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花留多唄【わ】ワスレナグサ

 『ワスレナグサ』は少し憂いを帯びた青紫色の可憐な花。ドイツの騎士の悲恋物語が名前や『私を忘れないでください』という花言葉の由来になっているそうです。

 恋人のためにこの花を摘もうとドナウ川の岸を降り、川の流れに飲まれてしまった騎士。彼は最後の力を尽くして花を岸に投げ、「僕を忘れないで」という言葉を残して死んだそうです。

 花言葉には『真実の愛』『誠の愛』『思い出』というものがあり、この伝説を思い起こさせます。

 私は伝説よりも、リヒナーという作曲家による『忘れな草』という曲を思い出しますね。小学生の頃、バイエルを卒業しこの曲を弾いたとき、「やっと少しは曲らしい曲を弾けるようになったのかなぁ」なんて嬉しく思いましたっけ。

 他にも『友情』『真実の友情』というのもあるんですが、愛も友情も別れの後は時が思い出を濾過して美しさの純度を増してくれる気がします。

 さて、このエッセイもこの花で幕を下ろしたいと思います。ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました。

 忘れな草は最後に相応しい花であると思います。花と触れ合う場面にて、添えられた花言葉がその花との思い出を豊かにしてくれますように。

 最後に、毎回素敵な花のイラストを描いてくださったイラストレーターの无域屋(むのくにや)さんに心からお礼申し上げます。

文字札:別れの純度

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