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1カ月の育休必須化で、男性の価値観の変化を期待する江崎グリコさん

前回の記事では、比較的規模の小さな、キャッチネットワークさんの取り組みに目を向けてみました。

長い歴史と伝統があるからといって、古くからのしきたりを重んじて変化を恐れているわけではありません。
絶え間ない変化の中に、男性育休の広まっていくヒントが隠されているようです。

男性育休の取りやすそうな企業
第5回
江崎グリコ株式会社さんです。

1カ月の育児有給休暇「Co育てMonth」

江崎グリコさんでは、2020年1月から、育児に専念する休暇を1カ月間取得することを必須化した制度をスタートさせました。
2019年4月に5日間の育休を義務化した直後の制度変更でした。
5日間の育休では、意識や行動の変化まで至らない人が多かったとの結果を受け、短期間での変更となりました。
新たな制度では、0カ月から6カ月の子どもを持つ従業員が、1カ月の有給扱いの休暇「Co育てMonth」を必ず取得することになります。

充実した子育てのための有給休暇制度

他にも子育てに関する独自の有給休暇制度があります。
妊娠前に5日間取得できる子育てのための休暇。
妊娠から2歳までの期間に取得できる5日間の休暇。
2歳以降、子や孫の子育てのために取得できる5日間の休暇。

妊娠前の5日間の休暇は、1年で1回取得できるとなっています。
この休暇が妊活にも活用されることを想定しているのでしょう。

子の看護休暇もこれらの休暇とは別に設けられており、子ども1人当たり5日間、2人以上の場合には10日間取得できる制度があります。

これらの制度はすべて有給休暇です。
何と先進的な取り組みでしょう。

有給休暇だけではない多様な働き方を認める制度

江崎グリコさんに見られる特徴は、有給休暇の制度だけを充実させているわけではないという点です。
育児だけでなく多様な働き方を認める制度が整っているのです。

その例として、一度退職してから再び正社員として雇用されるカムバック制度、介護休暇、テレワーク制度、フレックスタイム制度、時間単位年休制度、ボランティア休暇、リフレッシュ休暇、自己啓発のための資金援助制度などがあります。

経営者の立場からすれば、従業員を休まさずにたくさん働かせ、多くの時間をかけることで、生産力を強化したり、生産量を増やしたりしようすることもひとつの経営方針として理解できます。

従業員の立場からすれば、江崎グリコさんのような会社で働きたいか、それとも、会社の決めた休業日以外には休みづらいため、よほどのことがない限り、毎日、出勤することになる会社で働きたいかという選択です。

自分で選択できるならば、私は江崎グリコさんのような会社を選びます。

なぜ、このような充実した制度を設けることができるのか

なぜ、江崎グリコさんは、このような充実した制度を設けることができるのでしょうか。

江崎グリコさんは、柔軟な働き方が個人を成長させ、その成長が会社全体の生産性につながると考えています。
特に、子育ては、家庭と向き合うことで新たな価値観が生まれ、個人の成長を促すものになると。
つまり、育休を取得し復職すると、子育てにより生まれた新たな価値観を仕事に生かすことができると考えているため、このような充実した制度を設けることができているのです。

江崎グリコさんの新たな価値観の考え方はとてもしっくりきます。
確かに、子育てで新たな価値観が生まれます。
私も子育てで新たな価値観を持つことができました。
特に8カ月の育休で、育休を取らなければ得られなかったと強く感じる価値観を得ました。
残念ながら、私にはこの価値観を適切に言葉で表現することは難しいため、皆さんにうまくお伝えすることはできません。
8カ月の育休により、明らかに自分が変わったことを実感しています。
たぶん、子育てにより生まれる新たな価値観は、人それぞれで違っていると思います。
私の場合は、人の見方、物事の捉え方、伝え方、接し方などに生かすことができるものになりました。

また、江崎グリコさんは、育休が、仕事を見直すきっかけになるとも考えています。
業務の見直しは、常に必要とされているものです。
でも、普段は、見直すべき問題が明確ではなく、業務の見直しには手を付けられないままになっています。
ところが、その部署、チームなどに育休を取得する人が現れると、業務上の問題が顕在化し、業務の見直しをせざるを得ない状況になります。
この不定期に起こる業務の見直しが、生産性の向上へとつながります。
さらに、新たな価値観を身につけた育休復帰の従業員が、部署やチームにその価値観を生かした新たな風を吹き込むということになります。

5日間の育休義務化を制度化した翌年に、制度の見直し。
そして、有給で1カ月の育休を必須化。
江崎グリコさんの従業員への思いや会社の考え方が、この育休制度に表れています。
江崎グリコさんのような取り組みは、国の制度にも大きな影響を与えるものになるのではないでしょうか。

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