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【ショートショート】サウナの夢

 ナイロンタオルを持って銭湯に行き、身体の隅々まで洗った。
 次にサウナで汗を流した。汗といっしょに身体の中の老廃物も出ていくようだ。冷水に首まで浸かるときゅっと肌が引き締まる。
 身体の内も外もキレイになってアパートに帰り、すぐに薄がけ布団をかぶった。
 夢の中に小人が出てきた。何人もの小人が裸の私を一生懸命小さな布きれで擦っている。なにかを塗りつけ、広げているようだ。乾燥するのを待って、また皮膚という皮膚を何度も擦る。
 目が覚めると、肌がツヤツヤしていた。
 私は会社に向かった。
「あら、ツムラさん、お肌ツルツル」
 とサイトウさんが私の顔を見ていう。
「最近は男性用の化粧品も充実しているのね」
「いえ、すっぴんですけど」
「あら」
「昨日、サウナに入ってきたんですよ」
「へえーっ」
 と女性たちに取り巻かれた。
「手もきれい」
「サウナ、お肌にいいのね」
 夢のことは黙っておいた。部屋に帰って小人を探したが、もちろん見つかるわけはない。
 数日たつと肌はふつうに戻った。
 私はまた銭湯に行った。
 眠るときにミニカーを握りしめた。
 夢のなかでミニカーは堂々たるクルマに変身していた。私めがけて集まってきた小人たちに、
「ワックスをかけるなら、このクルマにしてくれよ」
 とお願いする。
 目が覚めると、朝陽のなかでミニカーがツヤツヤと輝いていた。

(了)

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