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人の死なない話をしようを他人事みたいに読む①
前書き
人の死なない話をしよう(以下のなないと呼ぶ)は、発売から2年半経っているので自分の本にもかかわらずだいぶ存在が遠くなっていたりします。
ところで有名な歌人さんが歌集副読本を出しているのを見て、そういう手もあるのか~と思い、じゃあ他人のフリして自分の短歌を評するのもいいかなという発想で書いてみることにしました。もう詠んだときのことなんて覚えてないですしね。のなない履修済みの方もそうでない方
書評 『人の死なない話をしよう』
本書をインターネットで注文し、届いた品を見たとき、この本は開封することも読むという工程に含まれている本だ、と直感した。
(なのでそれは2か月ものあいだ封を切られないまま紙の山の中で眠り続けることになってしまったのだが。)
本書の著者は笠原楓奏さん。
インターネットで活動する歌人だ。
笠原さんの強みはその発想力といえる。
特にその強みは連作で大いに発揮され、既存の連作観にとらわれずに新しい枠組みを
笠原楓奏『人の死なない話をしよう』のこと。
かつてないほどホスピタリティにあふれた歌集である。一言で『人の死なない話をしよう』を評すれば、それに尽きると思う。そして、ほぼ間違いなく今年のベスト3に入る歌集だろう。では、この歌集のどこがそれほど優れているのか?
そもそも、歌集におけるホスピタリティとはなんだろう。まずひとつは、歌の1首1首の完成度である。ホテルに例えれば、基本的な設備やサービスといったことになるだろう。もうひとつは、その歌集