『ライラック』はヨーロッパ原産の花です。道産子にとってはすぐに札幌を思い出す花でもあります。
 「ライラックの花が咲き揃う季節に文化の香り高い行事を行う」という文化人の呼びかけにより始まったのが『さっぽろライラックまつり』なんですって。札幌市の木にも制定されています。

 ライラックの花言葉は『思い出』『大切な友達』『誇り』『若い日の思い出』そして『友情』など。私にとって、そのす

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花留多唄【よ】ヨメナ

花留多唄【よ】ヨメナ

 『ヨメナ』というのは本州中部から西の方に分布している花だそうです。それだもの、山形生まれ、北海道育ち、群馬に住む私は見たことがありません。

 若芽を摘んで食べることもできるそうで、素朴な美しさと実用性を兼ねた花ですね。

 名前の由来は諸説あるそうですが、その美しく優しげな見た目から『嫁』の名がついたといわれているそうです。花言葉に『従順』『女性の愛情』とあるのは嫁への理想でしょうか。

 こ

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花留多唄【ゆ】ユキノシタ

花留多唄【ゆ】ユキノシタ

 別名を虎耳草(コジソウ)ともいうユキノシタですが、私は見たことがありません。調べてみたら、北海道には咲かないようです。

 けれど、名前は知っています。何故かというと、安房直子さんの童話に登場するからなんです。『月夜のテーブルかけ』という作品には『ゆきのした』というホテルを経営するタヌキが出てきます。
 幼い頃はユキノシタという花がどんなものか想像するしかなかったのですが、白くて繊細なロマンでし

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花留多唄【や】矢車菊

花留多唄【や】矢車菊

 『ヤグルマギク』は私の大好きな花です。花言葉に『優美』『優雅』とあるように、特に青いものは本当に心を奪う美しい色をしています。

 この花の属名の「Centaurea」は、ギリシャ神話に出てくる半人半馬の怪物ケンタウルスからなんだそうです。ケンタウルスの中の一人、ケイローンは医術の祖とされ、『教育』の花言葉にふさわしい賢人だったそうです。

 他にもツタンカーメンの棺の上にあった花輪の一部がこの

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花留多唄【も】桃

花留多唄【も】桃

 中国原産の桃は昔から邪気を祓い、神仙たちに不思議な力を与える植物として親しまれてきました。
 『天下無敵』『比類なき素質』『長命』といった花言葉は西王母や孫悟空の世界を思わせます。日本でいえば『桃太郎』あたりを彷彿とさせますね。

 桃というのは神秘的な面を持つ一方、なんだか愛らしい形をしていますね。ふんわりと優しい甘い香りもさることながら、丸くふっくらとしたフォルムに心が和みます。『私はあなた

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花留多唄【め】メランポジウム

花留多唄【め】メランポジウム

 『メランポジウム』は別名『ミリオン・ゴールド』と呼ばれます。小ぶりで鮮やかな黄色い花を咲かせる植物です。
 花言葉の『元気』『あなたはかわいい』はその可憐な色からでしょうか。『小さな親切』とあるのは、小ぶりなところかなぁ?

 『ミリオン・ゴールド』という別名ですが、言われてみれば、小ぶりの花がまるでばらまかれた金貨のように見えるから不思議。

 そういえば、神社やお寺など、水のある場所に小銭が

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花留多唄【む】ムギワラギク

花留多唄【む】ムギワラギク

 『ムギワラギク』という名前よりも別名の『帝王貝細工』のほうが馴染み深いかもしれません。

 オーストラリア原産の花で、花に独特の光沢があります。学名の『ヘリクリサム』はラテン語で『太陽の黄金』という意味なのですが、そのメタリックな光沢からだそうです。

 よくドライフラワーにしてあるのを見かけるのですが、それだけに花言葉も『永遠の記憶』『常に記憶したい』『永久に記憶しなさい』『いつも覚えていたい

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花留多唄【み】ミヤコワスレ

花留多唄【み】ミヤコワスレ

 『都忘れ』という名は承久の乱で佐渡へ流された順徳天皇がこの花を見ると都への想いを忘れられそうだと語ったことからだとされています。花言葉の『別れ』『しばしの憩い』とあるのはそのせいでしょうか。

 この花は上品で控えめな紫色をしており、なんとも清楚な姿です。こんな色の着物が似合う女性はしなやかでひっそりとした美しさだろうと思わせます。花言葉のひとつに『穏やかさ』というのがあるんですが、まさにその言

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花留多唄【ま】マーガレット

花留多唄【ま】マーガレット

 私にとって『マーガレット』は気がつけばそこにある花、というイメージがあります。

 道端に咲いていたりして、そんなに珍しいものでもない。けれど目に入ると微笑ましく思う。ただ見蕩れもしないけれど、確かに気持ちを和ませてくれる存在。

 子どもの頃はマーガレットというと花よりも少女マンガの雑誌の方が馴染み深かったですね。『りぼん』よりもちょっとお姉さんな内容で、ページをめくるたびに背伸びした気分でし

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